4ヶ月ぶりの休日、 絢は久々に実家に顔を出した。
実家に置いてある荷物を 早く持っていけと催促されたからだ。
絢
送ってくれてもいいのに)
そう思いながら押し入れに 押し込んだ段ボールを引っ張り出す。
絢
絢
絢
段ボールの上に無造作に置かれた 銀色の缶箱が目に止まった。
好奇心から缶箱の蓋を開けてみる。
絢
10年後の私へ
絢
10年も前のこととなると あまり覚えていなかった。
封筒を開けてみると 折り畳まれた紙が入っている。
絢
絢は紙を取り出すと それを広げて拙い文字に目を通した。
10年後の私へ
お元気ですか? 私は中学3年生の倉田絢です。 受験前の大事な時期にこんな手紙を 書かされて少し不機嫌な絢です。
受験と言えば第1志望の K高校には合格しましたか? 私の努力は報われましたか。 私は25歳までに結婚したいけど 恋人か旦那さんはできましたか?
10年後の私は何をしてますか? 私は今美容師か保育士になりたいと 思っていますが どちらの夢を叶えましたか? 大人になってからの人生は 学生生活よりも楽しいですか?
今、幸せですか?
10年前の絢より
絢
絢
こんなにキラキラしてたんだね)
絢
手紙に書かれた理想の絢は 10年後にはいない。
絢
絢
絢
いつが最後だっけ…
絢
結局諦めた
絢
冴えない社会人…
10年前に夢見た人生は ひとつも掴めなかった。
キラキラした自分からの手紙が見れず 絢は手紙をくしゃくしゃにして ゴミ箱に放り投げた。
絢
絢
黙々と荷物分けの作業を進め、 日が暮れた頃に立ち上がった。
ふとゴミ箱を見ると 中には丸まった手紙だけがあった。
今、幸せですか?
手紙の文面が目に止まる。
絢
絢
絢
絢
始発で行って終電で帰って
絢
彼氏欲しいとも思うし
美容師やりたかったけど
絢
絢
完