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月雪花も君と

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月雪花も君と

1 - 千年先の君

♥

650

2024年11月03日

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ザッザッザッ

…うむ!今日も綺麗だな!

オレは天馬司、歳は23だ。

先代からこの神社を受け継ぎ、神主としてこの社を守っている。

向こうも掃除しておいたよ、神主くん♪

またお前か……

帰れ、妖。ここはお前の来るような場所じゃないぞ。

そんな…酷いよ、神主くん…

私はただ神主くんのためを想っただけなのに…

しくしくと泣き真似をしている、この綺麗な女…に見える男は妖だ。

胡散臭い演技はよせ。オレには効かん。

演技じゃないよ。本心さ。

全く…何が楽しくて、毎日オレの元へ来る?

そりゃあ、君のことを好いているからだよ。

嘘つけ。

嘘じゃないよ。本当に好きなんだ。

……絶対に騙されんからな。

そう…

なら、もっと頑張るね♪

もう来るな!!!‪💢

ふふっ、また明日ね。神主くん♪

だからっ

…ああ、クソ!また逃げよって、

大体なんだ!毎日毎日やって来て、オレを好いているだのなんだの…

(奴は妖だ。気を許したが最後、食われるのがオチだろう。)

オレは絶対にそうはならんぞ…!

♪~

今日は一段とご機嫌だね。いい事でもあったのかい?

ぬわっ!?

ま、またお前か!!

ふふ、私も一緒にお掃除していい?

だ、ダメだ!帰れ!

やっぱり、今日もダメかい…?

そうか…なら、また明日来るよ。

だからもう来るなって…

…ああ、もう!

(そんな悲しそうな顔されると調子狂うだろう…)

神主く〜ん!

…おや、

ふっふっふっふ…

どうだ!!これで入ってはこれまい!

ふぅん…結界か。

昨晩、爺様の蔵で勉強したんだ!これで流石に諦め…

残念ながら、こんな結界は私には効かないよ。

何っ?!?!

低級妖怪か、せいぜい中級くらいには効くだろうけどね。

ぐぬ……っ!!やはりお前、上級妖怪だったか…!

それにしてもこんな簡単に破られるとは…

…そんなに、私のことが嫌いかい?

む、

それは…妖が好きな人間などおらんだろう。

私はこんなに、君を好いているのにかい?

どうせオレを口説いて、最後は食べるんだろう。オレは絶対、そうはならんぞ。

食べる、ね…

…今日は帰るよ。また来るね。

む…

あっ、いや!だからもう来るなって…!

…って、またおらんし、、

…よし!今日こそは完璧だろう!

(爺様の蔵にあった、更に強い結界を張った!)

うん、いいと思うよ。

どわっ!?!

私には効かないけどね。

くっ、どれだけ上級妖怪なんだ……

まぁいい。今日は忙しいんだ。帰れ。

忙しいのなら手伝うよ。

いらん!!

そうかい…

提灯を出してるってことは、もうすぐお祭りでもやるのかい?

…だったらなんだ。

いいや、楽しそうだと思ってね。

私もそれ、手伝うよ。

だからいらんと言っている。

2人でやった方が早いだろう?

妖に借りなんて作るか。

頑なだねぇ…

…大事な祭りなんだ。ここに祀ってる神様へ感謝を伝える、伝統的な。

代々、神主が祭りの準備も主催もする。妖でなくとも、誰の手も借りるつもりはない。

ふぅん…

ふふ、ねぇ。祭りの日はいつだい?

…言わん。

なら当ててあげるよ。3日後だ。

ぐっ…知ってるなら聞くな!

君の口から聞きたかったのさ。

はぁ…絶対に来るんじゃないぞ。他の人間もたくさん来るからな。

大丈夫さ。私も人間に見えるだろう?

……人間にしては不気味だ。

おや、どこら辺がかな?

美しすぎる。そんな整った人間はおらん。

君、私のこと美しいって思ってたのかい?

……失言だった。忘れてくれ。

え、嫌だよ。

だって嬉しいからね。ふふ、初めて君に褒められちゃった♪

〜〜〜〜褒めとらん!!

えぇー、無理があるよ〜

祭り当日

村人

神主さん、いつもご苦労です。

いえいえ。足を運んで頂き、ありがとうございます!

村人

ふふ、お祭り楽しませていただきますね。

はい!

……

(あの妖…本当に来ないな。てっきり来ると思っていたが、)

(いやいや、来るなと言ったのは自分じゃないか!)

(だが……何かあったんじゃ…)

(って、オレには関係ないだろう!気にしない、気にしない!)

妖は結局、祭りには来なかった。

(…いや、気にするな。)

(むしろ仕事が減って楽だったじゃないか。)

(そうだ。このまま来なくなったら…)

……別に、寂しくなんか無いさ。

(…よし、そろそろ帰るか。)

(結局今日も来なかったな。)

(…いや、これで良かったんだろう。)

元気がないね、神主くん。話聞こうか?

!?!?

鳥居の向こうに、あの妖がいた。

お、おま…は!?

ふふ、1日会ってないだけなのに、随分と久しく感じるね。

な……っ

お前…っ、昨日、

あぁ、昨日?ちょっと疲れちゃってね。寝過ごしちゃったのさ。

会いに来れなくてごめんね。

はぁ……?

……

おや、いつにも増して熱視線だね。

…おい、妖。今日は鳥居をくぐらんのか?

ふふ、今日はここでいいのさ。

そこには結界が張ってある。だが、お前には効かない程度だった結界だ。

ああ、そうだね。

何故くぐらない?

だから、今日はここからがいいんだよ。

違うな。くぐれないんだろう。

……

ちょっと結界を解くから待ってろ。

え?

よし、これで来れるだろう。

いや…えっと、どうしたんだい?

いつも来るな、帰れって言うのに…こんな、招き入れるみたいな、

お前、怪我してるんだろう。

よくよく嗅げば血の匂いがする。それに、いつもより妖力が薄い。

どうした?何があった。

……言わないよ。

そうか。別にそれでもいい。

だが、これだけは聞かせてくれ。

お前を傷付けたのは人間か?それとも妖か?

大丈夫、妖さ。

そうか…

…神主くんは、怪我をしたら優しくしてくれるのかい?

む、

いや、それは……そういう訳では無いが、

ねぇ、神主くん。

私、本当に君が好きなんだ。

…だからなんだ。

1度だけでいいから、本心でなくてもいいから、好きって言ってくれないかい?

それを聞けばもう満足さ。今後一切、君とは関わらないと誓うよ。

これは本当。約束するよ。

……

言ってくれるだけでいいんだ。それで、もう満足だから。

お願い。

(やはり血は争えない…か、)

い…嫌だ。

な…

そんなに…そんなに私のことが嫌いなのかい…?

そんなに…

ち…違う!

…何が違うんだい?

オレは…だな、その…

お前のこと、好き、では無いが…嫌いでも無くなったんだ。

だから、いなくなったら少し寂しい…

それは…

…ごめん、どういう意味だい?

なっ…!!

いや、本当にすまない。理解出来なかったんだよ。

だ、だからだな!お前のことは嫌いではないと言ったんだ!

なら、好きって言ってくれてもいいじゃないか。

そ、そうしたら…お前はもう、オレに会いに来ないんだろう。

……??

君はいつもそれを望んでたじゃないか。

〜〜〜あー、もう!

お前と会えなくなったら寂しいと感じるようになったんだ!だから…っ

これからも会いに来て欲しいから…言いたくない!

……

…?

……!?

や、やっと私のこと好きになってくれたのかい?!

だ、だから好きではないぞ!!

えっ、あ…そうかい…

ぐっ……

でもでも、嫌いでは無くなったんだよね?

あ、ああ。

!!

ふふっ、やった!嬉しいなぁ〜!

ねぇ、じゃあケッコン?してくれるの?

けっ!?!?

せ、せんわ!!!せめて友人からだな…

ユウジン…?

え、えっと友人って言うのは…互いに心を許し合って、対等に接することの出来る…まぁ、大切な存在、みたいなものだ。

心を許し合って…対等に…

お前、結構長いこと生きてるだろうに、友人も知らんのか?

だ、だっていた事ないし…

むぅ…それもそうか。

えっと…まぁ、なんだ。怪我してるし、家来るか?

たしか爺様の蔵にある巻物に、妖用の療養術が載っていた気がする。

あ、何か少しでも怪しい動きしたら、即追い出すからな!

うん!行きたいっ!

……じゃ、着いてこい。

うん!

(クソ、ちょっとだけ可愛い…)

ツヅク

唐突に始まったのでざっくり説明

天馬司(23)
村の神社の神主。
先祖代々妖が見える家系であり、微量だが妖力を持っている。
遠い先祖が妖と大恋愛をしたらしく、その影響で代々妖が見えるそう。
両親、妹など家族は既に全員他界しており、天涯孤独で現在は一人暮らし中。

??(??)
かなり上級の妖怪。
何の妖怪なのか、年齢、名前等は一切不明。
司のことを大変好いており、一途で健気。
綺麗な女性の姿をしているが、これは本来の姿では無い。
実際は男で、綺麗な女性の姿をしているのは司に好かれるためだそう。

この作品はいかがでしたか?

650

コメント

9

ユーザー

もうめちゃくちゃに好きですホントありがとうございます……ッッッ!!!!!(

ユーザー

妖怪の話書くの楽しいよね、、!🥹‪ ちょっと色々と傷ついてたからめちゃくちゃ癒された︎💕︎✨

ユーザー

ふわ、今日も神作品だ、最高☆

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