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抗体人間シリーズ−過去編−

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抗体人間シリーズ−過去編−

53 - 箱庭の理想郷

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2019年07月29日

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柘榴

これって一体何なの...?

琥珀

これは私が創り出した“もうひとつの地球”です。

琥珀

そして隣の部屋を見て下さい。

柘榴

えっ⁉︎

柘榴

柘榴

人がたくさん寝てる...⁉︎

琥珀

はい、これらは今のところの“生き残り”です。

柘榴

あ‼︎闇笯君と小鹿ちゃんと翠ちゃんがいる‼︎

あ、しかも翠さんに空いた穴が治ってますね。

琥珀

貴様が瀕死状態の翠を転送して来たから“瞬間治癒薬”を使って治したんだ。

琥珀

あれは1つしかなかったんだぞ。分かってるのか?

大変申し訳ございません。

琥珀

話を戻しますが、この生き残りをこの地球に送ります。

柘榴

送るって...何で⁉︎

琥珀

今私達がいる地球は既に終末を迎えています。このままでは生活することもままならない状況です。

琥珀

なので“もうひとつの地球”、つまり”仮想空間”へ送れば今まで通りの生活をすることが出来るんです。

柘榴

なるほど...じゃあ琥珀ちゃんの力で人を小さくして送るの?

琥珀

いえ、私ではなく凛が。

はい、凛です。

柘榴

でも凛ちゃんじゃ小さく出来なくない?

確かに私は人間の大きさを変える力はありませんが記憶を操作する力はあります。

横たわってる方々の頭を見て下さい。怪しげな機械が取り付けられているでしょう。

あれは“記憶転送装置”と言って、この終末世界の記憶以外を“仮想空間”に転送するというものです。

だからこの惨事のことは一切知らず、元の生活を送り続ける...

それが“箱庭の理想郷(ユートピア)”なんです。

柘榴

そういうことだったのか...

琥珀

ん?蘭丸はどこに行った?

あ、もう隣の部屋で寝てます。

琥珀

なっ⁉︎自己中だなアイツは...

柘榴

ということは私達も“仮想空間”に入るの?

琥珀

いえ、私は“仮想空間”の監視をしなければいけないので入りません。

私は生き残った方々の記憶を管理しないといけないのとドローン&化け物の掃除をしなければならないのでパスします。

琥珀

張り切っているところ悪いがそれは出来ない。

なぜですか?

琥珀

この“仮想空間”内は現実と異なった日常だからだ。

その異なった日常とは?

琥珀

まず前提として貴様ら“抗体人間”は圉鵺市という場所にあるシェアハウスで暮らしているという設定だ。

琥珀

そのため貴様もそこの住民という訳だ。そこで“抗体人間”に異変が起きていないかをチェックしてほしい。

なら今外に飛んでるドローンと化け物はどうするんですか?

琥珀

凛には特別に現実と“仮想空間”を行き来できるようにする。そうすれば問題はないだろう?

一石二鳥ってヤツですか...

分かりました、別に構いません。

琥珀

では博士も隣の部屋に

柘榴

いや、私は行かない。

琥珀

え?

柘榴

私は空泉先輩と天望先輩と約束したから...

琥珀

約束...?

柘榴

私は研究者時代に空泉先輩と天望先輩に助けられ、生かされた...

柘榴

だから今度は“君達”の番だよ。“君達”が主人公の番だよ。

琥珀

私達が主人公...ですか?

柘榴

私は何事も逃げてばかりで、自分に甘えてばかりのどうしようもない人間だよ...

柘榴

でも、だからこそ、そんな私にしか出来ないことがある。

柘榴

もちろん空泉先輩のように嘘は上手くないし、天望先輩のように冷静で頭がいい訳でもないよ。

柘榴

だけど私は“君達”の力になりたい。

柘榴

もし“仮想空間”に送るなら現実世界の記憶を保ったままに送ってほしい。

琥珀

それはありがたいことですが、決して楽な道ではありませんよ?

琥珀

それでも博士は私達の力になってくれるんですか?

柘榴

うん、私はもう決めたから。

私は賛成です。柘榴さんは研究所から私達を逃がしてくれた方ですから信用してもいいと思います。

琥珀

...分かりました。博士がそれを望むのなら、私は全力でサポートします。

柘榴

ありがとう、琥珀ちゃん。

琥珀

そろそろ転送を始めるので博士は隣の部屋で寝そべって下さい。その際に装置に付いている赤と青のコードを引き抜いて頭につけて下さい。

琥珀

そうすれば現実世界の記憶を保った状態で“仮想空間”に転送されます。

柘榴

分かった。

柘榴

じゃあ暫く琥珀ちゃんとは会えないんだね...

琥珀

もし“仮想空間”で何か問題が起こった場合は駆けつけますよ。

柘榴

よし、行って来るよ‼︎

柘榴

じゃあ、またね‼︎

琥珀

はい、また...

私はこれを見届けてから作業に移りたいと思います。

私はダメな人間だ。

嫌なことから逃げて、挙げ句の果て大切な先輩や仲間を失った。

そんな私だけど“君達”を救いたいって気持ちだけは失ったことがない。

私は弱い、だけど“君達”のために強くなりたい。

私はこの“物語”を、“主人公達”をハッピーエンドまで導いてあげたい。

だから今度は私の番だよ。

私が君達を生かす。

私が

“悪役”になる。

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