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ゆい
ゆい
私は、さっきまで大切に大切に書いていた原稿用紙をぐしゃぐしゃにして破り捨てる。
ゆい
それは、駆け出しの小説家の私にとっては死ぬ事より怖いことだった。
ゆい
私は、わしゃわしゃと豪快に頭を掻きむしる。
女っ気なんてとっくの昔に何処かへ置いてきてしまった。
ゆい
数年前
ネット小説を書いていた私に、一通のメールが届いた。
そこには、「貴方の書いた小説を、我社から出版したいと考えているのですが、いかがでしょう。」といった内容のことが書かれていた。
成績は学年でワースト3位をキープ。
国語の偏差値だけが78とずば抜けて高い。
国語以外の取り柄は……ない。
そんな私は思った。
ゆい
ゆい
ゆい
と。
うちの家は、両親の中があまり良くない。
いつもギスギスした雰囲気の漂う家。
そこにある私の居場所。
居心地は悪いけど、稼ぎもなければ学力すらない私には、そこしか居場所がなかった。
その居場所が、大嫌いだった。
私は二つ返事でその仕事を受けた。
ついでに、なんとか大賞とかいう賞の賞金で300万もらった。
そのあとは、本が売れるのを待つだけだった。
すぐに、私が今まで見たことの無いような大金が舞い込んできた。
ワンルームマンションを格安で借りて、大まかな家具をリサイクルショップで揃えた。
私愛用のパソコンだけを抱えて家をでた。
お金はそれなりにあったし、大学生だからバイトも出来る。
しばらくは何不自由ない生活を送っていた。
私の本の売上が、とうとう落ち込み始めた頃、私に、山田さんという担当のマネージャーさんがついた。
山田さんは、毎日私に小説をかけとせがんでくる。
山田さん
山田さん
山田さん
ゆい
LINEでは、
山田さん
山田さん
山田さん
数日後……
山田さん
山田さん
山田さん
山田さん
不在着信
山田さん
不在着信
山田さん
不在着信
毎日鬼のように送られてくるLINEに追われて、今私は小説を書いている。
小説を書くとは難しいもので、かけと言われると書けなくなるのだ。
ゆい