桃赤
目の前には静かな海。頭上には美しくどこまでも輝く星空が広がっている。 穏やかで風のない海は鏡のようで、海面には満天の星々が映し出されている。 明るい髪色をした2人の少年がその海を眺めていた 「……………もう、終わりだね」 「…っ、莉犬」 「るぅちゃん、今……さとちゃんは元気かな…………もうさとちゃんなんて呼べないか…w」 「………そんなことないよ。……………莉犬は…これでよかったの…?」 「……うん、これでいいんだよ」 「………莉犬、そろそろ戻ろう。身体に響くよ」 不意に風がそよぎ、莉犬の髪を揺らした 「……うん」 微かなさざ波が立ち、海面に映る星々は押されるようにゆっくりと移動していった 膝にかけてある毛布をかけ直して車椅子を押す 来た時に残った足跡を辿って行くと一つの人影が見えてくる 「あ…」 るぅとの言葉に莉犬は顔を上げる 「「なーくん」」 「戻ろっか」 「うん」 浜辺の近くにある階段の1、2段目辺りで座っていたななもりが立ち上がり優しく2人に微笑む 階段の隣には滑らかな坂があり三人でゆっくりと進んでいく 莉犬は名残惜しそうに海を見つめる 「何見てるの?」 「星だよ」 でも明らかに空を見てはいなかった 2人は不思議に思い莉犬の視線を追いかけるとそこには海面に映る綺麗な星々 莉犬は海に映る星を見ていた 本物の星の鏡で 本物の星ではない、偽りの星を 2人は鼻の奥が熱くなり海から目を逸らした 病室に着くとななもりが莉犬を抱き上げベッドの上に寝かせる るぅとは車椅子を莉犬がいつでも1人で乗れる位置に移動させ椅子に腰掛ける ななもりも一緒に 莉犬は2人と少し話して眠りに入った とても懐かしい夢____
~ end ~
コメント
5件
連載にして欲しいです!(。ᵕᴗᵕ。)
号泣(/Д`;ぶくしつです(*・ω・)*_ _)ペコリ✨
いいねが多ければ連載にします!