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子供のアオイ

おじいちゃん

子供のアオイ

鯉と一緒に、クラゲ飼ってー

子供のアオイ

わたし、鯉よりクラゲが好き!

祖父

クラゲか…

祖父

うーん…

祖父

アオイ

祖父

海の生き物は、淡水では生きられないんだよ?

子供のアオイ

たんすい?

祖父

鯉みたいに、池や川で生きる魚の事だよ?

子供のアオイ

ふうん

祖父

水には、海水と淡水があってね?

祖父

この鯉みたいな、淡水魚だけが

祖父

海水でも、淡水でも、生きていけるんだよ?

子供のアオイ

子供のアオイ

そうなんだ

子供のアオイ

(わたしは…)

子供のアオイ

子供のアオイ

(淡水魚だったんだ)

別の日 母と買い物に出かけた

今日は、新しいお洋服買ってあげるからね?

子供のアオイ

…うん

正直 母との買い物は憂うつ

わたしは 色へのこだわりが強く

母を困らせてばかりいた

アオイ、この服は?

子供のアオイ

ヤダッ!

子供のアオイ

赤い服は、イヤ!

どうして?

前は着てたでしょう?

子供のアオイ

あれは、白が混じってるもん!

子供のアオイ

この服は、イヤ!

アオイ!

子供のアオイ

どうしても、イヤなの!

赤は苦手

赤は自分の色じゃない

子供のアオイ

青か緑がいい!

もうっ!

せっかく、かわいいお洋服を着せてあげようと思ったのに!

母の理想の子に

わたしは なれなかった

「感覚が違うね?」

子供のアオイ

そうかな?

「感性が人と違う」

子供のアオイ

そうなの?

子供のアオイ

子供のアオイ

…わかんない

それが自分への嫌味だと 気付いたのは

ずっと後のこと

ある日、学校で よく晴れた空を見て

アオイ

今日の空…

アオイ

飛んだら、気持ち良さそうだねぇー

友達

友達

え?

友達

何言ってるの?

友達

ちょっと、怖いんだけど…

アオイ

そう?

アオイ

アオイ

変な事、言ったかな?

クラスの女の子

アオイさんって…

クラスの女の子

見える人?

アオイ

なにが?

クラスの女の子

霊感とか、あるの?

アオイ

霊感?

アオイ

ないけど?

クラスの女の子

クラスの女の子

そうなんだぁ

別の日

アオイ

ちょっと待って

友達

…なに?

アオイ

あのさ…

アオイ

アオイ

なんで、怒ってるの?

友達

怒ってない…

友達

けど?

アオイ

でも、トゲトゲしてる

友達

友達

あぁ、もう!

友達

いちいち、人の感情読まないでよね!?

友達

気持ち悪い!

アオイ

……

アオイ

(わたしは、ただ)

アオイ

(感じたまま、言っただけなのに…)

感情を読まれる事を 人は嫌うと

友達を怒らせてから 初めて気づいた

クラスの女の子

アオイさんさー

クラスの女の子

占い師になれば?

アオイ

友達

良いと思うな

友達

なれるよ

「アオイさんなら」

アオイ

……

気づいてしまった

クラスメイトの 楽しそうな言葉が

意地悪だった事に

アオイ

(人魚姫になりたい)

アオイ

アオイ

(海水魚に、産まれたかった…)

王子様なんていらない

お姉様達の美しい髪と 引き換えに

短剣を手に入れる事も

王子様を守るため

海の泡になる事も

わたしは望まない

人と同じ体に生まれ

人と同じ声を持ち

人と同じ言語で話すことの素晴らしさを

わたしは知っているから

いつかの教えを守り

本の海を泳いだ

美しい言葉の羅列から 正しい言語を学び

人として生きる術を 手に入れた

生きる上で必要な事は 手に入れたつもり

偽りのわたしも

本当のわたしも

受け入れてくれる友人達

頭をかき乱すほどの衝撃をくれる憧れの人

そして

新しい趣味

「演劇」

その出会いは わたしに自由をくれた

だけど

自由が好きなわたしには

その世界が狭かった

アオイ

悲しみも、光も、闇も

アオイ

全部、全部、詰め込みたい!

アオイ

同じ人に伝えたいの

アオイ

仲間が居るって!

演劇の仲間

演劇の仲間

明るい話にしよう?

アオイ

だけど…!

演劇の仲間

アオイ

演劇の仲間

劇はアオイ一人で、演じるんじゃないよ?

アオイ

アオイ

そう、だね?

わたしのズレは また

人との距離を広げた

集団行動は苦手

自由の無い世界は嫌い

わたしは自由を求め

再び彷徨う

やがて

ひとつの海を見つけた

アオイ

(ここなら、わたし)

アオイ

(息が出来る)

アオイ

(自分らしく生きられる)

そう思った

アオイ

(ああ…)

アオイ

(ここはなんて、居心地がいいんだろう…)

ある日の事

偶然知り合った仲間が 教えてくれた

仲間

ねえ、知ってる?

仲間

ここには、ニセモノが居るんだよ?

自分の事かと思って ドキリとする

だけど違った

わたしも 『ソレ』を見た

『ニセモノ』を…

赤と黒の衣装に 身を包み

たくさんの光を浴びて

堂々と海を泳ぐ

優雅な生き物

仲間

ニセモノだけど…

仲間

ボク達よりも、ずっとずっと、強いんだ…

アオイ

落ち込まないで?

わたしは仲間を励ます

だって、わたしには

哀れに見えたもの

その派手な生き物が

アオイ

身の丈に合わない、他人のドレス…

アオイ

アナタには、窮屈でしょう?

長いヴェールが揺れて

その身を包み込む

アオイ

ヴェールで、目の前を隠しても…

アオイ

自分の心は隠せない

光が宙を舞い

スポットライトを浴びせる

アオイ

きらびやかな光

アオイ

人工ダイヤのアナタには

アオイ

眩しすぎるんじゃない?

偽りの美しさは

その身を滅ぼす

わたしは海に生きる淡水魚

違う水で生きる苦しさは

よく、知っているわ…

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コメント

6

ユーザー

はじめまして。人魚姫のくだりの部分。 何度か読み返しているうちに、人間的な自己矛盾の美しさにぶち当たる感覚がたまらなく好きです。

ユーザー

コメント失礼します。本人に悪気がなくても人と少し違う、それだけで周りは意地悪をする.......生きづらい世界ですよね。アオイの最後の言葉が切ないです。

ユーザー

最後の生き物はエチゼンクラゲかミミックオクトパス…? 人と同じ環境でも息苦しくない感性、羨ましいですよね…

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