響 said.
響
頭の上にもくもくと広がった
入道雲の隙間から射し込む陽射しと
青空が眩しかったあの日.
お昼休みの屋上で…
俺は、大好きな人に
恋の駆け引きを持ちかけてみた.
なのに、俺の幼馴染みから
何も反応はない.
なあ、晴香.
そんなに俺に興味ないの?
あ、やっぱり幼馴染みは
恋愛対象じゃないか?
それとも…
ほんとはこんな事
考えたくもないけど
他に好きな人がいるのか.
どうしたら俺の事
好きになってくれるんだよ…
やっと返ってきた答えは
いつも以上の塩対応.
晴香
なんて、ちょっと
興味無さげだったりして
少し悲しくなったりする.
だから、卵焼きで
間接キスとか狙ってみたけど…
睨まれて呆れられて終わるんだろ?
ほら.
間接キスって知ってるか?
ってくらい反応薄すぎだろ.
響
屋上から教室に戻る時に
そっと名前を呼んでみる.
晴香
少し首を傾げて
そう聞いてくる晴香が可愛くて
思わず好きが口から
漏れそうになって慌てて言った.
響
もしも、告ってたら
どうなったんだろうな?
それからの午後の授業なんて
俺の耳には一切入らず…
気づいたら放課後が来ていた.
窓の外には、大きな黒い雲が広がり
さっきまでの青空はどこへやら…
天気は一変、雨が
どしゃどしゃと降っていた.
昇降口に向かうとき、
視界の端にうつった晴香の姿.
…よし、
今日は傘を忘れた振りをして
相合い傘作戦だ!
響
わざと、大きな声を出してみる.
晴香にこの声が届くことを願って…
でも、晴香に傘を
貸してもらえる訳もなく…
帰り道ふと振り返った
俺の目の前には
涙と雨でびしょ濡れになった
悲しげな表情の晴香がいた.
あの時振り返ったのは
俺を呼ぶ声が聞こえたからだ.
…いや心に直接
呼びかけられたからだ.
横断歩道越しに晴香が見えた時は
夢だと思った.
それと同時に、俺を呼んだのが
晴香とわかって心底嬉しかった.
信号が青だったのなら
今すぐにでも
抱きしめられたのに…。
そんなもどかしさ故に
俺は気づいたら叫んでいた.
響
響
響
さっき晴香が俺の事を
呼んでくれたように
俺も心の中で直接晴香を呼び返した.
パッ!
信号が青に変わるや否や、
俺に向かって飛び出してくる晴香.
と、次の瞬間もう晴香は
俺の前にはいなかった.
晴香の体は、スリップして
横断歩道に入ってきた車によって
勢いよくはね飛ばされたのだ.
一瞬の出来事だった.
俺は脇目も振らず
水溜まりに打ち付けられた晴香の元へ
一目散に駆け寄る.
響
どんなに、呼びかけても
反応はなく…。
死しても尚流れ続ける晴香の涙を
拭う事すら出来ずに
ただ呆然と抱きしめていた.
あんなに触れたいと思っていた唇に
自分の唇を重ねてみても
晴香は二度と目を覚まさなかった.
おとぎ話とかである
王子のキスで姫は目覚めるなんて
嘘でしかないんだ.
どうして今更気がつくんだろう.
好きは一方通行だ、なんて
だけど
たとえ叶わなくても
キミを好きでいたい.
これから先も
ずっと___……。
完結です!!🙌 読んでくれて ありがとです!!😳 ぜひ他のも 見てみてください!!✨
コメント
10件
やばい…感動です。! 今一番推してる小説家さんです! これからも応援してます!
。・゜・(ノД`)・゜・。うわああああ 号泣ものやああああ
感動しすぎて❤連打しちゃった!