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ジュンくんイケメン過ぎませんか???????? うあああああああああああああ..........尊いぃぃぃぃぃぃ........!!!
あんかけ焼きそばそのままおじさんの顔面にもっとぶつけたい…ストーカー怖いんですよ!?こんなストーカーとか許しません!(๑•̀ㅁ•́ฅ✨
・:*三( 尊ε:)`ཫ ゚)・;" ゴフッ 卯月さんの泣き顔でご飯3杯行けますね……可愛いです…(( やっぱりお話の書き方すごく好きです……、!!
俺が卯月さんと出会ったのは今から約1年前、大学2年の夏だった。
俺はその頃、カフェのバイトとフードデリバリーサービスの配達員を掛け持ちしていて、
新しいカメラ機材を買うために隙あらば稼ごうと、授業が入っていない空き時間やカフェのシフトが無い日は
配達のために自転車を走らせまくるような日々を送っていた。
あの事件があった日、
その日も午前だけしか授業が入っておらず、あとの時間は配達に費やす気満々で待機していると、
昼過ぎに配達の依頼が入って、大学近くのマンションに出前の料理を届けることになったんだ。
何のことは無い、いつも通りの配達の仕事のはずだった。
ー1年前ー
配達員用のアプリに表示された情報を頼りにマンションの敷地内に入ると、エレベーターが無いことに気付く。
虎谷ジュン
入るのにオートロックも無かったし、あまり新しい物件じゃないのかも知れない。
階段は8段ほど登って踊り場で折り返し、また同じくらい登る度に各フロアの共用部に出る構造。
「ロ」の字のように中央が吹き抜けになっているこの建物は、吹き抜けをぐるりと囲むように共用の廊下が通り、見渡せばなんとなく各部屋の玄関先が見えるようになっていた。
配達先である部屋の一つ下の階まで来た時、共用部から見上げると、
ちょうど俺が今から配達しようとしている部屋の辺りの玄関前に、人が立っているのが見えた。
虎谷ジュン
気にせず次の階段を登ろうとしていると、人が立っていた部屋の玄関の扉が開いたかと思えば、
短い悲鳴のようなものが一瞬聞こえた(ような気がして)、外に立っていた人物が押し入るような形で部屋に入って行き玄関が強引に閉まった。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
虎谷ジュン
何を見てしまったのか分からず心臓がバクバクする。
何かの勘違いかも知れないし、俺は関係無い…?いや、もしも何かの事件だったら…?
虎谷ジュン
自分に言い聞かせるように呟いて、配達先の階へと歩を進める。
階段を登り終えると、さっき見た部屋が自分の配達先と一緒かどうか、確信が持てなくなっていた。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
玄関に備え付けのインターホンを押すと、呼び鈴が鳴る。
しかし、しばらく待っても住人の応答は無い。 こりずにもう一度押して、玄関に向かって声をかけてみる。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
……。
虎谷ジュン
念のため警察を呼ぶか? でも…もしただの勘違いだったら?迷惑になる? 一瞬だったから全然自信が無い。
ほんとに悲鳴だったか? 何か急いで部屋に入っただけかも…?
だってそんな、こんな真っ昼間からタイミングよく事件に遭遇するなんて、そんなこと……
虎谷ジュン
スマートフォンに「110」を打って表示させたまま、玄関の前でウロウロしてしまう。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
虎谷ジュン
自信の無さと焦りで俺の方が一人でパニックになりそうだった。 けどこのままここで押し問答しているわけにもいかないし……。
虎谷ジュン
俺はひとまず配達用のどデカいリュックを玄関のそばに降ろして、この部屋の住人に届ける料理の袋だけ持って改めて玄関ドアに身を寄せた。 コンコン、と扉をノックする。
虎谷ジュン
同時に、開くわけないと思いつつドアノブを握ると
虎谷ジュン
なんとドアが開いてしまった。
猫
虎谷ジュン
まさかのまさかで少し開いてしまったドアの隙間から勢いよく猫が外に飛び出し、それに驚いた反動で玄関ドアをさらに大きく開け放してしまう。
虎谷ジュン
猫を追いかけるべきか一瞬迷って、いやいや、それより住人に…と室内の方に目を向ける。
玄関部分は入ってすぐ目に入るのが壁で、左手奥に廊下があるのか、その角を曲がらないと玄関ドアからは部屋が見えない作りになっていた。
ガタガタッ
ドタンッ
虎谷ジュン
俺が玄関で面食らってる間にも部屋の奥から何やら大きめの物音が…。
俺は料理の袋を持ってない方の手でスマートフォンを握りしめると、意を決して玄関に踏み入り、曲がり角になっている廊下の奥をそっと覗く。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
俺が覗き込むと、廊下の奥にあるリビングらしき部屋で、二人の男が床に倒れ込んで取っ組み合いになっていた。
片方は50代くらいの年配の男(さっき俺が外で見かけた人だ!)で、もう片方は俺と歳が近そうなお兄さん。
下敷きにされ押さえ付けられていたお兄さんは半分ほど服を脱がされかけていて、その人と俺の目が合う。
卯月キョウスケ
年配の男に手で口を塞がれ、言葉を発せないながらも上げる声と、明確に助けを求める視線に俺はハッとした。
身内の喧嘩とかじゃない、この人、襲われてる!!
虎谷ジュン
声を上げた事で俺の存在に気付いた男が、お兄さんを押さえ付ける姿勢は変えずに血走った目で俺の方に視線をよこす。
虎谷ジュン
慌てて片手に持っていたスマホを操作すると、画面は110番に発信スタンバイの状態から既に一度ロック画面に切り替わってしまっていて、
慌てて操作したせいでロック解除ではなくカメラアプリが立ち上がってしまう。
虎谷ジュン
こんな時に限って焦れば焦るほど上手く操作できず、ついには「カシャシャシャシャシャシャ…」とカメラの連続シャッターを切ってしまったもんだから、俺はもうヤケクソ状態でとにかくスマホを男に向けた。
カシャシャシャシャシャ
虎谷ジュン
虎谷ジュン
男
年配の男は俺の挑発に乗ったのか、怒りをあらわにして立ち上がるとすぐさま俺のスマホを取り上げようと向かって来た。
虎谷ジュン
すかさず俺は片手に持っていた料理の袋を遠心力をつけて振ると、あんかけ焼きそばの入ったその袋を年配の男の頭に向けて直撃させた。
男
衝撃で袋からこぼれた料理が男の頭と顔に飛び、中華あんかけ焼きそばの熱〜い汁が男にしっかりダメージを与えたようだった。
急いで拭おうと男が顔にかかった高温の汁にひるんでいるうちに、男の腹の辺りをつかんだ俺はそのまま玄関の外に押し出すようにして男を力いっぱい投げ飛ばした。
虎谷ジュン
男を外に放り出せたのを見届けると急いで玄関ドアを閉め、すぐに内側から鍵をかける。これでひとまず、安心!…なはず!
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
虎谷ジュン
一息ついてる場合じゃない!この部屋のお兄さん、ケガは…!?そう思って俺がかけよると、
急展開過ぎたのか先ほどまであっけに取られていたような顔をしていた彼が、ハッと現実に戻されたような表情をしたかと思えばすぐうつむいてしまった。
卯月キョウスケ
小さくお礼の言葉が絞り出されるが、よく見ると肩が震えている。
それに、なんだか鼻をすするような音も聞こえて……。 ……もしかして、泣いてる?
虎谷ジュン
虎谷ジュン
虎谷ジュン
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
俺の言葉をさえぎるように発せられた「待って」の言葉と同時に、彼の手が震えながら俺の腕をつかむ。
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
虎谷ジュン
まだ安全かどうか分からない不安な気持ち。急に襲われて感じた恐怖。それらの感情が決壊してしまったのか、彼はぽろぽろと涙を溢しながら俺にすがるように訴えてきた。
そんな表情ですがられて、さすがに放っておけないというか……。とてもじゃないけど一人には出来ないと思った。
初対面でとてつもなく失礼ながら、何故この人が男に襲われたのか、分かったような気がしてしまう。もちろん加害者が100悪く、この人のせいでは全く無いのだけど……。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
警察に通報だけ入れたあと、心細そうな彼に寄り添えればと思い、となりに座ってしばらく時間を置いただけだけど……。
それで少し落ち着いたのか、彼の表情にほんのり安心感が戻る。
虎谷ジュン
虎谷ジュン
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
卯月キョウスケ
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
虎谷ジュン
卯月キョウスケ
握手を求められ、その手を握った。なんとも奇妙な出会いだ。
俺はこの時、その日の出来事を一過性のものだと思い込んでいたけれど……
まさかこの人に相当入れ込んで、大学生活よりも優先度が高くなっちまいそうな、長〜い付き合いが始まろうとは。
本当に、想像もしていなかった。