昔
小さい頃から、音楽が大好きだった
琴音
〜〜〜〜〜〜〜〜〜🎶
母
琴音はほんとに歌が上手ね〜!
琴音
歌だけじゃないよっ!ギターも弾けるもん!
琴音
ジャカジャカ🎶
琴音
〜〜〜〜〜〜〜🎶
母
弾き語りもできるなんてすごいわ!
母
将来は何になりたいの?
琴音
将来はね!歌い手さんになるの!
母
あら、歌い手?
琴音
うん!アコギが弾けて、歌がとっても上手な歌い手さんになるんだ!
母
いいわ!素敵な夢ね!
琴音
だからね!わたし、お歌とギター習いたい!
母
…歌とギター
琴音
…だめぇ?
母
いいわよ!ただ、お勉強もしっかりするのよ?
琴音
うん!わかった!
歌とギターは幼稚園の頃から中学1年生まで習っていた。
ほんとは中学で辞めるつもりはなかった
でも――
中学1年生のころ
琴音
明日って歌のレッスンだよね!今回の課題、結構上手にできた気がするの!
母
歌ならやめたわよ?
琴音
…うん?どういうこと?
母
だから、レッスンはやめといたわよ。
琴音
え、じゃ、じゃあギターは?
母
ギターもやめたわ。当たり前よ
琴音
え、な、なんで?なんで私の意見も聞かずに…?
母
だってもう中学生よ?音楽なんて辞めて、勉強しなさい。
琴音
意味わかんないよっ。なんで!?
琴音
わたしっ、街で路上ライブとかやってたのに…?
母
あんたは音楽なんて辞めたら?路上ライブなんて、私たちが恥ずかしい
琴音
でっでも、私将来歌い手にな――
母
でも、じゃないわよ!!幼いころのバカな夢を見てばっかで…!私たちが恥ずかしい!あんたは勉強してればいいのよ!このわからず屋!!!
母
下手くそなその歌で、歌い手になんかなれるわけないわよ!
琴音
っ…え
琴音
お母さん、私の夢応援してくれて…
母
夢?ふざけないで。歌い手になるなんてあんたには無理よ。
母
これを機に音楽を辞めること。
母
もし続けるなら、この家から出すわ。
母
あ、そうそう。テストの順位、1位か2位じゃないと許さないわよ。
琴音
……
母
返事は!?
琴音
…はいっ…
母
よろしい。
それからは、母の機嫌を取りながら生活していた。
叶えたかった夢も捨てて、母の言われる通りに生活した。
琴音
こんな感じかな。…ごめんね
サムライ翔
なんで謝るん?
琴音
え、あ、いきなり暗い話聞かされて、嫌かなぁって思って。
サムライ翔
別に嫌ちゃうよ。
琴音
…ありがとう
サムライ翔
…日々野ってさ、やっぱり音楽やってたんやな
琴音
うん。結構続けてた。
サムライ翔
…また始めればええやん
琴音
え?
サムライ翔
別に親の言うとうりに過ごすん、楽しい?
琴音
それ、は…
サムライ翔
親の言うこと聞いて、夢捨てて、好きなこともやれない。なんなら大切なものも捨てられる。
サムライ翔
そんなん、僕だったら嫌すぎるわ
琴音
……
琴音
で、も…
サムライ翔
僕な、思うんや。
サムライ翔
一度見た夢を叶えるか諦めるかは、自分の自由や。
サムライ翔
けどな、他人のせいで諦めるのは違うと思う
サムライ翔
だって自分の夢は自分の夢。他人にとやかく言われる筋合いはない。
琴音
……
琴音
そう、なのかな…
サムライ翔
僕もな、よくコメントで言われるねん
サムライ翔
「お前なんかが東京ドーム行けるわけない」って…
琴音
……
サムライ翔
でも、そんな言葉だけじゃ僕らは諦めない。諦めたくない。
サムライ翔
誰がなんと言われようと、僕たちはこの夢を叶える。
琴音
なんで、そんなに…
サムライ翔
好きやから、かなぁ
琴音
好き、だから…?
サムライ翔
そう。歌が好き。めろぱかが好き。そしてなりよりめろリスが、翔軍が大好きやから。
サムライ翔
やから諦めたくない。理由なんてそんでええやん。好きやから、だけで。
琴音
そう、かな
サムライ翔
そうやん。日々野の歌が好きなんやろ?ギター好きなんやろ?
琴音
……
琴音
うん。…好き
サムライ翔
だったらその夢、叶えようや。
サムライ翔
親になんか負けんと、自分の夢叶えようや。
琴音
いいの、かな。夢を見ても。
サムライ翔
ええに決まってるで。
翔くんがそう答えてくれたら、なんでか自信がわくな…。
琴音
…叶えたい、私の夢。
琴音
歌い手に、なりたい。
琴音
私の歌を、音楽を、届けたい…!
サムライ翔
うん!届くよ!
琴音
ありがとう翔くん。私、大切なものを思い出せたよ。
サムライ翔
ほんならよかったわ。
琴音
でもまずは親に言わないとだよね…。あっ、ギターも買いたいし…。
プルルルル…
琴音
電話?翔くんのスマホ…
サムライ翔
ほんまや。誰からやろ
サムライ翔
もしもし。…なろっち?…うん、うん。わかった、すぐ行くな
サムライ翔
…ちょっとトラブルあったみたいやわ
琴音
えっ大丈夫?
サムライ翔
多分大丈夫やと思うけど…。僕も行かなあかんわ
琴音
そうなの?それじゃ、バイバイだね
サムライ翔
ああ、そうやな。
琴音
じゃあまた学校で
サムライ翔
日々野
琴音
うん?
サムライ翔
夢、叶えるんやぞ!親になんと言われようとな!
琴音
……うんっ!
サムライ翔
そんじゃ!
琴音
ばいばい!
家
琴音
…ただいま
母
あら、帰ってきたの
父
おかえり
琴音
…
琴音
あの、話したいことが、あるの。
父
なんだ?
母
…何かしら
琴音
あの、私…
琴音
やっぱり音楽を続けたい
母
…はぁ
母
まだそんなこと言って――
父
いいと思うぞ
琴音
えっ…?
母
ちょっと、何言ってるのよ!
父
琴音、続きを話してみなさい
琴音
え、と…
母
ちょっと!!
父
気にしないで
琴音
…うん、わかった。
琴音
私ね、歌い手になりたいの。
父
なんでなりたいんだ?
琴音
私、小さい頃から歌が大好きだったの。もちろん今も大好き。だから、私の大好きな「音楽」を、いろんな人に届けたい。そう思ってるの。
琴音
私の歌で、音楽で誰かを救えたら、勇気や希望を届けられたらいいなって思うんだ。
琴音
詳しい活動内容とかはまだ分からない。でも私は、ギターも続けたい。それに、この街でも路上ライブをしたい。
母
路上ライブなんて恥ずかしいわ
父
そんなことないさ
母
はぁ!?
父
なぜお前はそこまでして琴音から音楽を離すんだ
母
勉強して、将来安定した会社に務めて欲しいからよ。歌い手なんて、くだらない
父
だから―
琴音
そんなことないっ!!
母
…え?
琴音
たしかにお母さんから見れば、歌い手はくだらないものに見えるかもしれない
琴音
でも!!
琴音
私は違う。好きな音楽を、たくさんの人に届ける。とっても素敵なことだって、私は思ってる!!
琴音
私はそんな歌い手になりたい。私に希望をくれた、勇気をくれた歌い手に!
父
琴音…
母
……
母
…私はよく分からない
琴音
っ……
琴音
(だめ、だった…?)
琴音
(でもっ…)
母
ただし
母
そんなに言うなら、認める
琴音
!!ほんと、に?
母
ただし、成績は落とさない。テストの順位もあげること。
琴音
…うん、わかった。ありがとう、ありがとうお母さん!
父
活動する時に必要になるものは言ってくれ。買ってやるから。
琴音
お父さんも、ありがとう!!
琴音
(よかっ、た…!)







