ザッザッザッ
司
…うむ!今日も綺麗だな!
オレは天馬司、歳は23だ。
先代からこの神社を受け継ぎ、神主としてこの社を守っている。
向こうも掃除しておいたよ、神主くん♪
司
む
司
またお前か……
司
帰れ、妖。ここはお前の来るような場所じゃないぞ。
そんな…酷いよ、神主くん…
私はただ神主くんのためを想っただけなのに…
しくしくと泣き真似をしている、この綺麗な女…に見える男は妖だ。
司
胡散臭い演技はよせ。オレには効かん。
演技じゃないよ。本心さ。
司
全く…何が楽しくて、毎日オレの元へ来る?
そりゃあ、君のことを好いているからだよ。
司
嘘つけ。
嘘じゃないよ。本当に好きなんだ。
司
……絶対に騙されんからな。
そう…
なら、もっと頑張るね♪
司
もう来るな!!!💢
ふふっ、また明日ね。神主くん♪
司
だからっ
司
…ああ、クソ!また逃げよって、
司
大体なんだ!毎日毎日やって来て、オレを好いているだのなんだの…
司
(奴は妖だ。気を許したが最後、食われるのがオチだろう。)
司
オレは絶対にそうはならんぞ…!
司
♪~
今日は一段とご機嫌だね。いい事でもあったのかい?
司
ぬわっ!?
司
ま、またお前か!!
ふふ、私も一緒にお掃除していい?
司
だ、ダメだ!帰れ!
やっぱり、今日もダメかい…?
そうか…なら、また明日来るよ。
司
だからもう来るなって…
司
…ああ、もう!
司
(そんな悲しそうな顔されると調子狂うだろう…)
神主く〜ん!
…おや、
司
ふっふっふっふ…
司
どうだ!!これで入ってはこれまい!
ふぅん…結界か。
司
昨晩、爺様の蔵で勉強したんだ!これで流石に諦め…
残念ながら、こんな結界は私には効かないよ。
司
何っ?!?!
低級妖怪か、せいぜい中級くらいには効くだろうけどね。
司
ぐぬ……っ!!やはりお前、上級妖怪だったか…!
司
それにしてもこんな簡単に破られるとは…
…そんなに、私のことが嫌いかい?
司
む、
司
それは…妖が好きな人間などおらんだろう。
私はこんなに、君を好いているのにかい?
司
どうせオレを口説いて、最後は食べるんだろう。オレは絶対、そうはならんぞ。
食べる、ね…
…今日は帰るよ。また来るね。
司
む…
司
あっ、いや!だからもう来るなって…!
司
…って、またおらんし、、
司
…よし!今日こそは完璧だろう!
司
(爺様の蔵にあった、更に強い結界を張った!)
うん、いいと思うよ。
司
どわっ!?!
私には効かないけどね。
司
くっ、どれだけ上級妖怪なんだ……
司
まぁいい。今日は忙しいんだ。帰れ。
忙しいのなら手伝うよ。
司
いらん!!
そうかい…
司
…
提灯を出してるってことは、もうすぐお祭りでもやるのかい?
司
…だったらなんだ。
いいや、楽しそうだと思ってね。
私もそれ、手伝うよ。
司
だからいらんと言っている。
2人でやった方が早いだろう?
司
妖に借りなんて作るか。
頑なだねぇ…
司
…大事な祭りなんだ。ここに祀ってる神様へ感謝を伝える、伝統的な。
司
代々、神主が祭りの準備も主催もする。妖でなくとも、誰の手も借りるつもりはない。
ふぅん…
ふふ、ねぇ。祭りの日はいつだい?
司
…言わん。
なら当ててあげるよ。3日後だ。
司
ぐっ…知ってるなら聞くな!
君の口から聞きたかったのさ。
司
はぁ…絶対に来るんじゃないぞ。他の人間もたくさん来るからな。
大丈夫さ。私も人間に見えるだろう?
司
……人間にしては不気味だ。
おや、どこら辺がかな?
司
美しすぎる。そんな整った人間はおらん。
!
君、私のこと美しいって思ってたのかい?
司
……失言だった。忘れてくれ。
え、嫌だよ。
だって嬉しいからね。ふふ、初めて君に褒められちゃった♪
司
〜〜〜〜褒めとらん!!
えぇー、無理があるよ〜
祭り当日
村人
神主さん、いつもご苦労です。
司
いえいえ。足を運んで頂き、ありがとうございます!
村人
ふふ、お祭り楽しませていただきますね。
司
はい!
司
……
司
(あの妖…本当に来ないな。てっきり来ると思っていたが、)
司
(いやいや、来るなと言ったのは自分じゃないか!)
司
(だが……何かあったんじゃ…)
司
(って、オレには関係ないだろう!気にしない、気にしない!)
妖は結局、祭りには来なかった。
司
(…いや、気にするな。)
司
(むしろ仕事が減って楽だったじゃないか。)
司
(そうだ。このまま来なくなったら…)
司
……別に、寂しくなんか無いさ。
司
(…よし、そろそろ帰るか。)
司
(結局今日も来なかったな。)
司
(…いや、これで良かったんだろう。)
司
…
元気がないね、神主くん。話聞こうか?
司
!?!?
鳥居の向こうに、あの妖がいた。
司
お、おま…は!?
ふふ、1日会ってないだけなのに、随分と久しく感じるね。
司
な……っ
司
お前…っ、昨日、
あぁ、昨日?ちょっと疲れちゃってね。寝過ごしちゃったのさ。
会いに来れなくてごめんね。
司
はぁ……?
司
……
おや、いつにも増して熱視線だね。
司
…おい、妖。今日は鳥居をくぐらんのか?
ふふ、今日はここでいいのさ。
司
…
司
そこには結界が張ってある。だが、お前には効かない程度だった結界だ。
ああ、そうだね。
司
何故くぐらない?
だから、今日はここからがいいんだよ。
司
違うな。くぐれないんだろう。
……
司
ちょっと結界を解くから待ってろ。
え?
司
よし、これで来れるだろう。
いや…えっと、どうしたんだい?
いつも来るな、帰れって言うのに…こんな、招き入れるみたいな、
司
お前、怪我してるんだろう。
…
司
よくよく嗅げば血の匂いがする。それに、いつもより妖力が薄い。
司
どうした?何があった。
……言わないよ。
司
そうか。別にそれでもいい。
司
だが、これだけは聞かせてくれ。
司
お前を傷付けたのは人間か?それとも妖か?
大丈夫、妖さ。
司
そうか…
…神主くんは、怪我をしたら優しくしてくれるのかい?
司
む、
司
いや、それは……そういう訳では無いが、
ねぇ、神主くん。
私、本当に君が好きなんだ。
司
…だからなんだ。
1度だけでいいから、本心でなくてもいいから、好きって言ってくれないかい?
それを聞けばもう満足さ。今後一切、君とは関わらないと誓うよ。
司
!
これは本当。約束するよ。
司
……
言ってくれるだけでいいんだ。それで、もう満足だから。
お願い。
司
…
司
(やはり血は争えない…か、)
司
い…嫌だ。
な…
そんなに…そんなに私のことが嫌いなのかい…?
そんなに…
司
ち…違う!
…何が違うんだい?
司
オレは…だな、その…
司
お前のこと、好き、では無いが…嫌いでも無くなったんだ。
司
だから、いなくなったら少し寂しい…
それは…
…ごめん、どういう意味だい?
司
なっ…!!
いや、本当にすまない。理解出来なかったんだよ。
司
だ、だからだな!お前のことは嫌いではないと言ったんだ!
なら、好きって言ってくれてもいいじゃないか。
司
そ、そうしたら…お前はもう、オレに会いに来ないんだろう。
……??
君はいつもそれを望んでたじゃないか。
司
〜〜〜あー、もう!
司
お前と会えなくなったら寂しいと感じるようになったんだ!だから…っ
司
これからも会いに来て欲しいから…言いたくない!
……
…?
……!?
や、やっと私のこと好きになってくれたのかい?!
司
だ、だから好きではないぞ!!
えっ、あ…そうかい…
司
ぐっ……
でもでも、嫌いでは無くなったんだよね?
司
あ、ああ。
!!
ふふっ、やった!嬉しいなぁ〜!
ねぇ、じゃあケッコン?してくれるの?
司
けっ!?!?
司
せ、せんわ!!!せめて友人からだな…
ユウジン…?
司
え、えっと友人って言うのは…互いに心を許し合って、対等に接することの出来る…まぁ、大切な存在、みたいなものだ。
心を許し合って…対等に…
?
司
お前、結構長いこと生きてるだろうに、友人も知らんのか?
だ、だっていた事ないし…
司
むぅ…それもそうか。
司
えっと…まぁ、なんだ。怪我してるし、家来るか?
司
たしか爺様の蔵にある巻物に、妖用の療養術が載っていた気がする。
!
司
あ、何か少しでも怪しい動きしたら、即追い出すからな!
うん!行きたいっ!
司
……じゃ、着いてこい。
うん!
司
(クソ、ちょっとだけ可愛い…)
ツヅク
唐突に始まったのでざっくり説明
司
天馬司(23)
村の神社の神主。
先祖代々妖が見える家系であり、微量だが妖力を持っている。
遠い先祖が妖と大恋愛をしたらしく、その影響で代々妖が見えるそう。
両親、妹など家族は既に全員他界しており、天涯孤独で現在は一人暮らし中。
村の神社の神主。
先祖代々妖が見える家系であり、微量だが妖力を持っている。
遠い先祖が妖と大恋愛をしたらしく、その影響で代々妖が見えるそう。
両親、妹など家族は既に全員他界しており、天涯孤独で現在は一人暮らし中。
??(??)
かなり上級の妖怪。
何の妖怪なのか、年齢、名前等は一切不明。
司のことを大変好いており、一途で健気。
綺麗な女性の姿をしているが、これは本来の姿では無い。
実際は男で、綺麗な女性の姿をしているのは司に好かれるためだそう。
かなり上級の妖怪。
何の妖怪なのか、年齢、名前等は一切不明。
司のことを大変好いており、一途で健気。
綺麗な女性の姿をしているが、これは本来の姿では無い。
実際は男で、綺麗な女性の姿をしているのは司に好かれるためだそう。