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きっと雫がもうすぐ戻ってくるのに、心拍数が上がるのを止められない
ガサゴソ
カバンの中を漁って、手鏡を取り出す
スッ…
手鏡で自分の顔をみると、とても醜い顔をしていた
莉空
ガララッ
莉空
まずい、雫が帰ってきた
この醜い嫉妬で満ち溢れた顔をどうにかしなくてはいけない
グシグシと雑に汗か涙か分からない物を袖で拭く
ニコリと笑い、
莉空
と答えた
莉空
ポタポタと目から涙が溢れ出す
雫
震える声で莉空の名前を呼ぶ
莉空
ガバッといつもの暖かい目で私を包み込む
雫
雫
莉空
雫
雫
行き場のない気持ちを全て莉空ちゃんにぶつける
莉空
莉空
ジワジワと怒りが湧いてくる
以前も雫には同じようなことがあった
小学生の時だった
ドンッ
雫
放課後、薄暗くなった電気の消された教室でクラスの女の子に突き飛ばされる
雫
雫
雫
雫
雫
何も、言えなかった
雫
雫
普通じゃない、なんて言葉沢山言われてきた
雫
雫
パチンッ
雫
学校に来るな、と吐き捨てて、2人は教室からランドセルを背負って出ていった
もう誰もいない学校で、1人私は泣いていた
ガララッ
莉空
ダッ
教室に入ってきた莉空ちゃんが、驚いた顔で私の方に寄ってくる
莉空
雫
莉空
雫
雫
雫
ギリッ…
怒りが抑えられなくて、歯を食いしばる
雫
何を言ってるの?
雫は何も悪くないのに
悪いのは全部雫の事を虐める奴らなのに
昔から雫は目立つ子だった
特別面白いわけでも、会話が出来るわけでも、なにか特別な技術を持っているわけじゃない
ただ一つ、優れた容姿が雫にはあった
普通の人よりも明らかに可愛い
とても可愛らしい顔をしていて、目はタレ目で大きく、顔はシュッとしていて小さく、鼻は筋はあまり通っていないが、ちょこんと小さく主張のない鼻があった
まるで人形のような愛らしい顔をしていた
劇をやれば必ず姫役をやらされていた
借り物競争でも学校1可愛い人で必ず連れられていた
目立つからこそ、女には妬まれていた
好きな子に近付いたから
このたった一つの理由だけで
雫は虐められた
中学に上がってからも男子の人気は絶えなかった
そして女子からの評価は下がっていくばかりだった
だけど稀に噂を気にしない女が雫を呼び出し告白をする
そして雫は可愛い だけで好き や愛してる は言われたことが無かったから
愛に飢え男じゃ無かったら誰とでも付き合った
「なぜ誰とでも心を許してしまうのか」
そう聞いた時があった
するとただ一言、雫は答えた
「断る理由がないから」
莉空
しばらく気が落ち着くまでずっと、莉空ちゃんに抱き着いて貰っていた
雫
莉空
莉空
少し鋭い目付きで私に聞いてきた
雫
莉空
雫
雫
莉空
莉空
莉空
雫
いつも優しい目をしている莉空ちゃんが、 凄く怖い顔をしている
雫
教えない方がAの為だと思ったけど、 莉空ちゃんに嘘は着きたくないから本当のことを言う
莉空
莉空
雫
雫
少しの間沈黙が続く
莉空
気まずい思いをしているのを察してくれたのか、沈黙を断ち切るように莉空ちゃんが話しかけてくる
雫
莉空
雫
やっぱり、私の好きな食べ物、私がどういう時にどうして欲しいのかをすぐに察してくれる
雫
雫
莉空
莉空
莉空
雫
莉空
パクッ
沢山の苺がのったパフェを口いっぱいに頬張る
雫
莉空
莉空
雫
莉空
ズイッ
莉空
奢ってもらっているのに全て食べるのは申し訳ないため、スプーンに大量にのせた生クリームと苺を莉空ちゃんの前に差し出す
莉空
莉空
莉空
莉空
雫
パクッ
莉空
雫
莉空
莉空
雫
莉空
莉空
莉空
雫
パクッ
雫
莉空
今は
今だけは
クソ女の事なんて考えずに
雫だけに
集中していよう