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アミキティア魔法学校の闇

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アミキティア魔法学校の闇

44 - 第44話 第4ブロック - アンノウン・ビルディング(1/3)

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2024年09月22日

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石畳と石レンガの通路を進んでいくと、とても広い空間に出た。

左右のはしが見えないくらいに広がっていて、天井もものすごく高い。

ただし、広い空間のど真ん中に大きな建物が鎮座していて、歩けるスペースはとても狭かった。

ユウゴ

これ建物でいいんだよね?

ぼくは自信なくみんなに聞いた。

自分達は通路を歩いてきたのだから、建物の中にいるはずだ。

そこにさらに建物があるというのは、奇妙な感覚だった。

ユトリ

はい、小さなビルのように見えますけど、入口も窓がありませんね

ユトリが言ったように、この建物には入口や窓が一切なく、全面コンクリートで囲まれている。

これも建物とは認識しづらい理由の1つだった。

ガイド妖精

第4ブロックの競技と難易度2択はこれだ

ガイド妖精が発した光を建物らしき物の壁に当て、文章を表示する。

【アンノウン・ビルディング】 ・建物に入って出る。 ・入るのは自由。 ・出るためには条件がある。 【A】目を閉じて入る。 【B】目を開けて入る。

今度の問題は、今までとは比べ物にならないくらいに、わけがわからなかった。

建物というのは、目の前にある大きなコンクリートの塊のことだろう。

ここに入って出るのが、次の競技ということなのだろうが、2択の意味がよくわからない。

目を閉じていても、目を開けていても、入る場所は変わらないはずだ。

そもそも、どっちのほうが難易度が高いのかもわからない。

目を閉じていたほうが、前が見えない分怖いかなと思う程度。

これまでの競技3つは、どれも難易度の違いはわかりやすかった。

それと同時に、難易度の差はそれほどなく、どの競技のどの難易度も頑張ればクリアできるくらいに設定されていた。

それなら、どっちを選んでも変わらないんじゃないか?

今のぼくのポイントは6。

第4ブロックでクリアできれば4ポイントもらえるから、足せば10でブロンズクラスに昇格できる。

ここは少数派になりそうな方を選んだほうがいいか。

ぼくはAを選んだ。

ガイド妖精

投票が終了した。

Aがユウゴ、ユトリの2票。
Bがショウゴ、メイカ、ホマレの3票。

よって、第4ブロックは、難易度Aでユウゴとユトリが行う

ユウゴ

第4は、ぼくとユトリか

ユトリ

がっ、が、が、がが、頑張りまそ……ましょう

今回のリバ戦では初参戦のユトリは、ガチガチで噛み噛みに噛みたおしている。

メイカ

ユトリー、そんなので大丈夫なの?

ホマレ

平常心で挑みませんと、クリアできるものもクリアできませんわよ

ユトリ

だっ、じょじょっび……です

これは、ぼくがしっかりしていないとな。

ユウゴ

ショウリ達は、なんでBにしたの?

ショウリ

中に何があるかわからないのに目を閉じて入るのは危ないだろ?

メイカとホマレも声をそろえて『うん』と答えた。

この3人の考え方は、いつもシンプルだ。

そこそこ成績もいいから、考えすぎないのも大切なのかもしれないな。

ガイド妖精

さ、挑戦者の2人は前に出ろ

ガイド妖精に呼ばれて、ぼくとユトリが一歩前に出る。

ガイド妖精

残った者は、2人が戻ってくるまで、ここで待機だ。

ガイド妖精

当然だが、助言は禁ずる

この場に残るショウリ達に釘を差した後に、ガイド妖精がぼく達に話しかけてきた。

ガイド妖精

ここから建物の中までは私が誘導する。

ガイド妖精

2人とも目を閉じろ

ユウゴ

うん

ユトリ

は、はいっ

ガイド妖精に言われるままに、目を閉じる。

当たり前だけど何も見えない。

ガイド妖精

そのまま、前に進め

目を閉じたままで歩くのは、足元や前方の状況がわからないので、かなり怖い。

いつもより狭い歩幅で、いつもよりゆっくりと歩く。

このまま進むと、入口も窓もない建物にぶつかってしまうんじゃ。

そう思うと、さらに歩幅が小さくなる。

ガイド妖精

そのまま、前に進め

ガイド妖精からの無慈悲な指示。

おびえながら前に進んでいくと、足先に湿地帯の泥を踏んだような感触がかえってきた。

その感触は足だけでなく、手や肩、胸などにも広がっていく。

この全身が泥の中に引き込まれるような感覚には、覚えがあった。

入学試験で壁をすり抜ける隠し通路を通った時に近い。

ぼくの体は今、入口も窓もない建物の壁をすり抜けて、中に入り込んでいっているんだ。

10歩ほど進んでいくと、全身にまとわりついていた、泥に引き込まれるような感覚が消え去った。

壁の隠し通路を通り抜けたんだ。

ガイド妖精

2人とも、目を開けろ

ガイド妖精に言われて、目を開ける。

目の前にはガイド妖精、となりにはユトリもちゃんといる。

でも、それ以外が何もなかった。

足元は灰色の砂が広がっていて、周囲をぐるりと見回しても、コンクリートのような灰色の壁に囲まれていた。

ユウゴ

ここで、何をすればいいの?

ガイド妖精

ここを出る。それだけだ

ガイド妖精が、今回の競技のルールを復唱する。

【アンノウン・ビルディング】 ・建物に入って出る。 ・入るのは自由。 ・出るためには条件がある。

建物に入るまでは終わった。

ぼく達がやるべきは、出るための条件を探すことか。

ガイド妖精

あとは自分達で考えろ。

ガイド妖精

時間制限はないが、クリア不可能と判断した段階で強制終了する

そう言うと、ガイド妖精は高く飛んでいき、見えなくなってしまった。

ユウゴ

どうすればいいんだろう。

ユウゴ

ほぼノーヒントだよね?

とりあえず、ユトリに聞いてみた。

ユトリ

いえ、大丈夫です。

ユトリ

すぐにクリアできると思います

ユトリから意外な答えが返ってきた。

始める前の緊張ガチガチな姿からは別人だ。

ユトリ

実は私、さっきの問題を知っていたんです

ユウゴ

えっ

おどろいたけど、思い返してみればアミ戦には脳トレのクイズのような問題もいくつかあった。

そういう類の問題だったのだろう。

ユトリ

少し変形していましたけど、わたしの知っている問題の文章はこうです

その建物に入る時、人は目を閉じている。 その建物から出る時、人の目は開いている。

ユトリ

なので、目を閉じて入ったのですから、目を開けていれば出れるはずです

ユウゴ

そんな単純なことで?

ユトリ

私もそう思いますけど、この問題は直感を試しているんだと思うんです。

ユトリ

ガイド妖精も『時間制限はないけど、強制終了はある』と言っていましたから

ユウゴ

そうか、時間をかけて考えるほどに、泥沼にハマって答えが出なくなるってことか

ユトリ

はい

このユトリの推理が正解なら、今通ってきた壁の隠し通路を、もう一度通って外に出ればいいってことだ。

ぼく達は回れ右すると、壁に向かって歩き出した。

ゴチン×2。

壁に頭をぶつけた。

ユウゴ

通れなくなってるんだけど

ユトリ

あ、あれ~?

目を閉じていたから真っ直ぐ歩いてきたんじゃなかったのかと思い、壁を撫でたり叩いたりして隠し通路を探したけど、手がすり抜ける気配は一切ない。

ユトリ

なんか、すみません。

ユトリ

正解知っているみたいな雰囲気で話してしまって

ユウゴ

いや、いいよ。
ぼくも全然わかってないし

この手の問題はトライアル・アンド・エラーで、不正解をひとつひとつ潰していって、正解を導き出すしか無い。

その取っかかりを示してくれただけでも、ユトリが一緒で良かったと思う。

ユウゴ

あのさ、さっきの言葉って、誰かの有名な言葉だったりするの?

ユトリ

さっきのって、『その建物に入る時~』の文章ですか?

ユウゴ

うん。

ユウゴ

偉人の残した言葉とか、そういうのかなと思ったんだけど

ユトリ

そういうものではなくて、古い遺跡から発掘された言葉です

ユウゴ

遺跡?

ユトリ

たしか3700年前の古代メソポタミア文明の遺跡から発見された言葉で、世界最古のクイズの問題と言われています

ユウゴ

クイズの問題?

ユトリ

はい

ユウゴ

それなら、答えは、そのクイズの答えになるんじゃないかな?

ユトリ

はい?

ユウゴ

いや、だから『目を閉じて入る。目を開けて出る』ってクイズの問題の部分なんだよね?

ユウゴ

目を開けて出るだけだと、問題文しか使っていないことにならないかな

ユトリ

あ、ああーっ

ぼくの言わんとしたことが伝わったようで、ユトリが顔を真赤にして声を上げた。

ユトリ

ですよね。

ユトリ

なんで問題文だけでドヤ顔してたんでしょうか。

ユトリ

大事なのは答えですよね。

ユトリ

それじゃ、正解になるはずないですよね。

ユトリ

『私、知ってます』じゃなくて、ちゃんと考えろって話ですよね

ネガティブモードのユトリをなだめながら、問題の答えを聞き出した。

ユトリ

問題の答えなら、『学校』です

ユウゴ

学校? なんで?

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