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俺は生まれつき左耳が聞こえない。

それでも普通に生活はできる。 しかし、少しばかり不便なことが多い

左から声をかけられても気づかなかったり、音がする方向が分からなかったり…

だからこの高校2年の夏

俺は補聴器を買った

和仁、今日から補聴器学校に付けてくの?

和仁(かずひと)

あ、うん

和仁(かずひと)

つけてく

そう

初めて付けるんだから慣れないと思うけど

無理しないでね

和仁(かずひと)

りょーかい

和仁(かずひと)

おはよー

クラスメイト1

おぅ!おはよ!

クラスメイト2

おはよー!

ザワザワ…ザワザワ…

和仁(かずひと)

(補聴器のせいかな…?)

和仁(かずひと)

(耳鳴りがひどい)

次第にその耳鳴りは声になった

うわ、今日も和仁来てる

和仁(かずひと)

うわぁ!

和仁(かずひと)

なんだ…今の声

クラスメイト1

どーした和仁?

クラスメイト2

急に驚いて

和仁(かずひと)

(みんなには聞こえてない)

気持ちわりー奴www

和仁(かずひと)

(この声…)

その日、一日中声は聞こえた。

声は男の声だったり女の声だったりしたが、共通するのは俺のことについて言っていることだ。

そしてそれは俺が補聴器を外すと聞こえなくなった。

どうやらこの補聴器は俺が人にどう思われているのかが分かるらしい。

ある意味俺は便利道具を手に入れたみたいだ。

和仁(かずひと)

ねぇ母さん

どうしたの?

和仁(かずひと)

この補聴器どこで買ったんだっけ?

駅前のお店でしょ

ていうか、あんたが買いに行ったんじゃない

和仁(かずひと)

え?そうだっけ

そうよ

もう、最近ぼーっとしすぎよ

和仁(かずひと)

そうだね

和仁(かずひと)

ごめんごめん

何故か俺は補聴器を買いに行ったことについてよく覚えていなかった。

まぁそれはいいとして、

俺はすっかりこの補聴器を使いこなしていた。

好きな人と両想いということが分かり、すぐ告白

もちろん付き合うことになった。

人の気持ちがわかる分、 どんな態度が周りを不快にさせるかも分かってきた

だから友達も増えた

最高の補聴器、そう思っていた。

しかし、ある日のことだった。

和仁(かずひと)

おはよー

シーン

和仁(かずひと)

(聞こえなかったか?)

和仁(かずひと)

おはよ!

クラスメイト1

あ、和仁…

クラスメイト1

…おはよ

和仁(かずひと)

(今日みんなおかしいな…)

そう思っていたときだった。

死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

和仁(かずひと)

(な、なんだ…?!)

和仁(かずひと)

(誰かが俺のこと死ねって思ってるってことか?)

殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す

和仁(かずひと)

やめろ!

和仁(かずひと)

なんなんだよ!

和仁(かずひと)

俺が何したってんだよ!

シーン

クラスメイトは何も答えなかった。

和仁(かずひと)

なんとか言えよ!

和仁(かずひと)

おい!

そのときだった

和仁(かずひと)

おい…

和仁(かずひと)

なにもってんだよ…

クラスメイトの1人が俺にナイフを向けてきた。

ガッ…ガッ…

和仁(かずひと)

やめろよ!おい!

俺はナイフを持ったクラスメイトを殴った

けど、そいつは何度もナイフを持って立ち上がろうとした。

和仁(かずひと)

誰か助けてくれ!

和仁(かずひと)

このままだと俺、殺される!

助けを求めても誰も目を合わせてくれなかった

和仁(かずひと)

(くそ、埒が明かない)

ガンッ

俺はクラスメイトを蹴飛ばして学校を飛び出した。

和仁(かずひと)

誰かァァ

和仁(かずひと)

助けてくれ!

和仁(かずひと)

(はやくしないとアイツが追ってくる)

通行人

あの、どうしたんですか?

和仁(かずひと)

助けてください!

和仁(かずひと)

追われてるんで…

その通行人が持っていたのは

血のついた包丁だった

和仁(かずひと)

うわぁぁぁぁぁぁぁぁ

和仁(かずひと)

やめてくれ!

ガンッ…ガンッ

俺は近くにあった石で殴りつけた

和仁(かずひと)

(なんで…なんで)

クラスメイト同様何度も起き上がってきた。

和仁(かずひと)

(くそ、全員敵だ…)

そのとき

刑事

確保ぉぉぉぉ

和仁(かずひと)

(な、なんだ…!)

男達が一斉に飛びかかってきた

和仁(かずひと)

離せ!離せ!

和仁(かずひと)

俺は悪くない!

和仁(かずひと)

みんな俺に襲ってくるんだ!

和仁(かずひと)

やめろぉぉぉぉぉ

刑事

和仁くんのお母さんでいらっしゃいますか?

はい…

あの、和仁は?

刑事

彼は

刑事

刑事

薬物を使用していました。

そんな…!

刑事

彼の補聴器はいつ購入されたんですか?

確か…2週間前くらいです

刑事

駅前のお店ですよね

はい

刑事

そこで薬を売られたんだと思います

刑事

あそこは…治安があまりよくないですから

そう…ですか…

刑事

クラスメイトによると2週間ほど前から様子がおかしかったそうです

刑事

急に怒鳴ったり

刑事

ある女の子を脅して無理やり付き合ったり

全然気づかなかったです…

刑事

そして昨日

刑事

彼が薬をしている所をクラスメイトに見られ、クラス中に知れ渡った

刑事

だから、今日クラスメイトは誰も彼に話しかけなかった

それに腹が立って息子は、殴りつけたんですか

刑事

彼いわく、クラスメイトから襲ってきたと

刑事

まぁ薬による幻覚なんですが

じゃあ通行人の方を襲ったのも

刑事

幻覚ですね

刑事

息子さんは、事情聴取で

刑事

この補聴器が人の気持ちを教えてくれる便利道具だと言っていました

それは…

薬物の影響ってことですよね

刑事

はい

刑事

刑事

現実に便利道具なんて存在しませんからね

この作品はいかがでしたか?

140

コメント

3

ユーザー

本当にこの話好きです! いつもストーリー参考にさせてもらってます!

ユーザー

ありがとうございます! 私も心の声が聞こえるって、 あんまり良いと思わないです😅

ユーザー

心の声が聴こえるなんて便利だけどイヤだなーと思いながら読んでたら まさかの妄想!お薬効果! 気持ちいいほど予想外でした

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