鬱病

⚠︎ アメリカがちょっとヤンデレっぽくなってる…？

どこから回ろう。

リビングから近い所から行くか。

まずは風呂。

俺は、風呂なんか全然入っていない。香水とかで誤魔化している。香水とかと言っても、安物だけど。

風呂は意外と広い。普通の大人2、3人くらい入る大きさだ。

昔はよく、カナダとオーストラリアとニュージーランドと一緒に入ってたな。懐かしい。

今では下2人は、俺の存在はないというかの様に相手をしてくれない。

昔は仲が良かったのに。

次の所へ行こう。

ここは和室か。

俺の家に和室なんてあったのか。

一定の部屋にしか入らせてもらえなかったから和室があるなんて知らなかった。

部屋には、ほとんど何も置いていない。あるとしても小物だけ。

クローゼットなどの大きい物は一切なく遊び回れるくらいの広さだ。

それにしても、この部屋を全然使っておらず掃除をしていないからなのか、埃がすごく溜まっていてむせてしまう。

咳が止まらない。苦しくなって来たので部屋を出た。

ここは、オーストラリアとニュージーランドの部屋っぽい。

2人入るには丁度いい広さだ。

図鑑とか、写真で棚がいっぱいになっている。

ビックサイズのベッドが一つ。そのベッドで2人で寝ているのだろう。仲良しだな。

それにしても綺麗だな。ちゃんと掃除しているのが分かる。俺とは真逆だな。

俺は全然片付けないから部屋はすごく汚い。

あまり人の部屋をじろじろ見るのは良くない。そろそろ他の部屋を見に行こう。

ここはカナダの部屋か。

やはりカナダの部屋も綺麗だ。きちんと整理整頓されている。

だが、高校のプリントや、練習用のノートにパソコン。高校の用具が机の上に沢山置いてあり、机は少し散らかっている。

プリントにはどんな事が書かれているのか気になり少し読んでみた。

どうやら、高校2年生の数学のプリントらしい。俺は丁度高校2年生の頃から行かなくなったから、この数学の計算の仕方は一切分からない。

所々見ていくと、高校1年生の復習プリントもあるようだ。

高校生は大変なんだな。なんて思う。

それに、高校生の頃、自分が生きているという事も実感できて少し嬉しい。

カナダの部屋では懐かしさがあったな。そう思いながら部屋を出た。

この部屋は……

ここに来ると嫌な思い出しか浮かんでこない。

昔あった事を思い返してしまう。

さっきまでいい雰囲気だったのに、その良かった雰囲気が一瞬にしてなくなる。

俺は思わず顰めっ面になる。

昔みたいに胸がぎゅうと苦しくなる。

この場にいると碌でもない事が起きないそう悟った。この部屋から今すぐ出ていこう。そう思った時。

とある、写真立てに目がいく。

写真を見た瞬間、驚きで固まる。

そう、写真に写っていたのは笑顔の俺と

親父だった。

どうせ見間違いだろう。と思い目を擦り見返すが、何の変化もない。

という事は見間違いでもなんでもないという事。

まさか、親父がこんなものを飾っているなんて思いもしなかった。

そう、あの親父が…

俺の事が嫌いなはずの親父が…

俺と笑顔でいる写真を…

ベッドの横にある棚に飾っているなんて…

もしかして本当は俺の事……いや、そんな事はない。絶対に。

他にも俺の写真がないか気になってしまい、部屋を探索する事にした。

荒らさないくらいに。

やはり、他の所にも俺の写真があった。

それも全部、幸せそうな顔をしている。

作り顔ではない。本当に嬉しそうな顔をしている。

俺は唖然としてしまう。

昔は俺に優しくしてくれたのか。

どう言う事だよ。

その時は家族として思っていた？

ならずっとそう言う関係でいたかった。

誰もいないのにまるで、誰かいるかの様に独り言を呟く。

その誰かは、親父だろう。

正直自分でも分からない。

独り言なのか、誰かに言っているのか。

自分が怖い。

すると、急に俺は膝から地面に崩れ落ちる。

それと同時に涙がぽろりと溢れ落ちる。

カーペットにシミとなってついてしまう。

怒られる。

勝手に人の部屋に入ったなって。

怒られる。

怒鳴られる。

前みたいに。

せっかくもう、怒られないと思ったのに。

探索しようなんて思った自分がバカだった。

やめとけば良かったのに。好奇心で浮かれて探索して。

結局辛い思いするのは自分なのに。

やめとけば良かった、なんて今更思ってもやり直す事なんかできない。

涙が止まらず次々と溢れて出てくる。

部屋に戻りたい。

でも、動かない。体が言うことを聞かない。

なんでこんな時に限って動かないんだよ…

嫌だ…早く動いて…

すると、後ろから

がちゃと言う音が聞こえた。

あ、終わった…