テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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甘くにがく

第5話 - 甘くにがく５話

2019年11月16日

#恋

#夢

#勉強

晴乃あおい(18)

一ノ瀬亜喜

(できるだけさくらと)

一ノ瀬亜喜

(華のことを考えずに部活まで過ごした)

一ノ瀬亜喜

(華に聞きたいけど、聞きたくない)

一ノ瀬亜喜

(別にいいはずなのに)

一ノ瀬亜喜

(午後はなぜか華を避けてしまっていた)

一ノ瀬亜喜

あれじゃ、なんかあったって

一ノ瀬亜喜

バレバレじゃん

茅野さくら

亜喜！

一ノ瀬亜喜

わ！あ、さくら

茅野さくら

なに？ボーとして。なんかあった？

一ノ瀬亜喜

うーん。別になんでもないんだけど…

茅野さくら

そかそか、緊張する？？

一ノ瀬亜喜

え？

茅野さくら

メンバー発表

一ノ瀬亜喜

あ、、。うん。

一ノ瀬亜喜

(ほんとは、考えているのは華とさくらの関係なのに…)

一ノ瀬亜喜

(華のことを考えてるとバレーに集中できない。)

茅野さくら

大丈夫！がんばってきたじゃん！

茅野さくら

信じよう！

一ノ瀬亜喜

そだね。

バレー顧問

おーい！メンバーとスタメン発表するぞ

一ノ瀬亜喜

はい！

茅野さくら

ファイト、(小声)

一ノ瀬亜喜

ありがと(小声)

バレー顧問

まずは、ベンチ入り

一ノ瀬亜喜

(ベンチには入った。よかった。)

一ノ瀬亜喜

(あとはスタメン)

バレー顧問

スタメンはセッター茅野、リベロ水野、原田、澤田、永谷、

一ノ瀬亜喜

(あと、ひとり。)

バレー顧問

館川。以上
選ばれなかったやつももしかしたら出るかもしれないから気を抜かないように。
とりあえずベスメンはこれでいく。

一ノ瀬亜喜

(おわった。)

一ノ瀬亜喜

(バレーがすべてだったのに)

一ノ瀬亜喜

(華は選ばれたのに。)

一ノ瀬亜喜

(わたし、全然だめだ。)

茅野さくら

ねぇ、亜喜あの…

一ノ瀬亜喜

(もう、なにも聞こえない。)

一ノ瀬亜喜

わたしかっこわるいなぁ。

一ノ瀬亜喜

(もう、わたしだめだ。)

一ノ瀬亜喜

(バレーのことも、華のことも…)

一ノ瀬亜喜

(結局ぜんぶ中途半端。)

一ノ瀬亜喜

ださいな。わたし

一ノ瀬亜喜

あ、雨。

藍沢　華

おい！風邪ひくぞ

一ノ瀬亜喜

(気づけば華が傘を差してくれていた)

一ノ瀬亜喜

(追いかけてきてくれたのかな。)

一ノ瀬亜喜

ありが…

一ノ瀬亜喜

その、傘

藍沢　華

あ、さっき玄関でさくらが貸してくれた

藍沢　華

今日車で帰るからって

一ノ瀬亜喜

そう。

一ノ瀬亜喜

(いま、一番華の口から聞きたくない名前)

一ノ瀬亜喜

帰る。

藍沢　華

おい！傘！

一ノ瀬亜喜

いいって、

藍沢　華

いや、どーした？同じ方面なんだし送るよ

藍沢　華

傘ひとつしかないし

一ノ瀬亜喜

いらない

一ノ瀬亜喜

(さくらから借りた傘)

一ノ瀬亜喜

(今日はいつもより胸がいたいな。)

藍沢　華

どーしたんだよ！

一ノ瀬亜喜

関係ないでしょ！！！！

一ノ瀬亜喜

(私は華を突き飛ばした。)

一ノ瀬亜喜

(ベスメンに選ばれなかったことで同情されたくなかったから？)

一ノ瀬亜喜

(それともさくらの傘を二人でさすのが嫌だったから？)

藍沢　華

ベスメンに選ばれなかったからか？

藍沢　華

次頑張ればいいだろ？

藍沢　華

まだ一年なんだし。それに…

一ノ瀬亜喜

誰から聞いたの

藍沢　華

さくらから。

一ノ瀬亜喜

(また、さくら、)

藍沢　華

さくらも心配してたぞ？

藍沢　華

具合悪いって言って部活抜けて帰ったって。

藍沢　華

なに考えてんだよ。

藍沢　華

さくらも責任感じてた。

藍沢　華

私が一緒に選ばれようとか

藍沢　華

無責任なこといったからって

藍沢　華

さくらは…

一ノ瀬亜喜

なんなの、

一ノ瀬亜喜

さくらと華はどーゆー関係？

一ノ瀬亜喜

さくらさくらってなに？好きなの？なんなの！？

一ノ瀬亜喜

私はさくらみたいに努力家じゃないし

一ノ瀬亜喜

それになにより、かわいくない。

藍沢　華

どーしたんだよ

藍沢　華

なんだ？ほんとに具合悪いのか？

藍沢　華

おぶるか？

一ノ瀬亜喜

そーやって、そーやって優しいのも

一ノ瀬亜喜

みんなにそーなんでしょ？

一ノ瀬亜喜

さくらにも…

一ノ瀬亜喜

(なんで、なんで視界がぼやける)

一ノ瀬亜喜

あははは。彼女だもんね優しいのなんて当たり前よね

藍沢　華

は？

一ノ瀬亜喜

じゃあ、私にもう優しくしないでよ。

一ノ瀬亜喜

分かんないの！

一ノ瀬亜喜

華はなにも教えてくれないし

一ノ瀬亜喜

いつも誤魔化すし、バカにして笑うだけだし

藍沢　華

……

一ノ瀬亜喜

わたしだってもう、わかんないよ。

藍沢　華

おい！待てよ！

一ノ瀬亜喜

(華の手、いつもは暖かいのに)

一ノ瀬亜喜

(わたしを引きとめた手は冷たかった)

一ノ瀬亜喜

(その手を振りほどいて私は走った。)

一ノ瀬亜喜

(ほほをなにかがつたって、それと同時に視界はあけたが)

一ノ瀬亜喜

(またすぐにぼやけてしまった。)

春原遥

お、亜喜？どーした？濡れすぎだろ？

一ノ瀬亜喜

遥…

春原遥

亜喜…え？お前泣いてんのか？

一ノ瀬亜喜

(あ、わたし泣いてたんだ。)

一ノ瀬亜喜

(泣いていたことに気づきうつむいた。)

春原遥

おい、亜喜

一ノ瀬亜喜

ねぇ、遥

一ノ瀬亜喜

誰かに会うと、話したりすると胸の奥が痛くなるのってなに？？？

一ノ瀬亜喜

話しててものすごく楽しくて、なんでも話せるのはなんで。

春原遥

は？

一ノ瀬亜喜

その人から他の女の子の名前を聞くと胸が痛くなるのはなんで。

一ノ瀬亜喜

ただの友達だって普通のこと言われただけなのに、胸が痛くなるのはなんで。

春原遥

それ、そいつのことが好きってことだろ？

春原遥

誰かにとられたくないってことだろ？

春原遥

亜喜は…華のことが好きってことだろ？

一ノ瀬亜喜

あはは…

一ノ瀬亜喜

(さっか、わたし、、)

一ノ瀬亜喜

華のことが好きなんだ。

一ノ瀬亜喜

なのに、なにも始まらないまま、

一ノ瀬亜喜

始めようとしないまま…終わっちゃった。

一ノ瀬亜喜

かっこわるいな…っっははは

一ノ瀬亜喜

(遥が気づいたときには体をぎゅっと抱き締めてくれていた。)

一ノ瀬亜喜

…遥…？

春原遥

わり、黙ってらんなかった。

春原遥

泣きたいなら泣けばいいだろ、

春原遥

無理して笑う必要はない。

一ノ瀬亜喜

…遥…

一ノ瀬亜喜

(後悔しても時は戻らない。)

一ノ瀬亜喜

(華はもう、戻ってこない)

一ノ瀬亜喜

(そう考えたら涙が溢れた。)

春原遥

今は華のこと考えて悲しめばいい。

春原遥

泣けばいい。

春原遥

でも、忘れんな

春原遥

お前には俺がついてる。

一ノ瀬亜喜

ありがと…遥

一ノ瀬亜喜

(わたし、ずるいのかもしれない)

一ノ瀬亜喜

(それでも、いまは遥がいてくれてよかったと思う。)

一ノ瀬亜喜

(私は遥の背中に腕を回し、遥のなかで泣いた。)

さっきまでは冷たくいたい雨だったが、今は私たちを優しく包んでいた。

甘くにがく

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晴乃あおい(18)

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