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イザヤ

魔物が集落を襲ってきたんだ。
早く診療所の中に隠れろ!

霽月

そんなことが……?

メグリ

犯人は先程の方でしょうか。
ですが何故───

イザヤ

メグリさん? メグリさんも来てたのか。

メグリ

はい。月が綺麗に出ていると聞いたので。
わたくしは見ることは出来ないのですが。

イザヤ

先程言った通りだ。
ついさっき、魔物が集落を襲ってきたから隠れた方がいい。

霽月

でも、リアムはどうするの?
家に置いてけぼりなんじゃない?

メグリ

弟ならどうにかなるはずです。
もうリアムも子供ではないので。

イザヤ

とりあえず隠れた方がいい。
1階に皆集まっているから俺達も行くぞ。

霽月

分かった。

霽月達3人は1階の待合室まで移動してきた。 突然の襲撃に不安を抱えている人達が多く、待合室は軽くパニック状態になっている様だった。

イザヤ

落ち着いてくれ。戦える者が既に出発して魔物を止めてくれているはずだ。

霽月

やっぱパニックになるんだね。
そりゃ当然か。

メグリ

霽月さんは冷静な様ですが……
もしや、こういう事態に慣れていらっしゃる?

霽月

そういう訳でもないと思うけど、どうなんだろう。

霽月

前にアルコイリス校に行ったらゴブリンに襲われたことがあったから、それで慣れたのかも。

メグリ

それは大変ですね。
霽月さんは戦ったのですか?

霽月

イザヤと学校の友達と一緒に戦ったよ。

メグリ

戦闘の経験もあってこの様な場には慣れているのかもしれませんね。

メグリ

わたくしも数年前は戦っていましたが……
失明してからはそうもいかなくて。

メグリ

結局、武器は捨て、サポートに回ることになりました。

霽月

やっぱりそれ、不自由なんだね。

霽月

(そういえば、あたしがこの前戦った時は……)

霽月

……その戦闘の時のことで思い出したことがあるんだけど、聞いてもらってもいい?

メグリ

えぇ。わたくしで良ければ聞きますよ。

霽月

あの時、あたしは拳銃を渡されたんだ。
それが何故か結構手に馴染むというか───

霽月

あたしは記憶を失くす前、それなりに戦闘経験があったのかもね。

メグリ

ふむ……。

メグリ

霽月さん、どの武器が1番自分に合っているかは確かめてみましたか?

霽月

武器屋とかで、ってこと?
まだしてないよ。その他のことが忙しくて。

メグリ

では1度調べてみるといいかもしれません。
なにか手がかりになり得るかもしれませんよ。

霽月

そうだね、考えてみる。

イザヤ

おい、霽月。戦場には行けるか?
手伝ってほしいんだが……。

霽月

分かった、行くよ。
武器は?

イザヤ

これだ。

そう言うと、イザヤは1本の剣を霽月に渡した。 剣は斬れ味が良さそうなものだった。

霽月

……剣?
前は銃じゃなかった?

イザヤ

あぁ、お前にこの前貸した銃が壊れてしまったんだ。

イザヤ

まだお前は武器の適性検査すらしていないから、それを使っていてくれ。

霽月

(そういえば、銃はあの後イザヤに返したんだった。)

霽月

うん、分かったけど───

『この剣は俺の大切な剣だ。 これはお前にやるから、大切に使えよ。』

『そうそう、この剣の名前は───』

霽月

───っ!

霽月

(どうして……急に頭の中に何かが……。)

霽月

(……いや、これは記憶?)

霽月

(どうしてだろう……。
銃より手に馴染んでいる気がする。)

イザヤ

どうした?

霽月

ううん、大丈夫。早く行こう。

霽月

メグリも、気を付けて。
いつここが襲撃されるか分からないし。

メグリ

あぁ、そうでした───。

メグリ

もし魔物と戦われるのなら、リアムを探してきてくれませんか?

メグリ

あの子も子供ではないとは言ったものの、
少し心配ですので。

霽月

分かった。

イザヤ

よし、早く行くぞ。
戦場にはスイとマドカも居るはずだ。

霽月

ハア”ァ”……。
イザヤ足速くない?

イザヤ

お前はもっと訓練が必要だな。
それもいずれするぞ。

『はは、お前はもっと訓練が必要だな。 いずれは俺にも勝てるようになってくれよ。』

霽月

……?

霽月

う、うん……。

スイ

あっ、霽月さん! イザヤさん!

マドカ

眠い……。

スイ

あはは……。
住民の皆さんの為だから、頑張って。

マドカ

はぁ〜い♪

イザヤ

スイ。今はどんな状況なんだ?

スイ

はい。突然集落に魔物が襲ってきた様で……。

スイ

数は多いのですが、強さはそこまででもないのでどうにか森の方まで押しやったんです。

霽月

それじゃあ、魔物を倒したらいいんだね。
思ったより簡単そうじゃん。

マドカ

森の奥には魔物を一時的に封印できる場所があるので、大変ならそれも使いましょう。

イザヤ

……それじゃあ、行くぞ!

霽月

勿論。

リアム

(……今日は月が綺麗に出てるな。)

リアム

(姉さんと一緒に見られたら楽しかっただろうに。)

リアム

(子供みたいだ、って笑われるかな……。)

魔物

……。

リアム

───不法侵入。

魔物

……。

リアム

だから君、不法侵入だって。

リアム

……って、魔物に言っても伝わらないか───。

すると、リアムはナイトテーブルに置いてあった 薬とナイフを手に持つ。

リアム

……悪いけど、毒、使わせてもらうよ。

リアム

恨むなら不法侵入した自分を恨みなよ。
───僕、これでも薬剤師だから。

魔物

……。

リアム

おかしい……。

リアム

(全くもって手応えがなかった。
もしかして有り得ないくらい弱い?)

リアム

毒を使うまでもなかったかな。

リアムは先程まで使っていたナイフを見ながらそう呟いた。 すると、魔物が突然闇に包まれて消えていった。

スゥッ───

リアム

……!

リアム

(普通の魔物は消える時は灰になる。
でもそれがないということは……)

リアム

(……しかも闇に消えたときた。)

リアム

これは───

サキュバス

……あら。

サキュバス

ワタシのオモチャが減っちゃったわね……。
もしかして、アナタのせいかしら?

リアム

(サキュバスか。
これまた厄介な……。)

リアム

僕以外に誰が居るのかな。
もしかして誰か見えてる?

リアム

やっぱり魔物は一味違うんだね。
でも僕は───うわっ!

ドサッ

リアムは、部屋の隅に置いてあった 木箱の上に打ち付けられてしまった。 サキュバスがリアムを蹴飛ばしたのだ。

リアム

ケホッ、ケホッ───!

リアム

人が喋っている時に蹴るなんて……ケホッ!
いくら魔物でも礼儀がなってないんじゃない?

サキュバス

あら、これは失礼。
よく回る口だなぁ、と思っただけよ。

サキュバス

ワタシはサキュバス。
よろしくお願いするわ。

リアム

君によろしくされるつもりはないんだけど……!

リアムはサキュバスを精一杯の力で蹴り上げようとするが、 サキュバスはひらりとその攻撃を避けた。

すると、サキュバスは口に手を当て笑う。

リアム

……何?

サキュバス

ふふ……あまりにも滑稽だったのでね。
気にしなくてもいいわ。

リアム

そう。

リアム

君は何なの?
さっきの魔物は何?

サキュバス

えぇ、さっきの魔物は……
ワタシの使い魔のようなものかしら?

サキュバス

ペットでもあり、オモチャでもあり、武器でもある……。

サキュバス

そんなワタシの可愛い可愛い使い魔を1匹殺した罪は重いのよ、ニンゲンちゃん?

リアム

うるさいよ。
サキュバスも使い魔も変わらないでしょ。

リアム

僕は月を見てただけなんだけど。
僕が君と戦闘する必要ある?

サキュバス

それは……上からの命令、かしら。

リアム

何だろうと帰ってもらうよ。

リアムは懐に隠していたナイフをいくつか取り出し、 サキュバスに向かって投げた。

サキュバスは軽々しくそれを避ける。 余裕飄々、といった様だった。

ガッ───!

今度はリアムはナイフを投げるのではなく サキュバスを殴ろうとしたのだが、それもサキュバスの 足によって防がれてしまった。

リアム

(ナイフは刺さらないし、殴るのも蹴るのも通用しない……。)

リアム

(いや、諦めるのはまだ早い。
攻撃しまくって攻撃の量で押し切れば……!)

サキュバス

あら、戦闘中まで呑気に考え事?
隙だらけよ、っと……!

サキュバスが3回蹴りを入れる。 リアムは2回目まではそれを避けていたが、 3回目に当たってしまった。

ハイヒールの鋭利なかかとが、 リアムの顔に1つの細い切り傷を作った。

リアム

いっ……!

サキュバス

ふふ……。

サキュバス

アナタ、あまり戦闘経験が無いのかしら?
隙だらけだし、何より弱いもの。

切り傷の傷口から、血がたらりと垂れる。 リアムはその感覚に少しの不快感を覚えた。

それでも血を拭い、リアムはサキュバスを睨みつける。 サキュバスはにやりと口角を上げて笑った。 そして、リアムの右手をハイヒールで踏みつける。

サキュバス

威勢だけはいいみたいだけど、
アナタ、本当にワタシに勝てるのかしら?

サキュバス

ワタシ、とても強いわよ?

リアム

ハァ……ハァ……。

サキュバス

それにアナタ、もうボロボロじゃない!
ニンゲンの言葉で言う満身創痍ってやつ?

リアム

うるさい……。

リアム

───うぐっ!

グググググ……

サキュバスは右手でリアムの首を掴み、壁に押し付けた。 そして、サキュバスの左手には先程の闇が纏っていた。

サキュバス

そろそろ飽きてきたわ。
もっと面白いニンゲンは居ないかしら。

サキュバス

アナタはワタシの闇に放り込んでオシマイ。
きっとアナタは耐えられなくて死ぬわ。

サキュバス

まだまだこれからだったみたいだけど、
人生お疲れ様とでも言うべきかしら?

サキュバス

とにかくアナタは殺して───

ヒュウッ───

ザクッ

サキュバス

……は?

この作品はいかがでしたか?

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