TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

春のイヤホン、雨の音

一覧ページ

「春のイヤホン、雨の音」のメインビジュアル

春のイヤホン、雨の音

1 - 春のイヤホン、雨の音

♥

820

2019年06月04日

シェアするシェアする
報告する

春の日

何気なく取った、イヤホン。

最近出たばかりのイヤホン。

説明書も読まずに、

何気ない毎日の響を

雨生 流

(さようなら)

シャットダウンした。

イヤホンを買ってから数日

大学からの帰り道

寄り道をした

雨生 流

(桜並木、すごい、綺麗。)

雨生 流

(何かに例えるなら…)

雨生 流

春の、雨…

彼岸花 百合子

例え方、素晴らしいです。

雨生 流

貴方は…?

彼岸花 百合子

…彼岸花、百合子、と覚えてくださる?

雨生 流

百合、子さん…

彼岸花 百合子

えぇ、そう。

彼岸花 百合子

ありがとう。

1秒、2秒、3秒、

沈黙が続いた

雨生 流

あ、あの

彼岸花 百合子

なにかしら

雨生 流

桜、綺麗、ですね。

彼岸花 百合子

そうね。

彼岸花 百合子

でも私、もっと綺麗な所、知ってるのよ?

雨生 流

もっと綺麗なところ…

彼岸花 百合子

えぇそう。

彼岸花 百合子

今度会えたら、行きましょ?

雨生 流

あ、はい…

雨生 流

ただいま戻りました。

おかえりなさいませ、流様

雨生 流

…ただいま…

女中

流様、一仁様が呼んでらっしゃいます。

雨生 流

…分かった…

雨生 流

流です。

雨生 一仁

入れ。

雨生 流

父上、なんでしょうか。

雨生 一仁

和也に嫁を取らせようと思ってな

雨生 流

はぁ…

雨生 一仁

和也は身体が弱い。

雨生 一仁

雨生家を継ぐことは難しいだろう。

雨生 流

確かに兄さんは身体が弱いですが…

雨生 一仁

俺は。

雨生 流

…はい。

雨生 一仁

雨生家第12代目当主は、

雨生 一仁

流がいいと思ってる。

雨生 流

は…?

雨生 一仁

これからの雨生家安泰を考えて行くのなら、

雨生 一仁

和也に雨生家を任せることは難しい。

雨生 一仁

流は当主相応の雰囲気、知識を身につけている。

雨生 流

雨生 一仁

雨生家を継ぐにはぴったりだよ、流。

雨生 流

ありがとう、ございます。

雨生 一仁

和也には、当主は任せられないが、

雨生 一仁

雨生家の繁栄を、流と共に手伝ってもらいたい。

雨生 流

ですが兄さんは…

雨生 一仁

流がそう思うのも理解出来る。

雨生 一仁

だが、そうするしかない。

雨生 一仁

まぁ、これらの理由で、

雨生 一仁

和也には嫁を取らせようと思う。

雨生 流

…そう、ですか…

雨生 一仁

分かってるか?

雨生 一仁

これから雨生家次期当主として、

雨生 一仁

文武両道に励みなさい。

雨生 流

分かりました。

雨生家

春内家

縁談面会当日

雨生 流

(百合子さん…?)

雨生 流

(なわけないか。面会相手は春内家だし)

雨生 和也

雨生 和也です。

雨生 和也

こんにちは。

春内 姫子

春内 姫子です。

春内 姫子

こんにちは。

雨生 流

(百合、子さん…!?)

彼岸花 百合子こと、

春内 姫子は、流に気づくと

微笑みかけた

縁談の話は着々と進み、

彼岸花 百合子、

また春内 姫子は

雨生 姫子となった。

春内 姫子

また逢えたでしょう?

春内 姫子

雨生流さん。

春内 姫子

いや、流くん、かしら。

雨生 流

姫子さん、なんですね

春内 姫子

騙しててごめんなさい。

春内 姫子

和也さんに弟に会ってみてくれって言われたから。

雨生 流

兄さんに…

春内 姫子

和也さんとは何回か会ったことがあるの。

雨生 流

そうなんですね

春内 姫子

これからもよろしくね、流''くん''。

雨生 流

雨生 和也

あぁ、流、姫子さん、いたいた。

雨生 流

兄さん

春内 姫子

和也さん。待っててって言ったのに。

雨生 和也

待ってられるか、危ない目にでもあったらどうするんだ

春内 姫子

ふふ、心配性ね、和也さん。

雨生 和也

当たり前だろう。

雨生 流

(なんだ、幸せそうじゃないか)

雨生 和也

じゃ、流、父さんも待ってる、行こう。

雨生 流

うん、兄さん。

春の雨で途切れ途切れに見える1組の夫婦は

僕を置いて、

遠くなってく

僕はまた

雨生 流

(どうでもいいや)

イヤホンを耳につけて

何気ない毎日の響を

シャットダウンした。

雨生 流

あぁ、春の雨が、綺麗だ。

零れた一粒の雨は春の雨と同時に消え去った。

多分、あの日のように

この作品はいかがでしたか?

820

コメント

22

ユーザー

初見です!これ好きだなぁ…。表現が凄く上手くて…、いや読み専なんで物語の書き方とか分かんないんですけど、才能あるんですね!

ユーザー

この物語、好きよ

ユーザー

おけまるちょ

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚