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アセビと、アネモネ。ー最終話ー

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アセビと、アネモネ。ー最終話ー

1 - アセビと、アネモネ。ー最終話ー

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2019年12月20日

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人は、いつ死ぬのだろう。

肉体が滅びたときが死なのか。

だが、その人が心の中にいて、 心の支えになっている時、

それは死と言うのだろうか。

…あれから一年経つよ、

山田香凛。

僕は、一年前へと意識をとばした。

山田 香凛

榊、今日一緒に飲まない?

え、、、別に良いけど。

山田香凛が誘ったのは、 突然だった。

珍しいね、何かあった?

山田 香凛

いや、頼み事があって。

うん、わかった。

…で、

頼み事って?

山田 香凛

あぁ、これ。

山田 香凛

私が死んだときにどうすればいいか、っていう書類。

不吉だなぁ。

山田 香凛

いいの。念の為、だから。

わかったよ。

山田 香凛

じゃあ、私はこれで。

山田!

去っていく彼女の姿を見て、 思わず引き止めた。

山田 香凛

何?

あ、いや…何でも無い。

あのとき、気づけば良かったんだ。

引き止めれば良かったんだ。

山田 香凛

………。

彼女は静かに、そして美しく微笑み、

ゆっくりと歩きだした。

その姿は、今までと比べ物にならないくらい、

儚く、切なかった。

突然だった、

その知らせを受けたのは。

…死んだ?

山田香凛が?

彼女は、自ら自分を殺したのか?

そう、

死因は…自殺。

彼女は病魔に蝕まれながら死ぬより も、自分でいさぎよく死ぬことを選んだのだ。

山田の、最期に見た姿が蘇る。

どうして…っ

僕の初恋は、思いを伝えることができずに、終わったのか…っ

行き場の無い怒りに襲われた。

彼女は最期、僕に何を伝えたかったのか。

僕は、そのことに、

気づくことができなかった…。

山田香凛が死んで、一年が、たつ。

彼女は僕あての遺書を残しており、

そこには、

彼女の人生がつづられていた。

家族がいないこと、

余命宣告なんてとっくに過ぎていること、

など。

僕は、彼女の墓に花を供えた。

アネモネの花。

赤い、アネモネを。

アネモネの花言葉は、

はかない恋、恋の苦しみ。

赤いアネモネの花言葉は、

君を愛す。

それは、僕から彼女へのメッセージ

…。

アセビも、少し供えた。

アセビの花言葉は、

あなたと二人で旅をしましょう。

僕が連れて行くよ、どこまでも。

ふと、空を見上げる。

彼女が転校したときと同じように、

ただ、

微笑んだ。

彼女は死んでいる。

だけど、死んでいない。

なぜなら、

僕の胸の中で 息づいているのだから。

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コメント

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シリーズ完結です!お疲れ様でした…。また一つ、シリーズが終わりました。これからも、どんどん書いていきたいと思います。新しいシリーズも企画しておりますので、そちらの方もよろしくお願いします。本当にありがとうございました!

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