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テラーノベル(Teller Novel)

ゆあんを起こしたのは数分前。

いつも通り、朝を迎えておはようって笑い合えるはずだった。

だが、起こしてから一転。

朝が弱いはずのゆあんは急に飛び起き、驚き泣すがるように喚き出した。

ゆあん

タ…スケッ

泣きわめき、涙目で訴える。

起こそうと伸ばした手を力いっぱい握っている。

なおきり

大丈夫。大丈夫だよ。

何となくだが、勘づいていた。

ゆあんは感染していると。

信じたくない俺のエゴが、病態を酷くしたらしい。

ゆあん

ヤダ!ヤダァ!

次第に大きくなる声と力。

前のゆあんとは思えないほどに力が強くなっていた。

だが、勝っているのは俺の方。

ゆあん

離して…お願い、離して!

なおきり

ごめん、無理。
落ち着いて…?

ゆあん

離せ!離してって!

ゆあん

……俺を1人にして…

胸の奥がチクリと痛む。

小さくなった声が耳に届けば、僕は力が抜けていた。

ゆあん

ウ”ァァ!

その一瞬の隙を反撃するようにもがかれる。

抑えることは出来たが、一瞬見えたのは、

大きく鋭い牙

たっつん

な、何があったんや!

のあ

たっつんさん、…ゆあん君の目…っ!

流れてくるように走ってきた2人。

わかってる。わかってるから言わないでくれ。

たっつん

もしかして…

僕の大好きな人が感染してるなんて現実は

のあ

感染してる…

要らない!

ゆあん

イヤダ、…ヤァダァ!

喚き続けるゆあん。

僕はお願いだから信じたくないんだ。

ゆあん

俺は…

やめて…

ゆあん

『ヴァンパイア』なんだ!

もう辞めてくれ…!

ゆあん

お願い、来ないで…、コナイデェ!

なおきり

ゆあん君、大丈夫。

ゆあん

コナイデヨォ!

なおきり

血が欲しいんでしょ。

感染してしまった現実を突きつけられたあげく、誰にも渡したくなんてない。

僕の身勝手な行動だが、それほど大好きなんだ。

渡す訳には行かない。

そばに居るのは、僕だけでいいと思える人に。

ゆあん

でも、…デモ、ヤダ!

なおきり

大丈夫。おいで?

ゆあん

ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…!

服を引っ張れば謝り、震えながら首筋に噛み付いてくる。

チクリと刺さる痛みの後に、吸われる感覚が微かにあった。

なおきり

たっつんさん、のあさん、俺は大丈夫です。
ゆあん君のことは任せてください。

大丈夫だよ、絶対にそばに居る。

ゆあんに何があろうと、僕は嫌いになったりしない。

何があろうと、絶対に。

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