基君とは家が近くで。小学校のバレーボールクラブに同時期に入り、高校で別々になるまではお互いに切磋琢磨してきた。
◯◯
基君おはよう。
月島基
おはよ。
◯◯
インハイお疲れさま。ベスト4惜しかったね。
月島基
うん、そっちもベスト4だったな。
◯◯
うん。年々順位上げてきたんだけど、うちらの代では無理だった。
◯◯
基君はどうだった??
月島基
大判狂わせで叩きのめされた。監督がかなりの策士で、結局そこが優勝した。
◯◯
そっか。
インハイ後は事実上の引退。2学期初日、太陽が昇りきった時間に基君と登校することが不思議でならない。
◯◯
あれから部活に顔出してる??
月島基
一応。ボール触ってないと落ち着かなくて。
◯◯
分かる。練習こなくても良いって言われて嬉しい反面、家にいても落ち着かないんだよね。
◯◯
すっかりバレーが日常生活に染み込んじゃってるから。
月島基
だな。
◯◯
じゃあ、2学期頑張ろうね。
基君はバス停。私は電車の駅へ向かう。
2学期からは勉強に本腰いれて、進路を考えないといけない…。
◯◯
(基君は大学行くんかな…。)
電車内に貼られた、大学のオープンキャンパスの広告をぼんやり眺めながら、無意識に彼を思っていた。