テラーノベル
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薄暗い部屋
白い壁。白い天井。白い光
結
結は閉じていた目を開けた
今日も同じ朝だった
被験体No.██。起床時間です
機械音声、感情のない声
結は黙って起き上がる
結
首元の識別タグが揺れた
No.██
それか結の名前だった
少なくとも、この施設では
ガチャ、と扉が開く音がする
白衣を来た研究員が入ってくる
結は反射的に耳を伏せた
実験者
腕を掴まれる。
注射跡だらけの腕
結は顔をしかめる
実験者
実験者
実験者
実験者2
結
結は何も答えない
答える意味がない
被験体だから
実験者
実験者2
実験者
実験が終わる頃には夕方だった
腕が痛い
頭も痛い
耳鳴りがする
結は床に座り込んだ
窓のない部屋
ベット以外、何もない部屋
ガチャ、と扉開く
??
聞いたことの無い声だった
結
結が顔をあげる
そこに居たのは、
若い研究員だった
黒髪、穏やかな笑顔、白衣
??
結
結は何も言わない
どうせ他の研究員と同じだ
柳
結が眉をひそめる
名前。
そんなものを名乗る研究員は初めてだった
柳
柳はしゃがみ込む
結と目線を合わせる
柳
結は警戒した
結
普通の研究員は、宜しくなんて言わない
結
沈黙。
柳は困ったように笑う
柳
優しい声だった
結は少しだけ顔を逸らす
柳
柳がカルテを見る
そして。
柳
結は目を輝かせた
柳は笑ったまま言う
柳
結
その瞬間
結の耳がピクリと動いた
今まで誰も聞かなかった
なんと呼べばいいかなんて
だって被験体だから
なのに
柳だけは聞いた
結は知らない
この人が自分の人生を変えることになるなんて
コメント
1件
るる太さん、第1話読みました。 最初から空気がひんやりしていて、結の置かれてる状況がひしひしと伝わってきました。「答える意味がない」という一文に、どれだけ名前を奪われてきたかが凝縮されていて胸が痛みました。 そんな中で現れた柳研究員。「名前」を尋ねるシーン、すごく好きです。被験体としてではなく、一人の人間として扱われた瞬間の結の耳の動き——ああ、ここで物語が動き出すんだなと感じました。続きが気になります。