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キーンコーンカーンコーン……
学校を思い浮かべた影響か、どこからかチャイムの音が聞こえた。
続いて、ざわざわと人の声が聞こえてきた。
ユトリ
コンクリートの壁に囲まれていたはずの景色が、いつの間にか学校の廊下に変わっていた。
それもアミキティア魔法学校の校舎ではなく、一般的な公立学校の廊下に。
ユウゴ
ユトリ
ここからどう動けばいいのかわからず、お互いに顔を見合わせる。
ユウゴ
ユトリ
わけがわからないけど、立ち止まっていては始まらない。
出口を探すために長い廊下を走り出す。
シシロウ
走り出してすぐに、ぼく達は呼び止められた。
振り返ると、シシロウがぼく達を指さしていた。
ユウゴ
シシロウ
当然というように答えるシシロウ。
シシロウ
ユウゴ
ユウゴ
シシロウ
シシロウがぼくとユトリの肩を、ガシッとつかむように叩いた。
キーンコーンカーンコーン……
どこからかチャイムの音が聞こえ、ざわざわと人の声が聞こえてきた。
学校の廊下にいる。
ユウゴ
ユウゴ
ユトリ
ユトリ
ユトリが言うように、景色が最初に学校に変わった時と同じ場所になっていた。
移動したことがなかったことになっているみたいだ。
ユトリ
ユウゴ
ユトリ
推測の域を出ないけど、さっきのシシロウは、ルールを破ったぼく達を注意するためにガイド妖精が用意した幻だろう。
出口を探すのは、走らずに学校のルールを守ってやれということか。
ユウゴ
ユウゴ
ユトリ
ぼく達は歩いて出口を探すことにした。
念のために、さっきシシロウに捕まったのとは逆方向に向かっていく。
すぐに階段を見つけた。
ここの階数はわからないけど、上と下に向かう階段がある。
ユウゴ
ユトリ
階段を降りていくと、下から駆け上ってくる男の子がいた。
ナミスケ
息を切らせて走ってきたナミスケだった。
ユウゴ
ナミスケ
ナミスケ
ナミスケに腕をガシッとつかまれた。
キーンコーンカーンコーン……
どこからかチャイムの音が聞こえ、ざわざわと人の声が聞こえてきた。
学校の廊下にいる。
ユウゴ
ユトリ
今は廊下のど真ん中にいる。
どっちに進んでも捕まってしまうなら、すでに詰んでいないだろうか。
ユトリ
ユトリが最初にシシロウ(の幻)に捕まった方の廊下を指さした。
ユウゴ
ユトリ
ユトリ
階段を使うとナミスケ(の幻)に会ってしまう。
ぼくはユトリを信じて、歩いて廊下を進んでいった。
今度はシシロウ(の幻)に声をかけられることもなく先に進め、階段にたどり着いた。
ここも上下の両方に続いている。
ユウゴ
ユトリ
こっちの階段なら、ナミスケ(の幻)に会うこともないだろう。
メイカ
突然、上から声。
見上げると、階段の手すりをスケボーで滑り降りてくるメイカ(の幻)がいた。
その超スピードに運動神経の鈍いぼくが反応できるわけもなく、思いっきり衝突した。
キーンコーンカーンコーン……
どこからかチャイムの音が聞こえ、ざわざわと人の声が聞こえてきた。
学校の廊下にいる。
ユウゴ
本人じゃないとわかっているけど、ちょっとモヤモヤする。
クリアした後で、いつもどおりに接せる自信がない。
ユトリ
ユウゴ
ユトリ
ぼく達は走りにならないギリギリの速歩きで、ナミスケ(の幻)が出た階段に向かった。
下に行くとナミスケ(の幻)と会ってしまうから、行きたいのは上の階段。
昇降口があるのは下の階だと思うけど、まずはこの廊下から離れたい。
ユウゴ
上に人の気配がないのを確認してから、階段をのぼっていく。
踊り場を通って、上の階へ。
階段をのぼってすぐの場所で、ホマレ(の幻)に出会った。
ホマレ
ユウゴ
ユトリ
思わずぼくとユトリは一歩後ずさった。
今までの経験上、見つかっただけならまだ大丈夫。
体にさわられたところで、アウトになるはずだ。
ホマレ
ユウゴ
ユトリ
ユトリ
あわてて返事をしたせいで、2人とも、どもってしまった。
ホマレ
何かに気づいたホマレ(の幻)が、ぼくとユトリの顔を交互にのぞき込む。
ホマレ
ホマレ
ホマレ
ユウゴ
ユトリ
ユトリ
なぜかユトリが顔を真赤にしてうろたえる。
ホマレ(の幻)がユトリに近づいて耳元に口を寄せると
ホマレ
と声をかけて、背中をぽんと叩いた。
キーンコーンカーンコーン……
どこからかチャイムの音が聞こえ、ざわざわと人の声が聞こえてきた。
学校の廊下にいる。
ユウゴ
ユトリ
ユトリ
さっきのルートならホマレ(の幻)との話し方を間違えなければ、先に進めるかもしれない。
でも、行けるのは上の階だ。
出口があるのは、多分、下の階だから、かえって遠ざかってしまう。
なんとか、下に行く方法を考えなければ。
ユウゴ
ぼくは廊下の窓を全開にあけた。
ユウゴ
いままでは律儀に廊下や階段を通って出口を探そうとしたせいで、途中で妨害されて戻されてしまった。
しかし、窓から外に出てしまえば、誰かに会ってしまうということはないだろう。
ユトリ
青い顔をしたユトリが窓の外を指差す。
その意図は窓の外をあらためて見なくてもわかっている。
窓の外は、濃い霧でおおわれていた。
外の様子がわからないだけでなく、視線を下に向けても地面が見えない。
ここが2階くらいの高さであれば、うまく着地できるかもしれない。
でも3階や4階、それ以上の高さだったら?
大ケガどころか、命を落とすかもしれない。
ユウゴ
ユウゴ
この言葉はユトリの説得と言うよりも、自分自身への言い聞かせだ。
今までも怖い思いをしたことはあったけど、危険と呼べるほどのことはなかった。
今度も大丈夫なはずだ。
窓枠に足をかけると、内蔵がゾワッと持ち上げられるような感覚に襲われた。
これから自分がやろうとしていることは、高所からの飛び降り。
それを意識すると、どうしても脳裏に最悪の結果がよぎってしまう。
ユトリ
ユウゴ
足に力を込めて、窓枠をこえるように跳び上がった。
ショウリ
後ろから羽交い締めにされて、動きを止められた。
振り返ると、すぐ近くにショウリ(の幻)の顔があった。
ショウリ
ショウリ
何か長々と話していたが、全部聞き終わる前に景色が消えていった。