朔良(さくら)
あっ、見てお姉ちゃん!もう桜が咲いてるよ
姉
去年より、ずいぶん早い開花だね
朔良(さくら)
早咲きで良かった。私、もう桜なんて…見れないと思ってたから
姉
朔良…
朔良(さくら)
…お姉ちゃん、私が死んだら、庭に桜の木を植えてくれないかな?
姉
どうして?
朔良(さくら)
だって、毎年花が咲いたら、私のことをみんなが思い出してくれるでしょう?もしかしたら、お姉ちゃんだけじゃなくて、お姉ちゃんの子供や、孫も同じ桜を見られるかもしれない。私、そうやってみんなを繋いでいきたいの
姉
………分かった。約束する
朔良(さくら)
良かった。お姉ちゃん、私のワガママいつも聞いてくれて、ありがとう………。
今年も春が来たよ、朔良。 毎年私が植えた桜は満開に咲いて、綺麗だよ。 あなたの言う通り、私の子供も、私の孫もこの桜を見ることができたよ。 これからも、ずっとこの樹を大事にするからね。