いつもいる場所にいない。

なんだか、落ち着かない。

前までのように、 1人でぼぅっとしてればいいのに。

なんでなんだ。

でも、うさぎさんは

1日経っても、

3日経っても

1週間経っても、 来なかった。

ドクンと心臓が跳ねる。

おつかいの時によく寄るお店。

うさぎさんの姿を頭の中で思い描く。

僕はなにを言ってるんだ……

おばちゃんの顔を見ずに去る。

僕はうさぎさんのことをなにも知らなかった。

なのに、自分だけこんな無駄話に付き合ってもらっちゃって。

ていうか、なんで僕は うさぎさんの事をこんな考えてしまうのだろう。

すぅ、と息を吸って、

ドアを開ける。

うさぎさんはふとんをぎゅっと握った。

ここは、近くの総合病院だ。

葵さんの顔が強張った。

今まで淡々と、でもつらそうに話していた葵さんが

ついに、涙を流した。

ひっ、と葵さんが嗚咽を漏らす。

葵さんの体がビクッと跳ねる。

顔をおおっていた葵さんが、

僕の顔を見た。

葵さんの頬に、きれいな涙が伝った。

END