少し肌寒いけれど 陽が暖かい冬の日
私は愛猫のタマと共に 日向ぼっこをしていた
うとうとしていると、大好きな香りが私の鼻をかすめた
この匂いは…
貴方
貴方
やっぱり貴方だった
私
貴方
私の「ありがとう」がよっぽど嬉しかったのか
貴方はシワだらけの顔を 更に歪ませて笑った
私はそんな貴方を見ながら お茶の香りをゆっくり楽しんだ
私
私
私
貴方
貴方はさっきよりも もっともっと嬉しそうに笑った
私も嬉しくなって 小さく笑った
私
私
私
貴方
貴方
貴方
貴方
私
とても嬉しくって
私はお茶を口に入れながら60年前のあの日の事を思い浮かべた
60年前
私はまだ17歳で とても若かった
私
私
私
母親と大喧嘩して
真冬だというのに長袖1枚で家を飛び出してきてしまった私は凍えていた
そこで出会ったのが
貴方
当時19歳だった貴方。
貴方
貴方
貴方
私
今考えると初対面の人の家に行くなんて本当に無防備だったわ
だけど、行ってよかったと思ってる
これが今の私達に繋がるのだから。
貴方
貴方
あの時の貴方はヒーローのようにかっこよくて
一目惚れしちゃったの
凍えた体に染み渡る緑茶は とっても美味しかったわ
これが私達の出会い
私
私は昔の事を思い出して笑った
貴方がやらかした時の事
バカみたいに騒いだ日の事
数々の思い出を引っ張り出して笑っていると貴方が私に問いかけた
貴方
貴方
私
貴方
貴方
私
イタズラっぽく笑うと
貴方
貴方
貴方
貴方はもっと意地悪な顔をした
私
私
貴方
2人の笑い声が響く中、
私がお茶を飲み干すと
60年分の愛を詰め込んだ お茶の香りが辺りを包み込んだ。
私は10年後も20年後も
この香りを楽しめたらいいのにな、なんて事を考えた
私
貴方
私
この愛の香りをいつまでも 貴方の傍で楽しませてください
私はそう言おうとして辞めた
…だって、わざわざお願いしなくたって
ずっと傍に居てくださる 自信がありますから笑
コメント
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何処ぞのマダムみたいな話し方じわる
改めて今見たらクソだな((
(´꒳`)ホッコリですねっ! 心がぽかぽかしたり、微笑ましいです!