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リオルは学園長から差し出された紅茶を飲みつつ、学園での生活について相談していました。

学園長

さて、リオル君。君の居場所について考えなければなりませんね。

学園長

このナイトレイブンカレッジにはいくつか寮があり、それぞれが特色を持っていて素晴らしいのですが、君はこの学園の所属外という特別な状況です。

学園長

なので、君の滞在場所を検討する必要があります。

リオル

つまり、どこにも居場所がないってこと?

学園長は穏やかに笑みを浮かべ、やさしく首を振りました。

学園長

いいえ、そんなことはありませんよ。ただ、君にぴったりの場所を探す必要があるだけです。

学園長

ひとまず、私が考えているのは『オンボロ寮』という選択肢です。寮生も1人と1匹ですし、少し古びていますが静かで落ち着いて過ごせると思いませんか?

リオル

オンボロ寮?エースと一緒にいた人の寮か……
でも、名前からしてヤバそうな感じしかしないんだよなー
てか、1匹ってなんだ?

学園長は苦笑しながらも、穏やかに説明を続けました。

学園長

確かに名前の響きは悪いですが、歴史のある場所です。物は試しという言葉もありますから、一度見てみるのはいかがですか?

リオル

いやいや、要するにボロいってことでしょ?俺、汚いところ無理なんだよな。

リオルの言葉に一瞬驚いた学園長でしたが、すぐに落ち着きを取り戻し、少し不満そうに頷きました。

学園長

そうですか。君の正直な気持ちを伝えてくれてありがとうございます。それなら、他の案を考えることにしましょう。私優しいので。

学園長は机の引き出しを開け、別の資料を取り出して見せました。

学園長

幸い、予備宿舎という場所があります。

学園長

新しく来た生徒や特別な事情のある者が滞在するための部屋で、清潔で快適に過ごせると思います。

学園長

場所は学園の敷地の北端にある林の近くにあり、静かな環境です。少し離れていますが、そこなら君も安心して過ごせるのではないでしょうか?

リオル

林の近く?なんか静かすぎて怖そうだけど…。ま、オンボロ寮よりはマシっぽいかな。ありがとう、学園長。

学園長は満足げに微笑み、学園の地図を手渡しました。

学園長

それでは、こちらを持って行ってください。予備宿舎は学園の北門からさらに奥へ進んだところにあります。森の入り口を目印に進めば迷うことはないと思いますよ。気をつけて行ってくださいね。

リオルは地図を片手に夜の学園を歩き、少しひんやりした風を感じながら目的地を目指しました。敷地の北端に差し掛かると、森が視界に広がり、その静寂が彼を包み込みます。月明かりに照らされた小道を進むと、やがて小さな建物が現れました。

リオル

ここか…。思ったより悪くないな。

宿舎は外観こそシンプルで素朴な印象ですが、周囲はきれいに整備されており、中に入ると清潔で居心地の良さそうな空間が広がっていました。部屋にはシンプルなベッド、机、本棚が揃い、窓からは静かな森が見渡せます。

肩のティッカーが彼の頭に移動し、周囲を興味深そうに見回していました。

リオル

どうだ、ティッカー?ここならしばらく落ち着けそうだろ。

ティッカーが小さな鳴き声を上げると、リオルは微笑みながらその頭を撫でました。

ベッドに腰掛けると、リオルは深いため息をつきました。

リオル

…まさかこんな場所で新しい生活を始めることになるとはな。

リオル

俺たちが帰れる日まで、ここを拠点にするしかないか…

ティッカーがリオルの膝に移動し、安心したように身を丸めます。その様子を見て、リオルは静かに笑いながらその頭を撫でました。

やがてリオルはベッドに横になり、目を閉じます。初めての場所での一夜。不安と期待を胸に抱えながら、やがて彼は深い眠りに落ちていきました。

夜が深まり、宿舎全体が静寂に包まれる中、ティッカーの尻尾にある時計の模様がかすかに光り始めました。

その光は淡い青緑色で、規則的に脈打つように点滅しています。

ティッカー

クルルッ…

ティッカーは尻尾をゆっくり揺らしながら、眠るリオルの方を見上げています。その光が部屋全体を柔らかく照らし、不思議な静けさと共に何か特別な力を感じさせます。

その光景を誰も知ることはありませんでしたが、リオルの周囲に巻き起こる新たな物語の始まりを告げるかのように、光は消えることなく静かに輝き続けていました。

to be continued……

「NRCと海賊の影」

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