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ハッピーハロウィン。 よきです。今回も良きなんです
え
最初から最後まで美味しかった .. はっぴーはろうぃん !
ハロウィンなんて嫌いだ。
無くなれば良いと思った。
赤い血液しか見えないハロウィンなんて、
全く楽しくも無い。
𝑌𝑜𝑢
それは1本の電話からだった。
今日はハロウィンである。
別に予定も無かった私は、部屋で洗濯物を畳んでいた。
そんな平和な日に、地獄の様な伝言があった。
圭介が死んだ。
耳を疑った。
ハロウィンって、ジョークを言うような日だったか?
変な冗談だろうと思ったが、千冬の声色からしてそれは違うと分かった。
嫌だ。そんなの、嫌だ。
𝑌𝑜𝑢
あの圭介が死ぬなんて有り得ない。
信じたくない、絶対に。
私は携帯を床に放り投げて、無我夢中に家を出て行った。
冷や汗をダラダラかきながら、足を1歩も止めずに走る。
走る。
走る。
走る。
死ぬ気で走るしか無かった。
息を切らして走った。
嘘か本当かの区別も付かなくなってきた感覚に恐怖を覚えながら。
途中で転んでも、直ぐに立ち上がって走り続けた。
圭介はまだ生きてる。
あんなカッコイイ人が死ぬ訳無い。
あんなに、皆の事を思ってる人が。
𝑌𝑜𝑢
チフユ
過呼吸がさらに悪化する。
千冬の膝の上に、血を流しながら仰向けに寝転ぶ圭介の姿が見えた。
血が酷い。
上手く呼吸が出来ない。
荒れた呼吸を繰り返しながら、圭介の元へとゆっくり歩み寄る。
1歩1歩、砂を踏むのを感じながら。
特攻服を着た傷だらけの皆が涙を流しながら私を見る。
千冬とタケミッチも、目に涙を存分に溜め込んで私を見ていた。
𝑌𝑜𝑢
膝を付いて、そこに座り込む。
白くなって、体温も感じられなくなったその圭介の体は
私の手を射てつけた。
チフユ
チフユ
𝑌𝑜𝑢
泣きじゃくりながら、震えた声で叫ぶ千冬。
その姿を見てさらに精神に病む。
本当に死んでしまったんだ。
タケミッチも、もうそれ以上何も言えない放心状態に陥っていた。
ドラケンも三ツ谷君も、俯いてるだけで何も言わない。
皆、何も言えない。
私は、その現実を酷く噛み締めながら
圭介の手を握って泣き叫んだ。
... 夜、私は放心状態だった。
まだ圭介の死を受け止め切れず、悔やみに悔やんで泣いていた。
その後、千冬達に聞いたんだ。
圭介は一虎君の為に自害したと。
殺されたのでは無く、自分で自分を殺したんだって。
そんなの、もっと酷いじゃないか。
こっちの気も知らないで、勝手に先に行って。
私は圭介の事が好きだった。
千冬経由で知り合った圭介は、出会った瞬間に好きだと感じた。
でもどんなにアピールしても、圭介は笑ってるだけで気付いてくれなかった。
だからいつか、本気で言ってやろうと思ってたのに。
その『いつか』はもう一生来ないの?
𝑌𝑜𝑢
電気の付いていない部屋に、1人蹲って
声を殺して泣いていた。
𝑌𝑜𝑢
すると、私は1つ案を思い付いた。
圭介はもうこの世には居ない。
ならば、私から出向くのが1番手っ取り早い。
私も死ねば、圭介に会える。
会えなくても、私は圭介の居ない世の中には興味が無い。
食欲も全く無くなった。
テレビも見たくない。
何もしたくない。
結局、私にとって圭介は心の支えだったんだ。
死のう。
最初からこうすれば良かったんだ。
血を見るのは怖いので、私は首を括る事にした。
生憎、太いロープはあった。
そのロープを掛ける所もあった。
この縄に首を突っ込んでしまえば、私は酷く苦しんで死ぬだろう。
椅子に登って、縄を見る。
すると脳裏に東卍の皆の顔が過ぎった。
𝑌𝑜𝑢
その中でも1番仲が良かった2人の名前をあげる。
死んでしまえばこの名前も呼べなくなるのだろうか?
... いや、私には悩む暇も無い。
こうしている間にも、死ぬという選択肢を辞めようとしてる。
ダメだ、私は死ぬんだ。
そう強く思い、私は縄に頭を預けた。
𝑌𝑜𝑢
あれ、苦しくない。
もう死んだのか?
恐る恐る目を開けると、私は椅子から転げ落ちていた。
チフユ
𝑌𝑜𝑢
目の前には、息の荒い千冬が立っていた。
チフユ
チフユ
𝑌𝑜𝑢
涙を流しながら、傷だらけの千冬が言う。
その酷く真剣な目に、私は申し訳なくなった。
最後の最後まで、私は迷惑を掛けるんだな。
𝑌𝑜𝑢
チフユ
軸... 千冬も、圭介が生きる中心だったんだ。
チフユ
𝑌𝑜𝑢
千冬の言葉が耳に刺さる。
チフユ
チフユ
チフユ
何も言えなかった。
だってそうだから。
死のうとした時、私は皆の顔が頭に浮かんだ。
けど皆は私が居なくても大丈夫だって、直ぐに切り捨てた。
チフユ
そうだ。
私という存在は、圭介だけじゃなかった。
千冬も、タケミッチも、マイキーもドラケンも。
少なくとも私にとっては、生きる中心だったんだ。
馬鹿だった。
それに気付けない私が馬鹿だった。
大馬鹿者だ。
𝑌𝑜𝑢
どうかこんな私を見て笑って欲しい。
小さな幸せに気付けなかった私を、バカにして笑って欲しい。
すると、千冬は笑ってくれた。
それを見て、私は安堵からの睡魔がやって来た。
目の前に立つ千冬も、疲れ切ったのか倒れて寝てしまっていた。
ごめんなさい。
夢の中でも、私は皆に謝った。
圭介も許してくれる?
圭介にとって、私は何だった?
″いつか″聞こうとしていた事も
夢の中でそれは消化された。
𝑌𝑜𝑢
𝑌𝑜𝑢
血のハロウィンから、12年ほど経った。
私はあの日、死ぬのを辞めて現実を生きた。
圭介が居ない現実を、苦薬を噛むように食いしばりながら
私は小さな幸せを大切にここまで生きてきたのだ。
カズトラ
𝑌𝑜𝑢
カズトラ
カズトラ
𝑌𝑜𝑢
今では仲間が居た。
私の大切な人が何人も出来た。
一虎君も、圭介が居なくなって死のうとしたらしかった。
一虎君と圭介の間に何かがあったのは分かってる。
それを承知した上で、私と一虎君は似た者同士だと感じた。
チフユ
すると、チョコを2袋が私の手の平に乗せられた。
𝑌𝑜𝑢
カズトラ
チフユ
カズトラ
𝑌𝑜𝑢
チフユ
𝑌𝑜𝑢
私は元気よく、貰ったチョコを食べてそう言った。
カズトラ
𝑌𝑜𝑢
千冬の車へ向かうと、トランクに大量のお菓子やら飾りが入っていた。
チフユ
𝑌𝑜𝑢
カズトラ
チフユ
𝑌𝑜𝑢
𝑌𝑜𝑢
チフユ
ニコッと笑った千冬は、見ていて私も幸せになった。
カズトラ
𝑌𝑜𝑢
チフユ
カズトラ
ハロウィンは嫌いだった。
でも、今はそんなに嫌いでは無い。
こっちの気も知らないで、圭介は居なくなってしまった。
まだその現実は鉛のように足にまとわりつく。
本当に生きてていいのか、疑う時もある。
何処で間違えてしまったのか、泣きそうになる時もある。
まだ辛い。
決してこの大きな傷は消えない。
だけど、私には千冬達が居る。
嫌いだったハロウィンも、私にとって幸せになるのかもしれない。
この大きな傷を、私は小さな幸せで埋めようとしてる。
人生は難しい。
でもそんな現実を、私はもう受け止めた。
𝑌𝑜𝑢
私はまだ、笑って生きています。
小さな幸せを大切に。
私は、皆の囲むテーブルを見て笑った。
ℯ𝓃𝒹