部屋の扉にはそれぞれネームプレートが付いている。
どうやら瀬良とは隣の部屋のようだ。
連絡するまでもない気がする。
夕影 琥珀
(机となんか頑丈そうな椅子だな。
引き出しの中には…)
夕影 琥珀
…ナイフと拳銃っ…
他の人達の部屋にも入っているのだろうか。
後で瀬良にも聞いてみよう。
夕影 琥珀
なんか凄い寝やすそうなベッドだな。
クローゼットもあるし、シャワールームとトイレも別々になってる。
生活には困らないそうな完備だな。
クローゼットの中には着替えと僕の着てるシャツと全く同じものが数枚入っていた。
もはや住めるくらいにいい設備といった所だろうか。
夕影 琥珀
あ、そうだ。
タブレット見てない。
ベッドに座ってタブレットを開く。
タブレットには説明の通りにライナーが入っている。
後は今回自分が暗殺者かを確かめることが出来るらしい。
"今回あなたは暗殺者ではありません"
夕影 琥珀
暗殺者ではない…か。
流石に暗殺される側は書かれてないんだな。
そして、建物の構造や何処にどの部屋があるか分かるようになっていた。
食堂は勿論のこと洗濯が出来るようにランドリー、図書館や保健室、音楽室まであるのか。
…監禁する気があるのかってくらいに設備がいいな。
いや、今の言葉を撤回しよう。
何故なら…武器倉庫、死刑執行場所もあるからだ。
それを見て改めて暗殺ゲームが本当に行われている事を意味する事を確かめるには充分だった。
春凪 瀬良
春凪 瀬良
琥珀、そろそろ部屋行きますけど大丈夫ですか?
夕影 琥珀
夕影 琥珀
あぁ、いいよ。
それより合言葉を決めようか?
春凪 瀬良
合言葉…ですか?
夕影 琥珀
瀬良だと分かるように合言葉を決めといた方が安全だと思わないか?
春凪 瀬良
確かに僕だと分かったら琥珀が合言葉を知っている僕以外に殺されるということはまずないですよね。
あ、あくまで例ですよ?
夕影 琥珀
分かってるよ。
瀬良は頭がよく回る。
それに何があってもお前は人を殺さないことくらい分かってる。
・・
それに俺達は簡単には死なないだろ?
春凪 瀬良
…そうですけど。
まぁそれは逆に僕にしても琥珀以外がその合言葉を知らなければ琥珀以外にはこの部屋に入れないのでいいかもしれないですね。
春凪 瀬良
そうですね…2人しか分からないのがいいですよね。
夕影 琥珀
4月17日
春凪 瀬良
僕達が出会った日
春凪 瀬良
そう答えましょう
夕影 琥珀
よし。それで行こう。
夕影 琥珀
4月17日は?
春凪 瀬良
僕らが出会った日
夕影 琥珀
正解。
春凪 瀬良
入るよ?
夕影 琥珀
あぁ、どうぞ。
合言葉を言って瀬良は部屋に入った。
ベッドに座ると顔を上げて僕の方を見た。
春凪 瀬良
じゃあ、話を始めましょうか。
夕影 琥珀
あぁ、で何の話だ?
春凪 瀬良
・・
アレについてです
夕影 琥珀
・・
アレか…
2人しか知らない秘密。
それは僕らは少しの外傷では死なないということ。
銃やナイフで一発くらいでは簡単に死ねない。
つまり不死だということだ。
春凪 瀬良
恐らく僕ら2人が不死だということは此処いる誰も知らないと思うんです。
夕影 琥珀
確かにな。
春凪 瀬良
ですが、例外もあります。
夕影 琥珀
例外?
春凪 瀬良
このゲームの主催者。
つまり僕達をこの建物に閉じ込めた張本人です。
夕影 琥珀
そうか。もしかしたらそれをそいつは知っている可能性がある。
春凪 瀬良
はい。
つまりそうなると簡単に僕達を殺せるとは思っていないはずなんです。
夕影 琥珀
なら、もしかしたら…僕達を殺す方法を知ってる可能性があるってことだよな。
春凪 瀬良
恐らくその可能性はあると考えるのが妥当でしょうね。
だから、何かしら武器倉庫に僕達を殺す事が出来る物があるのかもしれません。
夕影 琥珀
油断は出来ないってことだな。
もし、今回どちらかが暗殺者…或いは暗殺される側だった場合は殺されても可笑しくはない。
春凪 瀬良
そうなりますね。
でも、暗殺者がそれを知らずに普通に殺しに行けばまず僕達は死ぬということはないでしょうね。
夕影 琥珀
そうだな。
でも、疑問に思ったんだが…
春凪 瀬良
なんですか?
夕影 琥珀
俺達は自分達が死ぬ方法を知らない。
春凪 瀬良
そこなんですよ。
だから、死ぬ方法が分かれば回避出来るかもしれないのにまだ情報が足りないのです。
夕影 琥珀
それは暗殺者側によってって事になるな。
春凪 瀬良
そうなると頭のいい人だったら厄介になってきますね。
夕影 琥珀
確かにそうかもしれない。
春凪 瀬良
武器倉庫の他にも気になる所があるんです。
夕影 琥珀
なんだ?
春凪 瀬良
保健室です。
薬や手当に使ったりする医療関係の物があったらその中に特殊な薬があっても可笑しくはないと思いませんか?
それに参加者の中に医療に詳しい人がいても可笑しくないってことです。
夕影 琥珀
そうだな。
そしたらまた厄介なことになるな。
春凪 瀬良
後で保健室とかも見に行きませんか?
夕影 琥珀
俺達が暗殺者だと疑われる可能性もあるんじゃないか?
春凪 瀬良
…!確かにそうでした。
なら他の人も連れて行けばいいのでは?
夕影 琥珀
もしその中に暗殺者がいたら?
春凪 瀬良
それで特殊な薬を誰かが取らないために僕が見張ります。
だから、琥珀は出来るだけ危険そうな薬を隠してください。
それで2人で処分しましょう。
夕影 琥珀
分かった。
後…瀬良一ついいか?
春凪 瀬良
なんですか?
夕影 琥珀
…お前は暗殺者じゃないよな?
春凪 瀬良
違いますよ。
それに僕は人を殺すのは嫌いです。
もう誰かが目の前で死ぬのなんてイヤです。
夕影 琥珀
疑ってごめんな。
一応聞きたかったんだ。
春凪 瀬良
いいんですよ。
それは分かっていたことです。
僕も聞こうと思ってました。
琥珀は暗殺者じゃないですか?
夕影 琥珀
俺は暗殺者じゃない。
それに絶対誰も殺したりなんかしたくない。
春凪 瀬良
琥珀を信じます。
それに琥珀は僕に嘘を吐いたことなんてないですから。
夕影 琥珀
ありがとな。
僕も瀬良のこと信じてるからな。
春凪 瀬良
あ、そういえば…僕が女の子だって事誰にも言わないで下さいね?
夕影 琥珀
あぁ、分かってるよ。
それに関しても秘密にしておくよ。
瀬良は見た目は男に見えるが女だ。
それがバレても別にどうって事じゃないが本人はイヤだと言っているので黙っておこう。
春凪 瀬良
そういえば今何時でしょう?
夕影 琥珀
…12時だ。
誰か殺されても可笑しくないな。
春凪 瀬良
外を見に行きましょうか?
それに僕お腹空きました。
夕影 琥珀
そうだな。
他の人と情報共有をしたいしな。
食堂には日野出 結、夏雨 切梛(ナツサメ キリナギ)、千賀 棚谷(センガタナヤ)が既にきていた。
丁度いい。
色々聞いてみよう。瀬良と2人で顔を合わせると食堂の席に着いた。