車掌
どうもお初にお目にかかります
車掌
こちらは生と死のハザマにいらっしゃるお客様を
車掌
上か下、もしくは現世へご案内する特急列車でございます
車掌
乗車賃はお客様の[お悩み]を頂いており
車掌
それにより、行き先を決めさせて頂いております
車掌
つまり良くも悪くもこれが全て
車掌
次のお客様はどこへ行かれるのでしょうかね
車掌
それでは、良い[お悩みを]伺えることを願いまして
昌信
うわっ!?
車掌
この度はお悩みエクスプレスにご乗車頂き、誠にありがとうございます
車掌
わたくし、この列車の車掌を務めております黒野と申します
昌信
な、なんだそれは!
昌信
ここはどこだ!
昌信
変な場所に俺をつれてくるな!
車掌
おや?
車掌
乗車についてのご案内は確かに致したはずですが
昌信
あんなのに何の意味がある!
昌信
俺を変なところに連れてきやがって!
昌信
それに猫が喋ってるなんてあり得ん!
車掌
お客様、ここは"変な場所"なんですから、何が起こっても不思議がることはありません
車掌
それに、かえって相手が人間以外の方が悩みというのは話しやすいものなのですにゃー(棒)......
車掌
ささ、それよりもお客様
車掌
早速ですがお悩みをお聞かせください
昌信
まあいい...
昌信
そうだ、それより俺は何でこの列車に乗る事態になってんだ?
車掌
ええと、お客様の場合は確か....
昌信
そうだ、思い出した
昌信
俺は事故に遭ったんだ!
車掌
そうですね....
昌信
クソ、あの運転手め許さん!
昌信
おいお前!
昌信
悩みはこれだ!
昌信
あいつをブッ●してやりたいのにそれができん!
昌信
どうだ!
昌信
まともな悩みだろう!
車掌
それがお客様の"お悩み"ですか?
昌信
そうだ!
昌信
あいつはどうせ下に落ちるだろうから
昌信
俺が上に行って当然だろう!
昌信
違うか!黒猫!
車掌
黒野でございます
車掌
なるほど
車掌
自分の命を脅かした相手を同じようにしてやりたいのに、それができないと
昌信
そうだ!
車掌
しかしお客様、念のため今一度申し上げますが、
車掌
厳密に言うと、お客様はまだ死んではおりません
車掌
生死の狭間にいらっしゃるのです
車掌
死んでしまっては、何もできなくなってしまいますが
昌信
そんなことは知らん!
昌信
あいつが下に落ちるのを上から見てやりたいだけだ!
車掌
ほう、
車掌
では1つ言葉を選ばず質問させていただきますが
車掌
お客様は前から死にたかったのでしょうか?
昌信
なに?
車掌
お話を伺う限りですと
車掌
生きることへの執着がまるで無いように感じられます
昌信
ど、どういうことだ!
車掌
先程も申し上げた通り、お客様はまだ完全に死んではおりません
車掌
にも関わらずお客様のお悩みは
車掌
あの運転手を●したいのに
車掌
それが"できない"と仰いました
車掌
そこで私は一度確認を入れましたが
車掌
生き延びたいという様子を伺うことはできませんでした
昌信
だからなんだ!
昌信
俺が悪いって言うのか?
昌信
悪いのはどう考えてもあいつだろう!
車掌
であれば、生きてその運転手の謝罪を聞くというご意志は無いのでしょうか?
昌信
!!
車掌
生きていれば、運転手に思っていることをぶつけることもできますし
車掌
げんこつの1つでもかませるのに
車掌
よほど顔を合わせたくない理由でもあるのでしょうか
昌信
うるさい!
車掌
加えて申し上げますと
車掌
悪の反対が必ずしも正義とは限りません
昌信
うるさい!
車掌
確かにあなたを跳ねてしまった運転手は悪いです
昌信
そうだ!
車掌
あなたはその事故にあった被害者です
昌信
そうだと言っているだろう!
車掌
ですが、残念ながらそれはお客様が良い人である理由にはなりません
昌信
なんだと!
昌信
じゃあ、俺が悪いやつだと言いたいんだろう、そうだろう!
車掌
はい
昌信
なんだと!!
昌信
なんだそのナメた返事は!
昌信
ふざけるな!
車掌
他からの考えを全く尊重しない人は、少なくとも良い人ではありません
昌信
!
車掌
私がお客様へ苦言を呈した時
車掌
少しでも自分の事として受け入れる気持ちはありましたでしょうか?
昌信
何でお前みたいな畜生の言葉を聞きいれなきゃならないんだ!
車掌
なるほど
これでも尚、微塵も無いと
これでも尚、微塵も無いと
昌信
それより早く私を降ろせ!
昌信
こんなもの乗ってられるか!
車掌
それは無理です
車掌
カラスさーーん!
車掌
下のほうへお願いしまーす!
運転手
カラスではなく加羅瀬ですっ!
運転手
承知しましたー
運転手
では、発車しま~す!
昌信
おい、なに動かしてるんだ...
運転手
えぇ次の駅は地獄~地獄~
運転手
少々長いですがご辛抱~
運転手
途中駅はありませんのでご注意を~
昌信
お、おい!やめろ!
昌信
やめてくれ!
昌信
く、黒野さん、降ろしてくれよ!
昌信
俺が何をしたってんだよ!
車掌
あなた嘘ついてますよね
昌信
!!!!!!!
車掌
あなたのは事故ではなく自殺未遂のはずです
車掌
しかもどうせ死ぬのだからと
車掌
あえて周りに迷惑をかける方法を取ったようですね
昌信
!!!!!!!
車掌
でも、それ相応の"お悩み"があるのだろうと信じていたのですが...
車掌
考えるだけ無駄だったようですね
昌信
......
昌信
周りの奴らがどいつもこいつもクソばっかだったんだよ
昌信
それなのに俺ばっかり被害を被ってよぉ!
車掌
お客さまのことです
車掌
少しの不満でも"クソ"と見なして卑下していたのでは?
車掌
それに自分ばかりと言いますが
車掌
周りはお客様のせいで、より被害を被っていたと思いますよ?
昌信
そんなことはない!
昌信
あんなクソみたいなミスをする方がクソだ!
昌信
俺に全部まわってくる!
昌信
それなのにあいつらは!
昌信
だから今度は俺の方から...
車掌
ドンピシャでしたか....
車掌
そして自分で勝手に嫌になった挙句
車掌
次第に最大限周りに迷惑をかけることに尽力し始め
車掌
終いにはこの列車のことを聞いて
車掌
嘘をついてでも自分の行いを正当化したかったと....
昌信
.....
昌信
いやだ...
昌信
死にたくない!
昌信
降ろして!
昌信
降ろしてくれぇ!!
車掌
ハァ...
車掌
あなた本当にとんでもない生き物ですね...
車掌
いかがでしたでしょうか?
車掌
少々重い話になってしまいましたね
車掌
ごく希にですが、ああいったお客様もいらっしゃるのです
車掌
ああいう方はこれ以上業を積まないうちに
車掌
下の方に裁いてもらうのが一番でしょう
車掌
と、言った具合になっております
車掌
最後までご覧いただき、当方大変感謝しております
車掌
よければ他のお客様の様子もご案内して差し上げたいのですが
車掌
こんな「♡」マークがある程度集まるまで規制がかかっておりまして
車掌
是非とも寄付の程ご協力よろしくお願いします
車掌
ではまたどこかでお会いしましょう






