15分後
斉藤秀寿
...悪い、待った?
魔叉琉
いや。わざわざ来てもらって、悪かったな。
高野茉莉奈
で、何で秀寿を呼ぶ必要があったの?
坂本由紀
私がストーカーされてたことは知ってる?
高野茉莉奈
ううん、全然知らなかった
斉藤秀寿
...さっき、魔叉琉に聞いた
魔叉琉
――そう
魔叉琉
その犯人が解ったから、来てもらった
高野茉莉奈
...ッ!
斉藤秀寿
......
斉藤秀寿
...何で僕を呼んだんだ?
魔叉琉
それは、自分が1番よく判ってるんじゃないか?
高野茉莉奈
どういうことよ!
紗羅
ちょ、落ち着いて!
紗羅
魔叉琉、始めて!
魔叉琉
ん。じゃあ、始めます
魔叉琉
先に結論から、で大丈夫ですか?
高野茉莉奈
何でも良いわよ!
斉藤秀寿
僕も別に...
坂本由紀
早く犯人教えて!
魔叉琉
判りました
魔叉琉
犯人は――
魔叉琉
高野茉莉奈さんと斉藤秀寿さん
魔叉琉
――あんた達だ
高野茉莉奈
ッ...
高野茉莉奈
馬鹿言わないで!
高野茉莉奈
そんな証拠、何処にもないわ!
斉藤秀寿
失礼なことを...!
斉藤秀寿
いい加減な憶測にも程がある!
魔叉琉
...そうかな
魔叉琉
じゃあ、最初から説明していきます
そう言うと、魔叉琉は一通の手紙を取り出した
坂本由紀
これ...
魔叉琉
坂本さんに届けられた、ストーカーからの手紙です
魔叉琉
ところで...高野さん、あなたは
魔叉琉
――左利きですね?
高野茉莉奈
そ、そうだけど...
魔叉琉
左利きの人間が書いた文字は、左側に傾くのが普通です
魔叉琉
この手紙、開けて確認しましょうか?
高野茉莉奈
...ッ......
高野茉莉奈
...でも、この近所だけでも左利きなんて結構いるんじゃない?
高野茉莉奈
左利きだけで私を犯人だなんて...!
魔叉琉
――勿論
それだけで決めつけようとは思ってません
それだけで決めつけようとは思ってません
魔叉琉
次に...あなたの発言について
高野茉莉奈
...な......!
魔叉琉
あなたは、今さっき俺が質問したとき――
魔叉琉
『俺が殺されかけた事、知ってる?』
高野茉莉奈
『...え?』
魔叉琉
『階段から突き落とされてさ』
高野茉莉奈
『...知りません』
高野茉莉奈
『私、今日一歩もクラブ棟になんか近づいてませんから』
魔叉琉
あなたは確かに、『クラブ棟になんか』と言った
高野茉莉奈
だから何?
魔叉琉
人気の無いクラブ棟に行く物好きなんていないだろ
高野茉莉奈
大事な話は、誰もいない所でやるものでしょ?
魔叉琉
誰もいないところ、ね
魔叉琉
俺だったら、屋上か校舎裏を考えるけど?
高野茉莉奈
き...聞いたのよ!
高野茉莉奈
名前は忘れちゃったけど、誰かに
高野茉莉奈
『魔叉琉が“クラブ棟に行く”って言ってた』って
魔叉琉
っは、おかしいな
魔叉琉
俺は、誰にも行き先を伝えていないはずなんだけど
高野茉莉奈
...ッ
高野茉莉奈
――そうね
高野茉莉奈
確かに、これだと私が犯人みたいね
高野茉莉奈
でも...全て稔君の記憶だけでしょ?
魔叉琉
――なるほどね
魔叉琉
物的証拠が無いって言いたいんだな
高野茉莉奈
そうよ
魔叉琉
じゃあ、今までの俺が言ったことは認めるってことか?
高野茉莉奈
...な......ッ
魔叉琉
――ま、いいや
魔叉琉
物的証拠があったとしたら?
高野茉莉奈
そんな訳な...ッ!
魔叉琉
よく自分の行動を思い出してみろ
魔叉琉
屋上で、坂本さんがこれを見つけた。
そう言って取り出したのは、穴の開いた魔叉琉と紗羅の写真だった。
魔叉琉
この写真、ちゃんと指紋は拭いたか?
魔叉琉
調べれば、たぶん出てくる。
高野茉莉奈
何それ!私、そんなの知らないわよ!
坂本由紀
――え?
紗羅
茉莉奈ちゃんじゃないの?
魔叉琉
――続けるよ
魔叉琉
ここから先は憶測ですが...
魔叉琉
始めにストーカーをしていたのは、高野茉莉奈さんです
高野茉莉奈
......
魔叉琉
斉藤秀寿さんからフラれた話を聞き、怒りを覚えたあんたは...
魔叉琉
ストーカーという、犯人が女性だと解りにくい犯罪を起こした
魔叉琉
だが、坂本さんが沙羅に相談しているところを聞き
魔叉琉
斉藤秀寿さんに相談した...
魔叉琉
警告代わりに俺らの写真を撮ったのは、高野茉莉奈さんだ
魔叉琉
走っていく人物が左手にスマホを持っていたのを見た
高野茉莉奈
......
魔叉琉
学校の話に戻るけど、屋上で写真に釘を打っていたのはおそらく....
魔叉琉
斉藤秀寿さんです
魔叉琉
屋上から俺がクラブ棟に行くのを見つけた斉藤秀寿さんは、
魔叉琉
それを高野茉莉奈さんに伝えた
魔叉琉
高野茉莉奈さんが俺を追いかけて、クラブ棟に
魔叉琉
その後、合流した斉藤秀寿さんが俺を突き落としたんでしょう
魔叉琉
しかし、焦るあまり写真を屋上に忘れてしまった
魔叉琉
っていうところ...かな
斉藤秀寿
僕が突き落とした?
斉藤秀寿
そんな戯言を...!
魔叉琉
俺は、足音を2回聞いてるんだよ。
魔叉琉
クラブ棟で電話を終えた直後、階段を上に上る足音と、
魔叉琉
俺が階段を下に降りるときについてきていた足音
魔叉琉
階段を上った人間が、下りて俺を追いかけるなんて考えにくい
魔叉琉
つまり、2人いたってこと
魔叉琉
時間的に考えて、最初に聞こえた足音は高野茉莉奈さんのもの
魔叉琉
2回目の足音は...
斉藤秀寿
馬鹿言うn...
高野茉莉奈
――もういいよ
高野茉莉奈
ごめんね、秀寿
魔叉琉
ちゃんと全部、話してください
高野茉莉奈
...わかった
高野茉莉奈
ちゃんと、聞いてよね







