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朝、いつも通り高校に向かい、 教室に入る。
ただ今日は、 妙な騒がしさに包まれていた。
「何これ!」
噂好きの女子達が何やら話している。
女子だけではない、男子も、 紙切れを持って大袈裟に騒ぎ立てているのだ。
いつも遅刻ギリギリに登校している、 俺だけがついていけていなかった。
友人
俺の姿に気づいた友人が、 この雰囲気の原因を俺に教えてくれた。
すぐさま俺は机の中を確認する。
拓斗
そこに入っていた謎の紙切れ。
書かれている文字は日本語ではない。
英語、かもしれないが、 知らない単語で形成された文章は、 俺が理解できる範疇を超えていた。
友人
先生にも分からないとなるとお手上げだ。
俺が首を突っ込むようなことでもないだろう。
朝礼開始のチャイムが鳴る。
先生は教室全体に声を掛けた。
担任
まあ、当然の結果だろう。
俺は指示に従って、 みんなの持っている紙を回収する。
ただ、俺は横目で見ていた。
平然と嘘をつく確信犯を。
担任
先生はそう嫌みを残して教室を去っていった。
全く、いけ好かない奴だ。
休憩時間、 俺は確信犯に事情を聞きに行く。
拓斗
俺の友人、 あえて名前は伏せておこう。
こいつが「怪文書は捨てた」と言って、 その紙をきれいに折りたたんで、 ポケットに突っ込んでいたのを、 俺はさっき、確実に目撃していた。
友人
怪文書よりも意味の分からない言い分だ。
こうやってたまに正義をちらつかせる友人に、 俺は今までも付き合ってきたのだけれど。
拓斗
友人
お気楽な奴だ。
もしこれがただのいたずらで済まされなかった場合、 結局助けに入るのは第三者だ。
触らぬ神ならぬ、 触らぬ紙に祟りなし、ってな。
拓斗
友人
そこから二日後のことだ。
また怪文書が現れた。
ほら、いたずらの域を超え始めた。
担任
先生もついに動き出してしまった。
さすがに二枚目となると、 放ってもおけないのだろう。
多目的室に行く道中、 俺は友人と話をしていた。
友人
拓斗
若干期待していた俺も悪い。
こいつとの仲なんてたった十数年だというのに、 信頼というものを置いてしまっていたのだ。
友人
拓斗
相変わらずつまらない会話が続く。
どうせ今回の怪文書も隠し持っているに違いない。
もうそれは疑惑ではなく確定事項に近いのだから、 俺はあえて友人に聞くのをやめた。
友人
拓斗
友人の謎の催促に押されながら、 おとなしく列を作り並ぶ。
クラス全員が集まり、 俺たちは一番乗りに多目的室の床に座り込んだ。
のちに全クラスが到着、 目の前に学年主任が立ち、 淡々と話し始めた。
学年主任
まさかこんな方法で犯人が出てくるなんて、 先生も思っちゃいないだろう。
それに、犯人がこの学年にいるとは限らない。
学年主任
疑っているから聞いたくせに、 偽善者もいいところだ。
もしこの中に犯人がいたとして、 簡単にやめるとも思えない。
この学校の傾向上、 警察沙汰にするということもしないだろうから、 解決はまだまだかかりそうだ。
学年集会は三十分もせず終了、 犯人ではない奴らからしたら大迷惑な話だ。
この件はさっさと忘れたい。
俺は関わりたくない。
放課後、俺は忘れ物を取りに、 誰もいないはずの教室に足を運んだ。
せっかく誰もいない時間帯を狙ってきたのに、 黒板の前に誰か立っている。
手にはマグネット、 謎の紙切れ。
拓斗
奥出
この女子生徒、 見覚えがある。
確か生徒会長の奥出早紀だ。
拓斗
奥出
奥出は紙をきれいに折りたたみ、 黒板から離れ、 俺に向かってくる。
奥出
拓斗
脅しか? 正直内心ドキドキはしてるさ。
奥出
拓斗
俺のごまかしは、 ごまかしにならない。
奥出
奥出早紀、 まさかエスパーなのか?
拓斗
奥出
目の前には、 俺より身長のある生徒会長、 奥出早紀。
拓斗
奥出
じゃあ、趣味だったらやるのかよ、 とツッコミを入れたいところだが、 そんな雰囲気でもなさそうだ。
奥出
拓斗
流れで教室に入ってしまった。
ここは完全に相手のテリトリーだ。
奥出
拓斗
奥出は少し悲しんでいる気がした。
奥出
拓斗
奥出は黙り込み、 そっと口を開いた。
奥出