紫耀
廉には笑顔が1番似合ってると思う
俺の顔を覗き、微笑みながら そう言う平野さん。
廉
そんな事初めて言われた。
やけど、もう俺には
笑顔になる方法とか、 笑顔を作る方法なんて、 覚えてもいない。
笑わずに、 無表情か、涙を流すだけの日々
そんな、俺に笑顔が溢れる なんて、事はなかった。
紫耀
かもしれないけど
…笑顔になれねぇなら、俺が笑顔に
させる!
だから、廉。仲良くなろ!!
顔を俯かせる俺に そう言う平野さん 仲良くはなれない、 やけど、
なれるもんなら、平野さんと 仲良くなりたい。
俺の中に生まれたこの感情
まだ会ってから、数時間の仲 やけど、平野さんは、
今、俺が居る、暗い闇の中から 連れ出してくれそうな気がして、 なんだか勝手に嬉しくなった。
ぐうっ
紫耀
俺も食べよ!いただきまぁ〜す!
俺の隣で お弁当を広げ、手を合わせて、 食べ始める平野さん。
そういえば、 誰かとご飯なんて、 ほんま久しぶりやわ。
なんか、誰かとご飯なんて良いな。
なんて思いながら、 ご飯を食べた。
紫耀
廉、俺が話した時に、関西弁
混ざってたじゃん
関西から引っ越して来たの?
お弁当を黙々と食べ続ける俺に 平野さんはそう質問した。
廉
大阪に居て。
高校は、東京の、この高校に
行きたいって、思って…
俺は、そう答えた。
紫耀
名古屋から上京してきたんだ〜!
なんて、にこって微笑みながら そう言う平野さん。
眩しいし、明るい、 この薄暗い校舎裏でさえ、 明るく照らすような、 こんな眩しい存在に、俺は、 なれるやろうか、
こんな眩しい存在と、俺は、 “友達”になれるやろうか、
さっきまで、久々に明るい気分 やったくせに
すぐに暗い気分になる
他人にも優しくないなんて、 自分にも優しくできないなんて、
ほんま、どうなってるんやろうな
自分の醜さに 嫌気が差して、吐き気がする
そして、それに、 自分の最低さに笑いが込み上げてきそ うになる。
ほんま、俺おかしい
こんなん、どう考えても、 自分のせいやのに、
“アイツ”の所為だ 俺を苦しめた アイツが…
とか、考える、自分が大っ嫌い
ちっとも、優しくない
相手のせいにする最低な奴
急に苦しくなり、気付けば
涙を流していた。