約束の花火#2

瞬きをする。

ベッドに仰向けになってお腹にスマホが乗っている

時計を見ると午前３時２４分

涙が頬をつたう

なんて切ない夢なんだろう。返信が来るはずもないことはわかっていた。

でも、こんな夢見たくなかった。

悲しいのに、寂しいのに

もっと泣けたらいいのに。ただただ、涙が一粒づつ頬を伝う

ため息混じりにスマホを見て息が…出来ない

夢の最後に見た会話がそこにある。…夢じゃ…ない？

頭がうまく働かない。何？なんで？たくや？誰？

もう一度時計を見る

午前３時５０分

もし、たくやでも、たくやじゃなくてもこの時間に連絡は…とにかく、明日も学校だ。もう一度寝て、朝にLINEをしてみよう。

…結局ウトウトはしたものの、しっかり眠れなかった。左手にはスマホを握りながら。

学校に着いても落ち着かない。

授業も耳に入らない

お弁当もあまり味がしない

もうすぐ６時間目が始まる。

スマホが震えた。

動きが止まる。鼓動が早くなるのがわかる。

なんかあったのはたくやの方でしょ！今までどこに？何してたの？あなたは誰？本当にたくやなの？

聞きたいことはたくさんある。でも、聞いてしまったら…

怖くて聞けない。

夜中の１２時に…違う世界の…

この人はたくやで、違う世界のたくや？

違う世界？

ホリックとか、ツバサクロニクルなんて漫画が頭をよぎる

なんて間抜けな文を送ったんだろう。でも、変な事を聞いて連絡が来なくなるのが今は一番怖い。

…文が噛み合わない。変なこと言いたくない

授業の内容は全く耳に入らない。たくやと長く話せるように、返信が来るように、変な事を言わないように、思考回路を巡らせる

…やっぱりたくやだ。文の入れ方、たくやだ。どーしよう。…どこの世界のたくやでもいい。連絡が取れる。心臓からの血液が一気に体を流れていくのがわかる。どーしよう。

連絡…していいんだ。私、またたくやと話せるんだ。心臓が痛いくらい早く動いている気がする

同じ曜日なんだ。

日付けも同じなんだ…。でも、この世界には…たくやはいない。

送って画面を見てハッとした。

会えるはずないのに、会えるはずもないのに。

続く