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レミ

わぁ、お米だー!

レミ

白っ、つやっ、ほかっ……!

クロト

落ち着け

我ながら、呆れる程語彙力がなくなっている。

……でも仕方が無いよね!

こちらの世界に来てから、初めてのお米だもの。

興奮して然るべし、白米強しってことで。

レミ

いただきまーす!!

手を合わせてから、お米を口の中へ掻き込む。

そういえば、この世界では食事前後に手を合わせる文化はないらしい。

信仰によっては食前に祈りを捧げたりすることもあるそうだ。

クロト達は無神論者? それとも神はいると思うけど信じていないタイプだろうか。

また今度訊いてみよう。そう思いながら、再度お米を口一杯に頬張る。

ここのお米は、日本のものと言うよりはタイ米に近かった。

まぁ、お米はお米だし、美味しいし、特に気にしないのだけれど。

そうやって黙々と食べていると、周りの三人が呆気に取られたようにこちらを見ていた。

何事?

クロト

お、おい。

クロト

いくらなんでも早食いしすぎだ。

クロト

詰まったらどうするんだ!?

クロト、君は私のお母さんですか?

心配させないように親指を立ててみせる。

レミ

大丈夫、大丈夫……うぐっ

あ、ちょっとまずいかも。く、るしい……!

ユリ

レミさん、水です

レミ

はひあとう

ユリちゃんから水を貰い、ゴクゴクと飲み干す。

ありがとうユリちゃん。君は私の命の恩人だ……。

そんな私の様子を呆れたように眺めていたクロトは、ふと思い出したようにこう言った。

クロト

あ、そうそう。

クロト

今日寝るときは楽な格好で寝とけよ。

クロト

すぐ活動できるような

レミ

はーい

すぐ活動できるように……?

少し疑問に思ったが、卒業式を終えたばかりの私に無茶なことはさせないだろう。

お米に興奮しすぎて、クロトを信用してしまった私。

そんな能天気な私は、数時間後、しっかりと後悔することになったのだった。

ユリ

……さん……ミさん。

ユリ

レミさん起きてください

レミ

ん……?

私は夜中、ユリちゃんに起こされた

一応クロトの言いつけ通り、ラフなシャツとジーンズ、ポニーテールという恰好で、すぐに活動できるようにはしている。

ユリ

クロト様がお呼びです

レミ

分かった~

寝起きで霞む視界を晴らすため眼を擦る。

それにしても、こんな夜中に何の用だろう……?

と言うか、ユリちゃんなんで起きてるの? 良い子は寝る時間だよ?

もしかしたら悪い子かもしれないユリちゃんに連れられ、私は部屋を出た。

レミ

いや、ちょっと待って待って待って!!!!

レミ

早まらないで!!!!!!

クロト

騒ぐなうるさい近所迷惑だ

レミ

空中に近所という概念ないでしょ‼︎

迷惑そうに髪を掻き上げるクロト。

顔が整っている方はそれだけで画になりますね!

やってること最低だけど‼︎

クロトは聞き分けのない子供に諭すような口調で、ゆっくりと説明した。

説明っていうか、私の意を一つも汲んでない決定事項なんですけど。

クロト

いいか、仕事を見つけてくるまで帰ってくるなよ。

クロト

あと、この通信機の使い方覚えてるな?

クロト

よし、何か質問は?

えー、私は今、飛行船の縁にいた。

縁というかここ空中。クロトに首根っこを掴まれているのだ。

……何で? 眠気一気に吹き飛んだよ?

レミ

いや、いやいやいや! 何かのイジメですかドッキリですかこれは?

クロト

イジメじゃないぞ、仕事を見つけるまで帰ってくるなって言ってるんだ。

クロトの辞書に休憩という言葉を今すぐに載せて下さい。

嘘でしょ……?

クロト

いいか、怖いのは最初だけだ。

クロト

一度体験すれば、次に体験する頃には何ともなくなっている。

クロト

分かったか?

そんなこと言われましても……。

クロトさんよ、いくら何でも急すぎやしませんか⁉︎

内心では騒ぎつつ、空中で暴れることもできずに黙っている私を見て、どう受け取ったのか、彼は。

クロト

じゃあ、落とすぞー

レミ

ッ!!!???

悪夢のようなカウントダウンを始めた。

クロト

さーん

レミ

いや、待って

クロト

にーぃ

レミ

待って待って

クロト

いーちぃ

レミ

待って待って待って!!

クロト

ぜーろ

レミ

いゃぁぁぁぁぁぁ!!

クロトがゼロと行った瞬間に、落とされた。

おい、お前、クロト! 私の「待って」という声が聞こえなかったの⁉︎

レミ

あ、ア……ギャァァァァァ!!!!!!!!!!

可愛くない悲鳴を上げながら私は急降下。風が私の頬をびゅうびゅうと掠めて行く。人体の自由落下運動は怖い‼︎

遠くでユリちゃんとラン君が、手を合わせ合唱している様が目に入った。

ふ、二人とも薄情な!

私は滑空、というか落ちていきながら、水場を探す。

ミティフス学園で学んだことが役に立つのは嬉しいけど、この知識は役に立たないまま、人生終わって欲しかったな……。

レミ

! あった、あそこっ

私有地なのかプールがあった。

普通に考えれば不法侵入……不法落下? だけど、今回ばかりは許していただこう。

着陸準備をしながら、私は自由落下の恐怖と闘った。

────気泡。冷水。水面。

ドボンという音が後から聞こえてきた。

レミ

う、ううぅ

鼻に水が少し入ったけれど、着水には成功したみたい。

生きててよかった〜。

ほうっとプールの中で息を吐く。

……そこで、私は周りが妙に明るいことに気がついた。

あ、あれ……?

もしかして、周りに人、いたりします?

そっと辺りを見渡す。

そこには見知らぬ人が沢山いた。

……い、言い訳させてもらっていいですか?

それか、今すぐにでも立ち去るんで‼︎

女の子

ふふっ、ハッハッハッ

見るからに怪しい私を見て、一人の女の子が笑い始めた。

周りの人々は、何も言わない。

だけどこっそり、この女の子の出方を探っているのが分かる。

ここで一番の権力者、なのだろうか。良家のお嬢様とか?

打首とか言われたらどうしよう、そう警戒する私に少女は小首を傾げて、私の予想を斜めはるか上に通り越す提案をした。

女の子

ねぇそこの面白い子、私の侍女にならない?

レミ

へ?

その黒髪の女の子は、にっこりと微笑んでプールの中で戸惑っている私に手を伸ばす。

女の子

ちょうどいいわ、あなた『仕事を探している』んでしょ?

少女の悪戯を仕掛けるときのような瞳の輝きは、心なしか、誰かに似ていた。

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