次の日。
外回りを終えた日本とロシアは、 ちょうど昼食の時間だったので 会社からほど近いカフェに入った。
店員
何名様でしょうか?
日本
店員
席へご案内します
にこやかな店員に窓際のテーブルへと案内される。
店員
お決まりになりましたらお呼び下さい。
店員
そう告げて店員が去っていくのを 横目に、ロシアがゆっくりと メニューの頁をめくる。
日本
ロシア
お言葉に甘えて。
日本
日本
料理を決めた2人は店員を呼び、 2人から注文を取り終えた店員が 厨房の方へ戻っていく。
ロシア
サービスなのか。
ロシア
座って待っててくれ。
日本
ございます!
日本
イギリス
ありませんか。
奇遇ですね。
ロシアの優しさに一人じんと胸を 打たれていた日本が、その声に びくりと反応する。
日本
本当、奇遇ですね!
好ましく思っていた上司との 思わぬ場所での出会いに、 日本の顔がパッと明るくなる。
イギリス
イギリス
日本
イギリス
イギリス
鈍いですね…)
そんな2人の様子を見て、日本とは対照的に顔をしかめたのは、 コップを両手に戻ってきた ロシアであった。
ロシア
ですね
イギリス
今日は素敵な一日に
なりそうです
イギリス
しまいましたかね。
イギリス
こととしましょうか
ロシア
日本
良かったら、イギリスさんもご一緒にいかがですか?
日本
ロシア
言うと思った)
ロシア
駄目なのか?)
イギリス
日本
イギリス
そう言ってイギリスは日本の隣に 腰を下ろす。向かいの席に座る ロシアに向けてにこりと笑った。
ロシア
計算の上で日本に声をかけたんだろう)
ロシア
無防備過ぎる)
そうこうしているうちに 注文した料理が運ばれてくる。 3人はカトラリーを容れ物から 取り出して、料理を食べ始めた。
日本
ロシア
イギリス
モグモグと咀嚼する日本の姿に内心悶えつつ、それを表に出さずに食事している2人を日本は見つめる。
日本
日本
ご飯食べてるところも格好いいなあ)
そう考える日本の視線はいつの間にかロシアの口元に注がれていた。
ロシア
付いてるか?
日本
付いて無いでしゅ、
…あ……
ロシア
イギリス
日本
恥ずかしい…!)
顔を赤く染めて恥ずかしがっている日本の頬を撫でながら、イギリスが微笑む。
イギリス
可愛らしい人ですね…♡
日本
ロシア
イギリスに対する日本の反応が 気に食わなかったロシアは、 不快感を隠そうともせず呟く。
イギリス
イギリス
無いようですが。
日本
ロシア
ロシア
ロシア
ロシア
下心のある奴に
つけこまれるんだ)
ロシア
俺も一緒じゃないか)
ロシアの葛藤など露とも知らずに、食事を終えた日本が 2人分の代金を支払う。
イギリスはどうやらテイクアウト しようとしていたものを店内で 食していたようだ。
先に会計を済ませていたイギリスと別れを告げた後、2人は店を出た。
日本
日本
会えましたし…
会社への道のり、嬉しそうに呟きながら歩く日本をロシアが見つめる。
ロシア
食べていると一層
旨かった。
ロシア
日本
ふにゃりと微笑む日本を見て、少しの思案の後、ロシアが口を開いた。
ロシア
ロシア
言って驚かせてしまうかもしれないが、
日本
いつもと雰囲気の違うロシアの様子に不思議そうに首を傾げる日本を、ロシアはしっかりと見据える。
ロシア
ロシア
日本
ロシア
日本
日本
ロシア
ロシアが日本の言葉を遮るのは、 初めてのことだった。 思わず日本はたじろぐ。
ロシア
分け隔てなく優しい
ところが好きだ
ロシア
自分が嫌いだ
ロシア
ロシア
見せて欲しくないと
思う自分が嫌いだ
ロシアの手指が日本の手にそっと 絡められる。その間にもロシアは、 日本の目に映る自身の姿を 見つめながら言葉を続ける。
ロシア
評価してくれる
ロシア
俺は信じられる
ロシア
ロシア
ロシア
ロシア
日本
日本
日本
ですか…)
日本
日本
ました…
ロシア
日本
ロシア
日本
日本
くださいませんか。
日本
大切な友人です。
ロシア
日本
いい加減な返事だけはしたくない。
日本
ロシア
ありがとう。
空には幾つもの雲が浮かんでいる。
上空は地上よりも風が強いようで、 目で見ていて分かるほどの速さで 雲が流れてゆく。
主
ロシア
日本