木兎光太郎
浅見円日
大粒の涙を流す 灰色の雲を眺める。
木兎が投げ渡してきた ブレザーは
雨に濡れて ぐっしょりと重いけど、
肩にかけると 少し寒さをしのげた。
駅まではまだ遠い。
雨が弱まるまで屋根下からは 出られなそうだ。
ちらりと隣の木兎を見ると、
いつものミミズクの 羽角のような髪型が、
雨に濡れて ペショリと落ちている。
浅見円日
トクントクンと 心臓が鼓動する。
木兎光太郎
浅見円日
どうしたの?と 聞く前に口をつぐむ。
こっちを見た木兎の瞳が真剣で 声が出なかった。
木兎光太郎
木兎光太郎
浅見円日
私が頷くと 木兎は嬉しそうに笑った。
練習を観たことは 何度もあるけど、
面と向かって観に来て欲しいと 言われるのは初めてだった。
色々深読みしそうになるけど、
木兎のことだから 他意はないんだろう。
そんな話をしていると 段々雨が弱まり、
雲の隙間から 陽の光が入っていた。
木兎光太郎
木兎はそう言うと 私の手を取って走った。
手を握られて 胸がきゅうと切なく鳴く。
前を走る木兎の耳は 赤かった気がして、
目を逸らすように 空を見ると虹が出ていた。
浅見円日
木兎光太郎
小さな雨粒さえ キラキラと輝いて見えて、
七色は私達を 祝福してるように感じた。
翌日。
部員「お願いしアス!」 「しアース!」
試合前から 熱気に溢れる体育館。
ギャラリーには私以外にも 生徒が見に来ていた。
キョロキョロと忙しなく 首を動かしていた木兎と目が合う。
木兎光太郎
浅見円日
私を見つけて笑顔で手を振る木兎に 笑みがこぼれた。
間もなく練習試合開始だ。
コメント
5件
表現の仕方がまーーじ好きすぎるんだけど🫵🏻💖 ぼっくんが相変わらず可愛いので世界は救われます🥹💞 雨のシチュほんと大好きだから読んでてめっちゃキュンキュンしてた😽
いやいや!ぼっくん!ちょーぜつかっこいいってー!練習試合楽しみにしております!!