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桃 side
半刻後
食堂に戻ったときには、すでにこさめとみことはいなくなっていて
今は鍛錬しに行ったすちと別れ、1人でお城の中を歩いている
ラン
以前よりも2人といる時間が少なくなってきている気がする
ラン
ラン
って、そんなことを考えてしまうから
私が生贄であるという事実を知るものは、案外少ない
知っているのはこの国の王と王妃、父上に母上。基本私より位の高い方々
あとは、昔から私に仕えているすち
ラン
ラン
ラン
震える手に、自然と溜まりそうになる涙
怖い
昔から変わらない自分に溜息が出る
ラン
ただの1人の上級妃として振る舞わなきゃ
紫 side
桜花妃の姿を見た日から数日後
ある晩
俺らは城の近くの一角に集まっていた
イルマ
???
イルマ
???
???
イルマ
イルマ
???
イルマ
イルマ
イルマ
ナツ
雨麗妃…たしかリストに
イルマ
ナツ
ナツ
イルマ
一度ハイタッチを交わし、2人揃って上を見上げる
遠くに見えるのは、あの桜だ
この国を不思議な力でドームのように包み込み、他国との境界線を作り上げる
気候をその力で安定させ、
俺たちに恵みを与える
謂わば……この国の心臓
〝奏桜〟
寿命はとっくにすぎている
それでもこの桜は、生贄として捧げられた者たちにより生命を保っているのだ
美しい桃色の瞳
誰よりも桜が似合う、その美しさ
生贄として捧げられる、この世で最も残酷な運命を背負った
ラン
桜の花嫁によって
イルマ
だからこそ、今回の依頼は失敗できない
ナツ
イルマ
ゆっくりと剣を抜き、一振り
なつも同じ動作をしてから俺の隣に並ぶ
イルマ
思い浮かぶのは、あの日の桜花妃の姿だった
ラン
ラン
依頼をこなす、ついでだけど…
イルマ
垣間見えた桜花妃の
ただ一人の女の
イルマ
コメント
2件
主様お疲れ様です✨️💜くん頑張って✨️続き楽しみです✨️無理しない程度に投稿頑張ってください