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都会育ちの俺が、田舎に引っ越した。
正直、いいイメージはなかった。
アニメや漫画で見てきた田舎は、よそ者に冷たくて、噂話が早くて、距離がやたら近い場所だったから。
「都会から来た人」なんて 警戒されるものだと思っていた。
だから、引っ越し初日。 近所に挨拶へ行く足取りは、少し重かった。
natsu
natsu
玄関のインターホンを押す指先が、わずかに震える。
\ ピンポーン /
ガチャ
natsu
ドアが開いて、 年配の女性が顔を出した瞬間、身構えた。
だけど
もぶ(使い回し)
natsu
その人は、驚くほど柔らかく、嬉しそうに微笑んだ。
作り物じゃない、目尻がくしゃっと下がる笑顔。
もぶ(使い回し)
natsu
natsu
もぶ(使い回し)
両手で大事そうに受け取る仕草が、やけに優しい。
その瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなった。
natsu
玄関先に立つその人から ふわりと洗剤のいい匂いがした。
干したての洗濯物みたいな 懐かしくて安心する匂い。
都会よりも、人と距離が近くて
こんな優しくてあったかくなるんだ。
natsu
もぶ(使い回し)
natsu
もぶ(使い回し)
もぶ(使い回し)
natsu
ふと思い出したように奥へ引っ込み、 すぐに戻ってくる。
もぶ(使い回し)
natsu
渡されたのはお菓子がたくさん詰まった紙袋だった。
市販のものも、見慣れない包みも混ざっていて、どれも丁寧に選ばれた感じがする。
natsu
もぶ(使い回し)
もぶ(使い回し)
natsu
natsu
ガララ、
natsu
もぶ(使い回し)
家に戻ると、父さんが一人で家具を動かしていた。
畳の上に置かれたタンスを少しずつずらしながら、額に汗をにじませている。
もぶ(使い回し)
natsu
短く答えると、父さんはそれ以上何も言わなかった。
けれど、家具を置く手が少しだけ軽くなった気がした。
natsu
もぶ(使い回し)
もぶ(使い回し)
natsu
チーン…
natsu
幼い頃、母さんは星になった。
それからずっと、父さんと二人きりで生きてきた。
ほんで
ある日突然、父さんが言ったのだ。
「田舎に行こう」って。
ここは父さんの地元で、 婆ちゃんが一人で住んでいた家。
思い出が詰まった場所なのだろう。
ここに来てから、父さんは浮かれている。
父さんは嬉しそうで、俺は何よりだ。
natsu
もぶ(使い回し)
もぶ(使い回し)
natsu
natsu
natsu
気づいたときには、来た道がわからなくなっていた。
さっきまで明るかったはずなのに、森の中は思った以上に暗い。
natsu
木々が重なって、空を隠している。
暗すぎる。
一歩進むたびに、葉を踏む音がやけに大きく響く。
natsu
都会の夜は、明るくて、うるさくて、怖さなんて感じなかった。
けれど、この静けさは違う。
音がない分、何かが潜んでいそうで、心臓の音だけがやたらと主張する。
natsu
ガサガサ!
natsu
natsu
狼
natsu
natsu
反射的に息を吸った
natsu
ドサッ
natsu
背中から地面に叩きつけられる。
手をついた拍子に、木の枝が腕に刺さった。
痛い。じわっと、熱い感覚。
natsu
狼
natsu
natsu
ガコッッッ!!!!
狼
natsu
鈍い音がして、狼の体が大きく揺れた。 投げつけられた石が、確かに命中した。
狼は弱々しく鳴いて、そのまま地面に崩れ落ちた。
natsu
うっし、命中!
その声に、はっとして振り返った。
そこに立っていたのは、紫色の髪の男だった。
Illma
グイッ
natsu
タッタッタッタッ
natsu
森を抜けた先に、急に視界が開けた。 潮の匂いが強くなって、足元の土が砂に変わる。
natsu
言葉を探した、その瞬間。
バチン!!!!
乾いた音がして、視界が揺れた。 遅れて、頬にじんとした痛みが走った。
natsu
思わず頬を押さえて、男を見る。
Illma
まだ上がったままの手。
natsu
理解するのと同時に、意味がわからなくて眉が寄る。
Illma
Illma
Illma
natsu
頭の中が追いつかない。
狼に、森に、いきなりの平手打ち。
Illma
Illma
natsu
Illma
natsu
Illma
Illma
さっきまでの強い口調とは違って、少しだけ気まずそうに視線を逸らしながら男が言った。
natsu
Illma
Illma
natsu
唐突すぎて、間の抜けた声が出る。
Illma
Illma
natsu
natsu
Illma
natsu
Illma
即答すると、いるまは笑った
Illma
natsu
Illma
natsu
そう言われて、肩の力が抜けた。
年上だと思ってた。 口調も態度も、大人びて見えたから。
Illma
natsu
その言葉で、さっきの痛みを思い出した。
natsu
Illma
natsu
Illma
natsu
そう言って、俺の袖を勝手にまくった。
Illma
natsu
natsu
Illma
natsu
Illma
聞き返した俺の目の前で、いるまは何の躊躇もなく、自分の服の裾を掴んだ。
びりっ
natsu
natsu
Illma
そう言いながら、裂いた布を手際よく折りたたむ。
さっきまで乱暴だったくせに、指先の動きは意外なほど丁寧だった。
Illma
natsu
Illma
いるまはそう言って、結び目をきゅっと押さえた。 即席の包帯なのに、思ったよりもしっかりしている。
natsu
Illma
Illma
natsu
Illma
Illma
natsu
Illma
Illma
悪気はなさそうで、どこか納得したような言い方だった。
natsu
Illma
natsu
ザッパーン…
ザッパーン…
海の波音が、二人の沈黙をゆっくり溶かしていく
Illma
何か言いかけたように見えたいるまは結局何も言わず、何事もなかったように踵を返した。
natsu
さっき来た道とは違う、迷いのない足取り。
俺は少し遅れて、その背中を追う。
森を避けた、ちゃんとした道。 暗いのに、不思議と怖くない。
Illma
natsu
別れ際、いるまは振り返らなかった。
このことは、きっと忘れない。
natsu