TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

※百合

※この物語はフィクションです

かれん

…いきなり何よ

冷静な言葉とは裏腹に心臓はうるさかった

かれん

(まさかまいがこんなこと聞いてくるなんて…)

あまりにも図星だった

まいの言う通り私はなつみさんのことは好きでも嫌いでも無い

かれん

(確かになつみさんを嫌うような言動や振る舞いはしていなかった…)

かれん

(どうにかして切り抜けないと…)

この作戦はゆのが指示しているとは絶対に言ってはいけない

ゆのがなつみさんとイチャイチャしたいから協力してなんて納得してもらえないだろう

かれん

(この作戦が失敗したら、みーちゃんのことをバラされる可能性がある…それはどうにか防がないと…!)

まい

いや〜…あんたがなつみの悪口言ってる所見たことないな〜って。それだけさ

まいはヘラヘラと笑いながら、こっちの出方を伺うように話した

私がなつみさんのことを嫌いじゃない明確な理由は無いみたいだ

かれん

(どうにか言い訳しないと…私のキャラを崩さないような言い訳…)

かれん

…私はどんなに嫌いでも悪口は言わない主義なの

私はなんとかそれらしい回答を絞り出した

まい

まいは黙っている。こちらを見定めるように

身長差も相まってこちらを見下しているようにも見える

まいはしばらく黙ってようやく口を開いた

まい

…私も最初はな、そう思ってたんだ。でもな…

まいは言葉に含みを持たせると、さらに私に近づいた

かれん

私にはもう後ずさる壁はない

もう体が触れ合ってもおかしくない距離だ

かれん

(何かあったらすぐに防犯ブザー鳴らさないと…ほんと買ってて良かった)

かれん

…何が言いたいの

私は少し強気になり言い返した

まい

…最近たまきと関わって感じることがあるんだ

まいは淡々と話す

まい

どうもあんたには憎しみが感じられない

私はそう言うと、かれんの後ろの壁に手をついた

かれん

物理的な威嚇をした後、私はかれんの目を見つめた

かれんは硬直している。声も出ないようだ

まい

…なぁ、かれん正直に答えてほしい

まい

あんた別になつみのこと何とも思ってないんだろ

たまきを見ていたらどんなに鈍感な私でも察する

それほどまでにたまきはあの女を憎んでいたし、かれんの演技は下手くそだった

かれん

そ、そんなわけ…

まい

…吃っている時点で図星ってことだろ

かれん

かれんは気まづそうに私から目を逸らした。かれんにしては珍しい仕草だった

まい

(同情を誘うのは得意なんだろうが、憎しみは表現できないようだな)

結局かれんは姫なのだ

ずっと温室で大切に大切に育てられきたんだろう。人を憎むなんて哀れな行為知る由もない

まい

(そうだこんなこと興味なんてないはずだ。なのにこんなことをする理由は…)

まい

…かれん?

私は優しい甘ったるい声を出した

かれん

…?

 かれんは人に嫉妬や劣等感を感じないんだろう

むしろ羨望の眼差しを向けられる側の人間

なのにどうしてこんな行為をしているのか。理由はただ一つだ

まい

だれかに脅されてるんだろう?

私はゆったりとかれんを抱きしめた

まい

怖い人に何か言われたのか?

そうこれでいい

人間は圧力をかけるよりこうやって優しく抱きしめて甘い言葉をかけてやれば簡単に口を開く

まい

私が守ってやるよ

特にかれんみたいな箱入り娘には効果的だろう

かれん

まい

(かれん。あんたが同情で攻めるなら私は包容力で攻めるさ)

まい

(知らないだろう?こんな方法。そりゃそうだ、あんたはいつも守られてきた側の人間なんだから)

こうすれば男だろうが女だろうが、簡単に心を許し自分から弱みを吐く

人間は単純なんだ

こうすればきっとかれんだって簡単に堕ちる

まい

なぁ?だから、正直に___

かれん

…っ!

その瞬間ブザーのような轟音が部屋中に鳴り響く

まい

…!?

私は反射的にかれんから離れた

まい

(なんだこの音…?)

私はかれんの手元にあるハートのキーホルダーらしきものを視認した

まい

(防犯ブザーか…小賢しいな)

私が2、3歩下がるとかれんは防犯ブザーを止めた

そしてかれんは私に向かったカッターを突きつけた

かれん

かれんは震えながらもしっかりとこちらを見ていた

まい

(そう簡単にうまくはいかないようだな…かれんもそこまで単純じゃないか)

まい

…危ないだろう?そんなもの持ってたら

私が適当に喋るとかれんは話し出した

かれん

…あなたに言うことは何もない

かれん

あなたは私に従っていればいい。そうすれば自然とあなたが望む結果になるわ

かれんはそう言い放った

その目には決意までもが感じられた

まい

(これ以上何か言っても無駄そうだな…)

まい

…そーかよ

私はかれんに背を向けた

どうせかれんは私を刺したりしてこない。いや、できない

まい

そんなに言えない事情があるっていうなら、深追いはしないさ

まい

…でもな

私はドアノブに手をかけて、かれんの方をゆっくりと振り返った

まい

裏切るなよ?

私は確認した。本当に重要なことを

かれん

…もちろん

かれんは迷いなく答えた

少しだけ安心したのか震えはおさまっている

まい

(まぁ…大丈夫そうか)

まい

ははっ、じゃあとりあえずあんたを信じてみるよ

私はわざと明るい声を出した

まい

またなんかあったら連絡しろよ〜

まい

…姫の仰せのままに

私はそう言うと部屋から出た

そして強めにドアを閉めた。最後の牽制を表すように

【創作百合】タヒ体が眠るワンルーム

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

53

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚