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〜真冬 side〜

今日から先輩かぁ〜!

ワクワク、という効果音が 聞こえて来そうなくらい、 楽しそうに歩く96ちゃん

桜の花弁が舞う4月

短い春休みも終わって、 今日からまた学校が始まる

それで今は、いつもの4人で 通学路を歩いてるところ

真夏

それにしても、もう4月なんだね。この前入学したばっかりなのに

感慨深そうな顔で、 僕の隣を歩く姉さんが言う

椛高校に入学して、 彼方先輩と出会った去年の4月

そして、2人で After the Rainを組んだ5月

6月には体育祭があった

それから、あっという間に夏休みが 終わって、冬になって……

真冬

(クリスマスには、みんなで一緒に出かけたんだよね)

こうして思い出してみると、 あっという間だったけど、色んな ことがあったんだなぁと実感する

翔太

わ〜、あの子とか新入生かな?

そう言った天ちゃんの視線を辿ると、 緊張した面持ちの、僕らと同じ 制服を着た女の子がいた

不安そうな顔だけど、 どこか期待も混じってる感じ

真冬

(懐かしいなぁ、僕も去年はあんな感じだったっけ)

しばらく見ていると、その子の近くに 先輩らしき人が寄っていくのが見えた

女の子と似た顔立ち…… もしかして、あの子のお兄さんかな?

そんなことを考えながら 歩いていると、いつの間にか 校門まで来ていた

真夏

クラス分けってどうなったかな……?

続けて、また真冬と一緒がいい! と言った姉さん

僕も、その方が安心できるけど……

去年と同様、クラス分けの表が 貼り出されている掲示板まで行く

真冬

(えーっと、僕の名前は……)

それぞれのクラスの上の方を 流し見していく

真冬

(……あっ、あった!)

真夏

あ、あれ……!? 真冬の名前がないっ……!

僕の隣で、真剣な表情で名前を 探していた姉さんが、ショックを 受けたような顔になった

わしはE組やったけど……

翔太

えっ、僕も!

ってことは、今年も2人は 同じクラスなんだ

真冬

ね、姉さん。僕の名前、C組にあるけど……

真夏

私、B組……

今にも泣きそうな表情で、 ぽつりと呟いた姉さん

B組の欄を見てみると、“相川真夏”の 後に僕の名前は無く、“蒼井星奈” という名前があった

真冬

だ、大丈夫だよ、クラス隣だし!

落ち込んでいる姉さんを、 どうにか励まそうとする

真夏

隣……うん、そうだよね。絶対毎日会いに行くからっ!

真冬

えっ!?

意外とすぐに元気を取り戻したと 思ったら、とんでもないことを 言い出される

真冬

いや毎日って、同じ家に住んでるし会ってるじゃん!

真夏

そうだけど〜!

真冬

な、何かあったら僕が会いに行くから! ほら、早く教室行こ!

なんとか姉さんを落ち着かせて、 校舎の中に入った

96月の2人は、今年も棟が 違うから入り口でお別れ

姉さんと廊下を進んで、 階段を上がっていく

真冬

(途中、相変わらずの人だかりを見つけたけど……)

そういえば2年C組って、 去年の先輩のクラスだったっけ

真冬

(姉さんとは別れちゃったけど、ちょっと嬉しい……)

そんなこんなで階段を登り切って、 2年生の教室がある3階に着く

先にB組の教室に着いて、 姉さんとはここでお別れ

真夏

真冬、何かあったらこっちに来るんだよ? 絶対ね?

真冬

うん、分かってるよ

心配そうな顔の姉さんを 安心させる為に、笑顔で答える

真冬

じゃあ、行ってきます

真夏

行ってらっしゃい、またお昼ね!

真冬

うん!

1人で廊下を進んで、 とうとうC組の教室に着く

恐る恐る教室に入って、 席順を確認した

真冬

(って言っても、“相川”の前に来る名字なんてそうそういないけど……。)

真冬

(あ、姉さんかいないし、僕が一番端の席だ)

廊下側の1番前の席に座って、 カバンを机の横にかける

真冬

(……ん?)

ふと、机の隅に何か 書いてあるのを見つけた

真冬

(この落書き……もしかしなくても、はんぺん?)

薄らと小さく描かれているけど、 間違いなくそらるさんのはんぺんだ

しかも、「がんばれ!」と 書かれた吹き出しもある

真冬

(もしかして、去年この席にいた人って……)

そういえばあの人も“一ノ瀬”だし、 名前順だと最初の方だ

真冬

(ふふっ、やっぱりそらるさん可愛いとこあるなぁ。)

真冬

(あ、そうだ)

出していた筆箱からシャーペンを 取り出して、はんぺんの横に まふてるを描く

真冬

(よしっ。)

真冬

(今年も友達、作れるといいなぁ)
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