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小川 早苗
この間、スマホ落としちゃってさ
赤井 美紀
それ、ヤバくない！？
小川 早苗
ちょー焦った笑
小川 早苗
でも優しい人が拾ってくれたみたいで
小川 早苗
交番に届けてくれてたんだよね
赤井 美紀
よかったじゃん
小川 早苗
世の中捨てたもんじゃないね～！
赤井 美紀
（それは違うよ、早苗）
赤井 美紀
（早苗は偶然いい人に拾われただけ）
赤井 美紀
（世の中、そんな人ばかりじゃない）
斉藤
へへっ…
斉藤
可愛いスマホだな
斉藤
落とし物か？
斉藤
女子高生のもの？
斉藤
よっしゃ、ロックかかってない！
斉藤
名前は…と──
スマホの電話帳を開き、手慣れた手つきでマイプロフィールを見る
斉藤
『ミキ』？
斉藤
やっぱり、女子高生だ
斉藤
そのうちに電話がかかってくるだろ
15分後
斉藤
…！
斉藤
おっ！思ってた通りかかってきた…
斉藤
もしもし
赤井 美紀
あっ、すみません…そのスマホ…
斉藤
君のかい？
赤井 美紀
そうなんです～
赤井 美紀
拾っていただきありがとうございます！
斉藤
いやいや、俺は偶然近くに落ちてたのを拾っただけで
赤井 美紀
えっと…
赤井 美紀
どこかで待ち合わせして
赤井 美紀
受け取らせてもらえますか～？
斉藤
もちろん
赤井 美紀
どこがいいですかね？
斉藤
△×公園とかどうかな？
赤井 美紀
いいですよ！
赤井 美紀
分かりました！
赤井 美紀
では30分後に、そこで待ってますね
斉藤
分かった
斉藤
よし、引っかかった！
斉藤
あの公園は人通り少ないことを
斉藤
ミキちゃんは知らないのかな？…くくっ
斉藤
ミキちゃ～ん、会えるのが楽しみだなぁ
30分後
斉藤
誰だ、お前！？
三木 徹
三木（みき）だけど？
斉藤
嘘つくな！
斉藤
このスマホは、ミキちゃんって女の子のスマホだ！
三木 徹
はぁ？
三木 徹
だから、その『ミキ』ってのが俺
三木 徹
そっちが勝手に勘違いしてたんだろ
斉藤
騙しやがって！！
三木 徹
はぁ？なんでそうなんだよ
三木 徹
おっさんこそ
三木 徹
その『ミキ』って持ち主が女の子だったら
三木 徹
どうする気だったんだ？
三木 徹
どうせ、いやらしいことでも考えてたんだろ
斉藤
だ…大事なスマホを拾ってやったんだ
斉藤
お礼くらいもらってもいいだろ！
三木 徹
最初からそれが目的だったんだろ？
三木 徹
でも、男で残念だったな
三木 徹
さあ、スマホを返してくれ
斉藤
誰が返すかよ！
斉藤
そうだ！電話の女！
斉藤
あの子が本当は『ミキ』ちゃんなんじゃないのか！？
三木 徹
あぁ、アイツも美紀『ミキ』だけど？
斉藤
もしかして…
三木 徹
俺は名字が『ミキ』
三木 徹
電話の女は下の名前が『ミキ』
斉藤
なっ…
三木 徹
おっさん、せっかくだし最期に教えてやるよ
三木 徹
俺はわざとスマホを落としたんだ
斉藤
なんだと！？
三木 徹
可愛いスマホカバーにしてるのも
三木 徹
そのほうが、下心ある奴が食いつくからだ
三木 徹
俺は、そういう奴らをあぶりだして始末してんだ
斉藤
始末って…
三木 徹
電話の女の『美紀』が
三木 徹
昔、ひどい目にあってさ
三木 徹
お前みたいな奴のせいでな
斉藤
お、俺は別になにも──
三木 徹
なにもなわけねぇだろうが！
三木 徹
さっき『お礼くらいもらっても』とか言ってただろ！
斉藤
ちっ…
三木 徹
そんなに礼が欲しいならやるよ
グサッ！
グサッ！
徹は隠し持っていたナイフで、斉藤のお腹あたりを何度も勢いよく刺す
三木 徹
あの世への切符をな
斉藤
てめぇ…っ…
斉藤
…っ、ぐはっ…！
パタッ…
三木 徹
（死んだか…）
赤井 美紀
…今回も相当キモいおっさんだったね
三木 徹
三木 徹
まぁな
三木 徹
どんな奴だろうと、美紀に近づこうとする者は許さねぇ
赤井 美紀
いつもありがとう
三木 徹
なに言ってんだよ
三木 徹
美紀のためなら、なんだってするさ
三木 徹
（これでまた美紀は俺から離れられなくなる…）
赤井 美紀
（この人と一緒にいれば、ずっと愛を感じていられそう…）
赤井 美紀
（でも、まだ足りない。もっと…）
赤井 美紀
（もっと徹くんの愛を感じたい…！）
赤井 美紀
（…私もわざとスマホ落としてみようかな？）
三木 徹
（さぁ、次はどこで落としてみようか…）
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