テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
――夜の中で、名前が動く
——見てはいけないもの。 そう思った瞬間、僕は反射的に視線を逸らした。
……いや、 逸らした“つもり”だった。
でも、頭の奥に、 焼き付いたみたいに残ってる。
部屋は暗い 非常灯の青白い光だけが、 壁を薄く照らしている
静かすぎる さっきまで聞こえていたはずの、 誰かの足音も、扉の軋む音も、 全部、消えていた
……通知、だよね
手の中の端末が、やけに重い 画面はもう消えているのに、 さっき見えたあの名前だけが、 頭の中で何度も点滅する
見間違い…じゃないよね?
喉が鳴った 唾を飲み込む音が、 やけに大きく響く
ころん
——そのとき。
ブゥ……ン……
館内のどこかで、 低く、空気を揺らす音
夜…進んでる……
そのころ、 他の部屋では……
暗闇の中、 誰かがベッドに腰を下ろしている
???
端末の光だけが、 その指先を照らした
画面表示
…やるしかないよねぇ……
指が、ほんの一瞬止まる
迷い
ためらい
それでも——
【対象:選択完了】
画面が暗転する
……ごめんね
ころん
誰かが動いた……
根拠はない でも、確信だけが胸に落ちてくる
さっき、リビングで感じた違和感 人数が、 合っていなかった気がした理由
(まだ処刑は出てない。 なのに、もう“減ってる”感覚……)
——コン
ころん
壁の向こうから、 何かが当たったような、小さな音
息を止める 耳を澄ます
……何も、続かない
今の……気のせい? それとも……
アナウンス1
アナウンス1
早すぎる……
こんなに短かったっけ。 人狼の夜って。
——いや。 “誰かが、もう決めた”から?
端末が、もう一度だけ震えた。
【通知】
ころん
そこには、 結果でも、アナウンスでもない
恐る恐る、画面を見る
ただ、一文。
「――朝を待ってください」
朝…?
その言葉を見た瞬間、 胸の奥が、嫌な音を立てて軋んだ
——朝が来る。 それはつまり。
誰かが、 “朝を迎えられない”
さっき見た名前…… もし、あれが本当なら——
考えが、最後まで形になる前に
館内に、 再び、あの音が響いた
ブゥ……ン……
非常灯が、 一瞬だけ、強く明滅する。
その瞬間
ーーーーーーーー
……今、 誰かの部屋、 開かなかったか……?