桃赤
柔らかい日差しを浴びながら、なんて言葉を使いながらころんと学校をサボり、カフェに寄った
「この後ゲーム行こうよ」とか話しながら頼んだ飲み物を飲む
ガラス越しに聞こえてくる声にころんと共に目を向ける
この世界には人形(ドール)と呼ばれる動く人形が存在している
その人形の中でも花人形(アリス)と呼ばれる人形は非常に貴重なもので、手に入れる事も、目にかかれる事すらもない
どうやら外で話している人はその花人形を手に入れたらしい
周りには人だかりが出来ていた
その人は鞭で花人形を叩きつけた
青
主は人形を好きに出来る
だから誰も口には出さないが離れていく人が多い
俺たちの近くで座っている人たちも哀れみの表情をしている
桃
桃
青
飲み切ったコーヒーを店員が取りやすい位置に置いて立ち上がる
ころんは頼んだバナナパフェを光の速さかのように食べ、立ち上がった
桃
青
青
青
桃
突き出されたスマホを引き気味に見る
確か、バナナのキーホルダーあったって言ってたっけ
だからこんなに行きたがってる訳ね
青
スマホを見ながら指をさすころん
そっちに目線を向けると木造建築のお洒落な家のようなものが建っていた
ころんは容赦なくドアを開けるとカランコロンと音が鳴った
一応お店らしい
若干戸惑いつつ、中に入ると色んなものが飾られていた
キーホルダー、ぬいぐるみ、アクセサリー、小物
色々あんだな…
猫のキーホルダーを手に取って眺める
チラッところんを見るとソワソワとキョロキョロとお目当ての物を探していた
その後ろで、風に揺られる白いカーテン
興味本位で近づいて覗くように開ける
俺は目を見開いた
赤と黄
2人が寄り添いながら目を閉じて眠っていた
自然と体が動いて赤色の子の目の前に立つ
その場にしゃがみ込んで申し訳程度に頬に触れる
すると長いまつ毛が揺れ、ゆっくりと開かれた目
黄色と紫の瞳がキラキラと輝いていた
数秒見つめ合って、その子は微かに口角を上げて微笑んだ
桃
ビクッと肩が揺れ、勢いよく振り返る
そこには白髪に白く長いひげを撫でるように梳き、細い目を見開いてこっちを見ている爺さん
桃
桃
チラッと赤い子を見る
その子は目を閉じており、眠りについている
青
ひょこっと後ろから顔を覗かせ、近づいてくる
チャリ、と手に持っているキーホルダーが音を立てた
青
ころんは隣で眠っている黄色い子に触れる
すると、その子は微かに目を開き、ころんの手に擦り寄った
ころんは起きるとは思っていなかったのかびっくりし、その場に腰を抜かした
爺さんは杖を震わせ、目をかっぴらいている
青
桃
桃
青
爺さんの後を追い、2階に上がると普通の家の内装で近くのソファーに誘導されながら本題へと進む
青
桃
青
捨てられて…?
花人形は貴重なのに、捨てる人がいるのか?
青
ぎこちない敬語で話すころんに爺さんは深く頷く
花人形は人形とは違うところがいくつかある
一つ目は、人形は人間が直接創り上げた物でなのだが、花人形は自然が作り上げた宝石の様な種から約1億分の1の確率で生まれた人形なのだ
二つ目は、さっき爺さんが言ってたように人形とは違い、花人形は自分で相手を選べる
3つ目は、今の身長から掌サイズまでサイズを変えることができる
4つ目は、感情を持っている事
仲の良い同じ花人形が目の前で怪我をさせたりすると主を無視して動くことがある
そして4つ目、花人形は人形と違い、少し複雑な部分がある
様々な花を使って作られたお茶やお菓子などを1日に3回上げ、愛情を注ぐ事
それが欠けてしまえば花人形は壊れてしまい、記憶を失ってしまう
下手すればそのまま死んでしまうのだ
桃
頭を下げる爺さんにころんと顔を見合わせる
お互い頷き爺さんを見た
桃
青
桃
青
爺さんは立ち上がり、俺たちの手を取る
爺さんは涙を流し、幸せそうな表情を見せた
桃
小さくなった花人形を手に、爺さんに軽く頭を下げる
青
小さくなっていく爺さんにころんは手を振り、さっき来た道を戻っていく
それが俺と赤い君の出会いだった
~ next…?~
コメント
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ブクマ失礼します。 この、儚さと独特の世界観、雰囲気。とても素敵です!続きも楽しみです!ヽ(*´∀`)ノ♪
ぶくしつです!!