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第1話 【また夜に会いましょう】
つまらない
右を見ても左を見ても、新しい環境にはしゃぐ子供ばかり
更には担任まで子供っぽくて嫌気がさす
佐竹 蝶華
無意識に溜め息が出る4月某日
今日は青南高校の、いや、私の記念すべき入学式だ
記念、なんて言葉を使っている時点で貴女も周りの子供と同じじゃない、って?
それは違う
何故って、私は高校生になった事を喜んでいる訳ではないからだ
高校生なったら有効になる約束事があるから、記念とゆう言葉を使ったまで
周りと一緒にしてもらっては困る
三好 貴文
三好 貴文
三好 貴文
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
ーガタガタガタッー
先生とバッチリ目が合ってしまい、帰りの号令を任される
私の号令で皆が立ち上がり、私に続いて帰りの言葉を交わす
あぁ、やっと終わった
教科書類は机に全部突っ込んで、書類系だけ鞄に仕舞う
皆思い思いに友達作りをしていたが、興味も無いのでさっさと教室から出る
そこでふと気付いた
自分の足取りが妙に軽い
佐竹 蝶華
誰にも聞かれない声で呟き、不敵に笑って玄関へと向かった
少し、家の事について話をしましょう
まず始めに言っておくのが、私は今の家の子供では無い事
産みの親は顔も名前も、何も分からない
私の名前も、元々は無かったそう
そんな卑屈になる話じゃないわ、よくある話よ
今の両親、つまり育ての親が引き取ってくれたおかげで、今私は生きていられる
その恩があるから、私は両親にはあまり逆らえなかった
と言っても、両親は優しくて何不自由無い生活を送らせてもらっているわ
家は近所では名の知れたお金持ち
帰る家だって、お屋敷の様だと周りの人は口を揃えて言う
まぁ、お金が無かったら捨てられた子供なんて引き取ったりしないわよね
中々子供が出来ない家庭だったらしく、私は一人娘として迎え入れられたの
とても甘やかされたけれど、その反面で厳しく躾もされたわ
小さい頃は一日の時間割みたいなものを定められ、その通りに行動していたのよ?
両親の育て方を不快に思った事は無かったけれど、どこかしら引っ掛かる所があったのかもしれないわね
自分で言うのもなんだけど、性格はひねくれたと思うわ
おかげでロクに友達も出来やしない
作る気が無い、って方が正しいのだけれど
この話し方はお母様譲りよ
お母様はとても優しくて、見た目がとても若いの
お菓子作りが得意な人で、料理も上手
一つ難点があるとすれば、自身に対しての危機感が薄い事ね
お父様は、お母様に比べると少し厳しいわね
それでもとても優しい人よ
お父様は多くの方から信頼されていて、尊敬に値するわ
お顔はいつもにこやかで、物腰柔らかな話し方がきっと人を惹きつけているのね
そんな理想とも言える両親だけれど、一つだけ気に入らないことがあるの
それは夜の外出をさせてくれない事
必ず19時までには家に居ないといけないの
それで充分だって言う人も居るかもしれないわね
けど、私は嫌だったの
確かに凄く親しい友達はいなかったけれど、それでもやっぱりお泊まりとかには憧れるじゃない?
どんなにカッコつけたって、所詮は私も子供なのね
それに、夜の街や綺麗な夜景を見てみたいのよ
私ね、カラスの様に光るものが好きなの
だから夜への憧れはとても大きいものだわ
勘の良い人は気付いているかもしれないけれど、私が待ち望んでいた約束事はこれの事なの
意を決して、夜に外出したい、と訴えた時に両親とした約束事
高校生になったら門限を無くすこと
ただし、危ない事はしない
お泊まりは月に2度まで
お約束事はこんな所ね
この約束を決める時、両親は最後まで心配しているみたいだったけれど、2人の子供である私が何か大事を起こすだなんて思えないでしょ?って訴えたら呆気なくOKを貰えたわ
私のお話はこれでお終い
夜になるまで、いい時間潰しになったわ
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
時刻はとうに22:00を回っていた
やっぱり行くなら繁華街と決めていた私は、その明るさにまず驚いた
賑わっているとは言え、すれ違う人の表情がこんなにハッキリ見える程明るいだなんて...
夜なのに、夜じゃないみたいでとても面白かった
佐竹 蝶華
キョロキョロと周りを伺う事はせず、ただ静かにシャンと夜の街を歩く
しばらく歩くと、繁華街とは違った色を放つ通りが見えた
私も馬鹿じゃないし、どーゆう所かは想像出来る
ただ、新しいオモチャを貰った幼児の様に、好奇心には勝てなかった
高いビルに隠れるようにひっそりと、でも大胆に並ぶ大人のお店達
そのどれもが煌びやかで目を奪われる
さっきの繁華街も感動したが、こちらも負けないくらいに心を動かされる
自分が何故こんなにも夜の光に惹かれるのかは分からない
分かるのは、私はこれをずっと求めていたとゆう事
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
先程と違い、今度は周りをよく観察した
想像していたよりも穏やかな時間が流れている
ガラの悪そうな人達は居るけど、ただ居るだけで何も怖いとは思わない
佐竹 蝶華
楽しさに思わず笑みが零れる
またしばらく歩くと、何も起こらないまま通りを抜けてしまった
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
引き返してもう一度ネオン街を歩こうかと振り返った時、こちらに向かって来る人影を目視した
猫耳が付いたパーカーを着て、両手はそのポケットの中に突っ込まれている
背が高い...180近くあるんじゃないだろうか?
私は危険な香りに少し揺らいだが、ここでもやはり好奇心が勝った
腰に手を当て、向かって来る人影にこちらから声を掛けた
佐竹 蝶華
案外声は響かないみたいだ
人影はポケットから右手を抜き、ヒラヒラと振ってみせた
???
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
私の目の前まで辿り着くと、その人は被っていた猫耳フードをパサリと脱ぐ
声や体型から男の人だとは思っていたけど、顔は中性的で綺麗だった
???
???
佐竹 蝶華
佐竹 蝶華
スっと伸ばされた手に抵抗せず、大人しく顎を掬われる
その人の手は酷く冷たかった
???
佐竹 蝶華
???
佐竹 蝶華
???
???
???
私の顎から手を離し、その人は再び猫耳フードを被る
佐竹 蝶華
???
???
佐竹 蝶華
???
???
???
???
微笑んだその人は、近付いて来た時と同じ様にヒラヒラと手を振ってネオン街へと消えて行く
少し残念な様な、不思議な感覚に襲われる
"次の夜"
何だか良い響きだ
私はネオン街に戻ること無く、家に帰る道へと向かう
佐竹 蝶華
その言葉だけを残して
【夜のネオンで捕まえて】 第1話 〜fin〜
コメント
5件
>もちもちみーちゃん そう! 頑張って使ってる!!ww
あ!会話型を使いこなしてる!笑(✽ ゚д゚ ✽)