その日の夜 2人はまた海に来ていた。
グルッペンが夜の海を見たいと言ったからだ。
トントン
ここでやらないと、俺は一生やれない…。)
トントンは悶々としながらグルッペンについて行った。
グルッペン
グルッペン
トントン
キラキラしとるな。
辺りには誰もいない。 ほかの生き物も息を潜めている。 この浜辺で動いているのは2人だけだった。
グルッペン
早く来いよ。
トントン
トントンはポケットに入れているナイフをぎゅっと握りしめた。
空を見上げているグルッペンのところまで歩いていき、首根っこを掴んで倒した。
その上に乗り、首元にナイフを振り下ろそうとした。
トントン
その時トントンの目はグルッペンの目をとらえた。
恐怖も憎悪も驚愕もない。 ただ信頼の色がその目に浮かんでいた。
それを理解した途端、トントンの手は止まった。 振りかざしたまま下ろさない手に持ったナイフが月に反射している。
グルッペン
やらないのか?
トントン
俺には…っ!
ついにナイフを砂の上に落とし、脱力した。
グルッペン
今が格好のチャンスだろう?
トントン
トントン
なんでそんなに俺の事を信じてるような目で見るんや!
トントンは泣きわめいた。 今までの全てが悲しくなって、吐き出さずにはいられなかった。
トントン
今までだって父さんは頭が固くて頑固で、俺は苦手だった…。
だけど今はもうあの頃の父さんに会いたい…!
トントン
トントン
トントン
そこまで一息で言うと、トントンは黙り込んでじっとした。
グルッペン
グルッペン
グルッペン
トントン
俺があんたを殺そうとしてたこと知ってたんか?
グルッペン
最近のお前の様子と、お前の父親が接触していた奴を調べたからな。
グルッペン
色んなもの持たされたんだろうと思って、お前がいない間に中を見た。
グルッペン
グルッペン
トントン
グルッペンはポケットからその紙を出した。 中身を広げる。
グルッペン
俺を殺したあと、お前も一緒に行くつもりだったんだろう。
トントン
グルッペン
何としても止めないといけない、だけどお前を苦しめたくもない。
グルッペン
だからこうやって受け身になってみた。
グルッペン
お前には生きていて欲しい。
トントン
俺はもう家には帰れん。
あんただって俺には会えなくなるだろ。
グルッペン
うちの父親はお前のことを心配していた。
お前の父親のことは何とかしてくれるだろう。
グルッペン
トントン
グルッペン
トントン
グルッペン
鼻水つけるな!
トントン
俺が、バカだった…っ!
グルッペン
俺が言ってんだからこれはお世辞なんかじゃない。
トントン
グルッペン
まだ人生はこれからだ。
お前は俺と一緒に大きいことを成し遂げる。
トントン
グルッペン
自信満々にそう言ってドヤ顔をしてくるグルッペンを見ると、何故か心が落ち着いてきた。
トントン
全てどうでも良くなって、トントンも地面にころがった。
トントン
あんなところにいたら、俺が俺じゃなくなる。
ていうかなっとった。
トントン
俺をあの家から救ってくれ。
俺が俺であるために。
グルッペン
帰りに新幹線にて
トントンは今までが嘘のようにぐっすり眠っており、起きる気配がない。
持ってきていた武器は全て捨て、身軽になったトントンの顔は憑き物が取れたように晴れやかだった。
グルッペン
俺も人のこと言えんが、まだ子供なんだから子供らしくあって欲しいな。)
グルッペン
あの夜、宿に帰ったあとにグルッペンの父親に全てを話して対処してもらっていたのである。
グルッペン
グル父
グルッペン
グル父
少し精神的に参っていたからね。
治った後にちゃんと罰は受けるみたいだよ。
グル父
うちに来る手続きは済んでるし、私物も移動済みだ。
グルッペン
グル父
グルッペン
グル父
彼にはこれまでもだが、これからも辛い思いをさせてしまうな。
グルッペン
グル父
じゃあ気をつけて帰るんだぞ。
グルッペン
電話を切ったあともトントンは寝息を立てている。 グルッペンは暗くなった窓の外を眺めて、今後のプランを練り直した。
作者
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