流星side
僕の思いが狂い始めた。 あの日から数日。
暫くぶりにグループでの仕事。 音楽番組の収録。
そして婚約パーティーまで後一週間。
大ちゃんが婚約したことは まだ大々的には発表していない。
婚約パーティーが終わってから メディアに載るらしい。
後一週間で... みんなの大ちゃんでも 僕の大ちゃんでもなくなる。
そう思いながら...今日のスタジオへと向かう。
いつもはすぐに開けられる楽屋の扉も... なかなか開けられない。
そう思って立ち止まっていると
道枝
流星
流星
流星
......
道枝
ガチャッ......
そう言ってみっちーは扉を開けてくれた。 開けた先には僕ら以外のメンバーが、揃っていて 楽しい雰囲気でいっぱいだった。
丈
大橋
大橋
大橋
そう言われて、手招きされた先には ジャケットやシャツ、ベストなど...
スマートカジュアルの服が並べられていた。
謙杜
そう言われて持ってきたのは オフホワイトのジャケットやレース調のシャツ、 リボンのタイなど...
どちらかと言うと可愛い感じのもの。
道枝
謙杜
花嫁さんは白。 僕はオフホワイト。
そう。 純白ではない白。
僕は純白にはなれなかった。
流星
恭平
大橋
大吾
僕の服は甘いスイーツを連想させるもの。 見た目はまるでホワイトチョコ。
純白ではないか... 黄色味がかかったホワイトチョコの色。
でも、僕の今の気持ちは 苦い苦い...ビターすぎるオレンジの皮をかじった あの...苦味の強いもの。
そんな気持ちを抑えながら... みんなの空気に合わせるように。 ビターな上からホワイトチョコをかけていった。
衣装合わせが終わり... 音楽番組の収録も何もなく終わる。
特に感情も入る事なく やることだけをやって帰ろうとした時。
大吾
大ちゃんに呼び止められる。
今一番声をかけられたくない相手。
だって...
僕のホワイトチョコのコーティングが 剥がれそうになるから。
流星
大吾
大吾
流星
楽しみなんて嘘。
何度... 婚約しないで!って言いたかったか。 僕の気持ちも聞いて!って伝えたかったか。
でも、もう遅い。 今言っても大ちゃんを困らせるだけ。
そう思って 僕は何もなく手を振って別れた。
帰り道。 僕のホワイトなコーティングなんて とっくに全て熔けて...
苦味の強い...気持ちだけが残っていた。