月夜が輝く 冷たい風が通る晩に
初兎
悠佑
波打際で、一人、月を見ていた彼が そこに立っていた。
悠佑
目を細め、笑いを含んだ声で 多分、俺に話しかけた
初兎
ーー今夜の月のように、貴方が
初兎
悠佑
クス、と笑みを浮かべて 愛おしいものでも見るかのように そう答えた
初兎
暗澹の波の中にいる彼を 最初から気にかけていた。
悠佑
悠佑
潮風が耳を掠めただけでも、 かなり寒いというのに。
初兎
きっと、彼は毎日ここに 同じように立っているのだろう。 感覚が麻痺してしまったのだ
初兎
悠佑
少し間があったのが気になったが 苗字まで丁寧に答えてくれた
初兎
悠佑
笑顔であっけらかんと言い放つ 彼はまるで、子供のように純粋だ
初兎
初兎
……来ない方が、君のためだけれど
悠佑
人差し指でバッテンを作って こちらへ見せてくる 手の色は青白いような気もする
初兎
悠佑
何かを憂いているかのような瞳をして 悠佑は微笑んだ その瞳の中には俺がいる
初兎
大事な奴に、会えんくなるかも しれへんのに。
悠佑
初兎
なんでわざわざこんなところで 会う必要が……、…、ああ、そうか
初兎
悠佑
悠佑
愛おしい、と言わんばかりの瞳で 俺を包んでいく。 俺は…彼を知っていた
悠佑
悠佑
悠佑
哀しみと、愛しさと、苦しさが 混ざっている。 感情の中に、さらに感情がある感覚だ
初兎
初兎
にへら、と今度は俺が笑う 「そっか」、と悠佑も微笑む。
悠佑
月が傾いてる それは、時間が経ったことを 表していた
初兎
悠佑
悠佑
忘れないで、ほしいから
初兎
忘れなんて、できっこないよ
初兎
悠佑
約束なんて、甘いものではない
忘れない限り、君が俺以外を 襲うコトはしないだろう?
これは契約だ
悠佑
最大限の呪詛と祝福を!
コメント
9件
うあー!!! 最後好きすぎるどっちも愛重いタイプよね? いいな呪詛と祝福って…好き