テラーノベル
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少女は知っていた。
目の前にいる爺の、 命の短さを。
二人は、決して良好な 関係などではなかった。
アメ
その問いに、爺は頷いた。
誰しもが言った。 “彼は長くない”、と。
アメ
アメ
アメ
アメ
爺は頷いて続けた。
アメ
アメ
アメの言葉は純粋で、 穢れた爺の心を 少しだけ癒す。
アメ
そう言った10歳少女の、 涙が忘れられない。
その“綺麗な決意”が 美しすぎて。
悪に染まるには、 “眩しすぎた”気もした。
それが今はどうだろう。
アメ
爺が死んだのは、 その話をした数時間後だった。
苦しそうで、悲しそうで。
それでも、安らかだった。
アメ
不思議と、アメの瞳から 涙は出なかった。
アメと、もう一人。
自分の姿を不思議そうに見るアメに、 微笑むその女。
アメ
アメ
その女は、 アメと目線を合わせたあと、 自分の持っていた赤いユリの花を、 差し出した。
アメ
アメ
10年後、某市。
すっかり高校生へとなったアメは、 それを突然思い出した。
爺の死体を見ても泣かない女性。
赤ユリの花言葉は 「虚栄心」。
自分を実際以上に良く見せようとする、心。
何かがアメの中に引っかかっていた。
それが爺に当ててなのか、 その女性自身に当ててなのか、 自分には分からない。
黒板に書かれた無機質な文字を 眺めながら、頬杖をついて 考えていた。
アメ
イオリ
コガネ
何を悪びれる様子もなく 煙草を吸っているコガネに、 イオリはため息をついた。
イオリ
コガネ
コガネ
イオリ
コガネ
イオリ
コガネ
コガネの瞳の、光が消える。
その様子にイオリは ゾクっとした。
コガネ
コガネ
イオリ
イオリ
コガネ
コガネ
イオリ
コガネ
コガネ
コガネは、“狂っている”。
それは、人間性の問題じゃない。
“人間よりも、もっとそれ以上の何か。”
それが何か、イオリは知らない。
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コメント
2件
ダークファンタジーって感じがあって愛羅武勇