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第39話、読み終えました。すれ違いの切なさがじわじわ来ますね。結衣さんが「私のことも見てください」と心の中で呼びかける場面、あそこが一番胸に刺さりました。黒田さんの「前の藤原に戻ったと思ったのに」という一言で、二人の関係性にもっと深みが出た気がします。藤原くんの過去が気になる…!
あれから、藤原さんに会わない。
ジムに行ってみても、あんなにバカみたいに通ってたくせに、藤原さんの姿はなかった。
ひとりで通うジムは、なんだかいつもと違って寂しい。
顔を上げても、
憎まれ口を叩いてくる藤原さんはいない。
……私のこと、避けてるのかな。
また、女の子と遊び歩いてるのかな。
彼女のフリ、頼んできたくせに。
あの頃は、楽しかったな……
藤原さんがいないだけで、こんなに寂しいなんて。
藤原さん
私のことも…
見てください。
エントランスを歩いていると、
向かいから藤原さんが歩いてくる。
あ、藤原さん……
姿を見つけただけで、
少しだけ胸が高鳴った。
雨宮結衣
すれ違いざまに声をかけようとした。
けれど藤原さんは、
私に気づいていないかのように
そのまま通り過ぎていった。
藤原綺斗
思わず、振り返る。
でも藤原さんは
一度もこっちを見なかった。
……避けられてる?
こないだ電話した時も、
女の人の声が聞こえた。
もしかして、
もう私が入り込む隙なんてないのかな。
今までは、
あんなに近くにいてくれたのに。
自分の気持ちに気づいた途端、
こんなにも遠く感じるなんて。
もう、遅かったのかな…
お昼休憩。
この日は1人で社員食堂に行くと、
黒田さんと藤原さんが座っていた。
あ……
一瞬、足が止まる。
そのままトレーを持って
空いている席に行こうとすると、
黒田
黒田さんに呼ばれた。
振り返ると、
こっちに向かって手招きしてくれている。
その隣には、藤原さん。
でも……
私には気づいていないみたいに、
黙々とご飯を食べていた。
……どーしよ。
このまま別の席に行こうか迷ったけど、
せっかく呼んでくれてるし……
私は2人のテーブルまで行って、
黒田さんの向かいに座った。
雨宮結衣
黒田
黒田さんはいつも通り
そう言ってくれるけど、
藤原綺斗
藤原さんは何も言わない。
顔を上げることも、
私の方を見ることもなく、
ただ黙ってご飯を食べている。
……やっぱり
避けられてる。
黒田
黒田さんが話しかけてくれて、
なんとか普通に返事をする。
でも、
隣にいる藤原さんのことばかり
気になってしまう。
前だったら、
何かしら話しかけてくれたのに。
今はまるで、
私なんてここにいないみたいで。
……座らなきゃよかった。
藤原綺斗
しばらくして、
食べ終わった藤原さんが席を立った。
私とは一度も目を合わせないまま、
そのまま行ってしまった。
遠ざかっていく背中を見ながら、
胸の奥がぎゅっと苦しくなる。
……そんなに、
私と話したくないんだ…
黒田
苦笑いしながら黒田さんに言われた。
黒田
ストレートに聞かれて、一瞬言葉に詰まる。
雨宮結衣
黒田
少しの沈黙のあと、黒田さんがぽつりと言った。
黒田
雨宮結衣
私の方を見て、
黒田さんが小さく息をつく。
黒田
雨宮結衣
黒田
前の……?
雨宮結衣
黒田さんが、ふっと笑う。
黒田
雨宮結衣
思わず聞き返すと、
黒田さんはカレーを口に運んだ。
黒田
そう言って、
何事もなかったようにまたカレーを食べ始めた。
前の、藤原さん。
いつもふざけて、
憎まれ口ばっかり叩いて、
勝手に私の世話を焼いて。
……私が知ってる藤原さん。
私と一緒にいた時の藤原さんが、
本当の藤原さんだったってこと……?