nk
ん…

nk
どこ…?ここ…?

知らない天井
知らないベッド
知らない壁
ただただ真っ白な部屋
nk
あぁ…俺…
連れてかれたんだっけ

思考を張り巡らす
シャケは逃げられただろう
でも、アイツは…まぁ、大丈夫か
nk
ズキッ…

nk
頭痛いな…

nk
…俺、確か
頭から血、流れてたよね

nk
針で縫ってある…?

nk
あぁ…まぁ…そっか

nk
昨日はあんな乱暴に
追い回されたけど

nk
とってもとっても大事な、
数少ないサンプルだもんな

nk
俺らは…

nk
にしてもやることないな…

昨日までとは一転、
気が抜けてしまって
床にへたり込む
nk
あー、無気力

nk
短かった俺の人生

nk
あーあ、せめて自分の手で
全部終わらせたいなぁー

nk
ま、こんな部屋に
そんなもの無いよね

nk
ね、お兄さん
なんか楽しいもの
持ってたりしない?

ガチャ…
するとドアが開き、
1人の男が入ってきた
kn
…知ってたの?

nk
うん

nk
俺には全部視えてるから

kn
…本当に素晴らしい力だね

kn
君の担当になれて光栄だよ

nk
そんなことないよ
アイツらの中じゃ
俺が1番弱いんだ

kn
…そっか、ごめんね、
あの子達とはもう会えない
と思ってもらった方がいい

nk
分かってるよ

nk
それも…視えてるから

kn
そっか…じゃあ、
今から起こることも

nk
何百年先の未来の事だって
俺は知ってるよ

kn
…へぇ
おもしろいね

kn
君は、そうやって自分から
自分の力の情報を開示して
くれるような人ではない
はずだ

kn
どういう風の吹き回しかな

nk
気が変わったんだ
それだけだよ

kn
…何が目的かな?

nk
きんとき先生だから
教えたんだ

nk
ただの感情論だよ
そこに目的なんてものは
無い、何も企んでないよ

kn
…容易には信じられないね

kn
でも、そうやって
いろいろ教えてくれるのは
有難い

kn
こちらもあまり手荒な真似はしたくないから

nk
どういたしまして

nk
俺は、ちょっとっていうか
結構、お喋りさんだからさ

nk
ここにいる間は
ずっと俺の話聞いてよ、
先生

kn
そうだね、
聞いてあげるよ

kn
…君はこの世の全ての事象を
視ることができる力を
持っているのに

kn
なんで一度、この場所から
無意味に脱出をしたのか

kn
そして、なんでまた
戻ってきたのか、とか…ね?

nk
…ぅうん…
そんなこと聞いても
別に楽しくないよ…

バタッ…
適当に返事を返すと
強烈な目眩がしてその場に倒れてしまった
kn
、!?

咄嗟に体を支えると
なかむの隠れている右目から血が出ていた
kn
…可哀想に

kn
終わりは近づいてきている
みたいだね

なかむを横抱きして
ベッドに運び、ブランケットをかける
nk
スー…スーッ…

kn
今日は暑いから…
厚くしすぎるのもよくない…

kn
…

とても…綺麗で
アクアマリンのような
そんな、煌めきを放つ
吸い込まれそうな色の瞳
それを隠してしまった瞼と長いまつ毛
お日様の匂いがしそうな
透き通った茶髪と
触れたら壊れてしまいそうな
白く美しい肌が
部屋の蛍光灯の光に照らされている
kn
今日は快晴らしい
太陽が、綺麗だろうけど
こんな所にいたって
見えないから

kn
君は…その太陽ぐらい
きらきら輝いていて美しい

kn
でも君は…本物の太陽には、
絶対なれないんだ

kn
その力さえ
持っていなければ…ね…

kn
また明日会いに来るよ
