テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
静かに手を下ろした、結月だった。
伏黒 恵
結月
それだけ言って、結月は前を向く。
虎杖が目を丸くした。
虎杖 悠仁
その言葉を遮るように、呪霊が姿を現す。
四肢が歪みに絡み合った巨体。
壁を這うように蠢きながら、低く唸る。
釘崎 野薔薇
釘崎が舌打ちする。
呪霊は一瞬で距離を詰めた。
腕が三方向から虎杖を覆う。
虎杖 悠仁
虎杖が構えーー
その瞬間。
三つの腕が、同時に軌道を変えた。
まるで見えない壁に触れたように、
弧を描き、別方向へ逸れる。
虎杖の背後、床が爆ぜる。
虎杖 悠仁
結月が小さく息を吐いた。
彼女の周囲に、淡く歪む空が広がっている。
水面のように揺れ、光を反射する見えない膜。
結月
静かな声だった。
結月
伏黒が呪霊を睨む。
伏黒 恵
結月
結月は視線を動かさずに答える。
結月
次の瞬間。
呪霊が咆哮と共に呪力を収束させる。
濁った塊が放たれた。
直撃すれば、確実に致命傷。
釘崎が舌打ちする。
釘崎 野薔薇
結月の指先が、微かに動いた。
空間に走る、細い亀裂。
砕けた鏡のような面が展開される。
呪力魂が触れた瞬間、
無数に分裂し、軌道を変える。
そして。
その大半がーー呪霊自身へ降り注いだ。
爆ぜる肉塊。
ビルが震える。
煙が晴れた時、呪霊は膝をついていた。
虎杖が呆然と呟く。
虎杖 悠仁
結月は何も言わない。
ただ静かに、呪霊を見据えていた。
ーー足元に、小さな血溜まりを作りながら。